ミスチルって、実は禅僧なんじゃないの?
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記事:菊地功祐(ライティング・ゼミ)
2月のある日、私は京都のお寺を訪れた。
新幹線で2時間弱、京の都から少し離れた場所に位置するそのお寺は
全国から修行をしたいという希望者を多く受け入れている。
ネットでそのお寺の存在を知り、ひとまず飛び込んでみるか精神の私は、
すぐに予約を入れ、冬の京都のお寺で3泊4日の修行に行ってみることにした。
修行といっても、滝にうたれるようなものではなく、
禅僧の人々が大切にする日々の暮らしのルーティン化を体感するものだった。
ここでお坊さんの1日を簡単に紹介する。
5時……起床。
5時40分……太極拳。
6時から7時……座禅。
7時から7時20分……お経を唱える。
7時20分から7時50分……掃除。
7時50分から8時20分……朝食。
9時分から11時45分……雑務。
11時45分から12時……座禅。
12時から12時45分……昼食。
12時45分から16時45分……自由時間。
16時45分から17時……夕食。
18時10分〜19時……法話。
19時〜20時30分……座禅。
22時……就寝。
毎日、きまった時間に起床し、
きまった行動をし、きまった精進料理を食べ、きまった時間に寝るのだ。
禅生活をする上で、一番大切なことは日々のルーティン化である。
毎日、毎時間、同じことをする。
そうすることで精神も肉体も穏やかになって人間らしい暮らしができる。
禅って奥深いなと思った。
そして、お寺での生活を始めた矢先、とある出来事が起こる。
接心……
禅の教えで、1ヶ月に一度、朝から晩までひたすら座禅をする日がある。
その1ヶ月に一度の日に、私はたまたま寺に来てしまったのだ。
しまった……
足を組んで15分座禅をするだけで、足が痺れるのに、
早朝5時から深夜の24時まで丸一日座禅したらどうなるんだろう。
確実にぶっ倒れる。
接心当日、いつも通り早朝5時の鐘の音で起き、座禅が始まる。
長い1日が始まった。
朝の6時に早速、足に痺れがきた。
30分おきに休憩があるとはいえ、足の痺れは相当しんどい。
休憩のたびに急いで立ち上がって念入りにストレッチを施す。
そうしないと残り15時間近くの座禅に耐えられるわけがない。
なんとか昼過ぎまで耐え抜き、昼食を食べる。
毎回同じような精進料理だ。
きっちりと教えてもらったお寺の作法に従って食事をする。
箸の音をたてることさえ許されない。
昼食後、再び座禅が始まる。
さすがに足がクタクタだ。
山奥に響き渡る電車の音が聞こえる。
静まり返る禅堂では、電車のガタンゴトンという音しか聞こえてこない。
その音に集中して、音がきたタイミングでだいたいの時間を計る。
あと10分、あと5分。
足の痺れが限界。
もうギブアップしたい。
長い座禅の結果、自分の図体を支えているお尻の血流は完全にせき止められ、
下半身が完全に麻痺している。
足の指先まで血が回ってこない。
足の痺れをなくすため少しお尻を動かして、血流を良くしようとすると、
自分の邪念を待っていたかのように、お師匠さんから怒号が飛ぶ。
「動くな!」
ごめんなさい。
もう足が限界です。
だけど逃げ出したくない。
すると足の痛みに耐えきれなくなった私の脳は、
神経から痛みを消し去ろうとする動きを見せはじめた。
この痛みから解放されるには無になるしかない。
そう悟った私は、その後ひたすら無になるように努めた。
無……
無……
無……
無……
無……
気づいたら深夜24時なっていた。
限界まで追い込まれ、痛みを消し去るため、私は必死に自分の意識を遠のかせていたのだ。
すると、時間の感覚もなくなり、気づいたら丸一日の座禅は終了していた。
その次の日、お師匠さんは参加者全員にこのような話をした。
「真剣に座禅に取り組んでいると、無の中からふわっと浮かんでくるものがあります。それはあなたが本来望んでいるものなのです。
無の中から出てくるものこそ、その人が最も大切にすべきものなのです。
悟るということはそういうものなのです。
宗教的な意味でもなく、特別なものでもない。
日々の生活の雑音を取り覗き、物事の本質を見抜く。それが禅の教えです」
自分はあの時、無の中からふわっと出てきたものがあったのか?
あったかもしれないし、なかったのかもしれない。
その後、フラフラになりながら3泊4日のお寺での禅生活を終え、帰路に着いた。
お寺での生活を懐かし見ながら、日常に戻っていった。
だけど、あの京都のお寺での日々が心の中で焼き付いていた。
そんなある日、ふとテレビに出ていたミスチルがとても気になってしまった。
昔からミスチルは好きだった、何が好きでどこが好きなのかと言われたら、
よくわからない。
だけど、すごく耳に残る曲を作る人たちだなと思っていた。
ほとんどの人が一度は聴いたであろう名曲「Sign」
テレビ番組で「Sign」という名曲はどういった経緯で生まれたのか? という
質問に櫻井和寿はこう答えていた。
「飲み会後のひどい二日酔いの中、ふわっと浮かんできた」
あっ、この人禅僧なんじゃないの? と思った。
いろいろ調べてみると
自転車をこぎながら「名もなき詩」の歌詞が出てきた。
トイレの中で「彩り」のメロディーが浮かんだ。
半分寝ながら「終わりなき旅」を書いた。
などなど、頭の中がまっしろになった時に、いい曲が書ける時が多いのだとか。
いい曲を書こうと力んだらうまくいかず、
何も考えてない時が一番いい曲が書けるとよくインタビューで答えている。
からっぽになった時に、ふわっと出て来たもの。
そうか、人々の心に残る名曲を作るのも禅なんだ。
理屈でどうこう考えるのではなく、直感的に生まれてきたものが世の中を動かしているのかもしれない。
そんなことを京都の山奥で学んだ気がする。
***
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