メディアグランプリ

人見知りという病をこじらせて


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:紗那(ライティング・ゼミ)

「今日は、ほんまに来てくれてありがとう! またご飯とか行こな!」
あぁ、太陽みたいに明るい人だ。
「いえ、こちらこそ楽しかったです!」
楽しかった。なのに、何でだろうか。胸がぎゅっとする気がする。
あぁ、またきっとあの病のせいだ。

太陽みたいに明るい人は愛美さんという。友達に急遽誘われたホームパーティーを企画している既婚女性だった。集まったのは、職業も年齢もバラバラな人々。そこに集められた人々は皆愛美さんの友達だった。
愛美さんの明るいオーラというのは、10mくらい先からでも感じ取れてしまう。
親しみやすさと可愛らしさ、そしてさりげなく周囲に気を使って人を楽しませるサービス精神。
私が男だったら絶対惚れる!

うぁーーーーーーーー

あーーー完璧だ!

死ぬほど羨ましい!
なんであんなにすぐ人と仲良くなれるのだ?
私もあぁいう人になってみたいー!

何を隠そう私の自分的コンプレックスランキング第一位は「人見知り」であることなのだ。派生的に生まれてくる他のコンプレックスも結局この人見知りに起因するものではないかと思われる。

人見知りってアラサーになった大の大人が言うフレーズではないかもしれないのだが、生まれてこの方ずっとずっと悩まされ続けてきた病だ。
とにかく、初めての人に会う時には無駄に緊張する。身体のどこの神経を使っているのかよくわからないのだが、とにかく気を遣う。

そのため、OLのアフター5の定番である合コンなんて生き地獄である。一応参加はしてみるものの、気を遣いすぎて、なんだか肩凝りが悪化して帰ってくるばかりという散々なものである。
「そんなに気を遣わなくていいじゃん! 言いたいこと言っちゃえばいいんだよ」
と言われるのだが、それができない!
やりたいし、やってみようと思うのだがそれができないから悩んでいるのである!

私がこの病に気づいたのは小学生になってからだ。

人見知り病の方ならおわかりいただけるかもしれないけれど、人見知りにとって何よりもつらいのはクラス替えだ。
やっと、心から笑いあえる友達が出来たのに非情にもお別れの時期が訪れる。そして、綺麗な桜が咲き、普通の子なら新しい世界に心が弾む新学期。私はいつも枯れ果てそうな気持ちだった。
おいおい。やめてよ! せっかく安住の地を手に入れたのに、また新しい友達作りに励まなければならないなんて……。
そして、新しいクラスが始まると、まずはどの子と仲良くしようかということを考える。

思うに人見知りの人って警戒心が強い。この人と仲良くなって大丈夫だろうか? という若干の懐疑心があり、人をよーく観察してから少しずつ仲良くなっていこうとする。

例えるのならば、マトリョーシカみたいに少しずつ少しずつ自分の中にある本心を信頼できそうな人に小出しにしていくような感じだ。だから、冒頭の愛美さんみたいに、人にいきなり自分の全てをさらけ出せる人がとても羨ましかった。だって、その方が遥かに多くの人と心を通わせることができるだろうし、人生も豊かになると思う。

そのため、どうにかして自分もあぁなりたいと、ずっともがいてきた。
社会人になり、営業などの仕事を経験することで社会性を保てる程度には改善しているものの、根本的な意味での人見知り克服には未だに至っていない。

そんな私がこのライティングゼミに通って気づいたことがある。
10月から通い始めたこのゼミで、私は自分をさらけ出しまくっている。

合コンの話
地元のネタ
離婚した父親の話
新年に凶を引いて振られた話

挙げ句の果てにプロフェッショナルゼミを受ける時に死に物狂いで書いたネタは、ブラジャーの話である。それ以外ネタが思いつかなかったのだから仕方ないことなのだけど、なぜ、人見知りの私が見ず知らずの人にブラジャーの話をしなくてはいけないのか意味不明だ。

プロフェッショナルゼミの初日、一期生の方から入試で何の話を書いたのですかと聞かれ、
「ブ、ブラジャーの話です」
と答えなくちゃいけない時には、もう本気で帰りたいと思った。

ありえない。
本来の私であれば絶対にありえない話なのだ。

人見知りって結局自分をよく見せたくて、人に嫌われたくなくて出てくるものだと思う。
そんな私は、自分をさらけ出して色々と書いている内に気づいた。

結局なんだかんだ考えて、気にしすぎなのだ。全部さらけ出しちゃった方が遥かに楽だ。
今まで色々さらけ出して書いてきてシンプルに結構楽しかった。
初対面の人にかっこいいところを見せなくたっていいし、全員に好かれることなんてないのだから、気楽に話せばいいんだ。

そう思ったら、ほんのちょっとだけ気が楽になった。

だけど、人見知りという強烈なコンプレックスがあることで、人をよく観察する力はついた。
この人はどんな人だろう?
この人がこういう風に考えるようになった背景にどんな人生があるのだろう?
そういう力がライティングには活きている気がするので、少しはいいこともあるかもしれない。

と、ここまで人見知りを克服した風な偉そうなことを書いてきたが、結局今でも私は強烈な人見知りだ。

リアルで天狼院の人に会うと、自分の頭の中を、がっぽり覗かれている気がして何ともいえない複雑な気持ちになるし、新しい人にお会いするのは緊張する。

だけど、もう開きなおろう!

私は一生あがいても、愛美さんみたいな底抜けに明るくて一瞬で人と仲良くなれる人にはなれそうにない。

なれないものはなれないのだから仕方ない。
さっぱりと、あきらめよう。

だけど、私のこの人見知り故の観察眼を活かして何か書けることがあるかもしれない。
愛美さんみたいな人には見えていない世界を私は見つけられるかもしれない。

そして、それを書いていくことが、人見知りに生まれた私の使命なのかもしれない!

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-12-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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