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プロフェッショナル・ゼミ

子どもが苦手なのに、クリスマス会の幹事をすることになってしまって気づいたこと《プロフェッショナル・ゼミ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:中村 美香(プロフェッショナル・ゼミ)

「ねえ、クリスマス会やらない?」
小学2年生の息子の小学校の行事の、焼き芋体験の手伝いをしに行った帰りに、同じクラスのママの冬美さんに、ふいに話しかけられた。
12月上旬のことだった。
「クリスマス会かあ……やってもいいけど……」
正直言って、どっちでもよかった。
というか、どちらかというと面倒だった。なぜ、私に言うのか、と、少し迷惑だった。

クリスマス会が開催されるから来ないかと、誘われるのならありがたいけれど、白紙の状態から作り出すことに巻き込まれるとは、まずいことになったと思った。

なぜなら、それは、私が、子どもが苦手だからだ。

え? 子どもいるんでしょ?
ええ、いますよ。
だったら、子ども大丈夫でしょ?
いや、ダメなんです。

そりゃ、自分のお腹から出てきた息子には、さすがに緊張しないけれど、一般的な子どもに対してどう接していいか、よくわからないのだ。

まず、叱ることができない!

例えば、目の前の子が、高いところに登ったとする。
内心、危ないなと、もちろん思う。息子がそんなことしたら、
「危ないから、降りようよ!」
と言う。
だけど、他人の子相手だと、これは、叱るべきことかな? と考えてしまう。
それは、息子に対して、危ないと思うことを禁止しすぎて、危ないことをほぼしなくなってしまい、息子自身の慎重な性格と相まって、子どもらしくなくなってしまった反省があるからだ。
私にとっての「危ない」を他人様のお子さんに押し付けていいのかな?
と思ってしまう。
それに
「うるせー、くそばばあ!」
と、言われたくないし、思われたくないと、保身に走っているということもある。
だから、よくよく考えて、よっぽど、危ないことだと思わないと、叱ることができないのだ。

それから、子どもを子ども扱いできない!

大人だからって、子どもに価値観を押し付けたくない! という思いがある。
なるべく、意見を聞きたいし、気持ちを聞きたい。
多分、これは、母が、そうやって育ててくれたことの影響を受けていると思う。
そして、子どもだからって軽くあしらう部類の大人のことが、自分が子ども時代に好きでなかったからだ!

このように、これは????るべきか? と吟味したり、ひとりひとりの気持ちを考えていると非常に疲れる。
従って、子どもが苦手なのだ。

今でこそ、一児の母だけれど、子どもを産むにあたっても、結構、悩んだ。
私が、人の親になれるだろうか?
子どもが苦手な自分が、ちゃんと、子どもを愛することができるのだろうか?
悩んだ末、やはり、遺伝子を残したい気持ちが強くなり、ある意味、本能にしたがって、子どもを持つことに決めた。
それなりに、子育てしているけれど、多分、人より、肩に力が入っていると思う……。

私に
「クリスマス会やらない?」
と話しかけてきた冬美さんは、私と仲の良いママの由紀ちゃんにも、同じことを言っていた。
由紀ちゃんは
「いいね! やろうよ!」
と、快く賛成していた。
「今から、場所とれるかな?」
私の目の前で、見事に、日程や場所の候補やらが、どんどん決まっていった。
私は
「どう思う?」
と聞かれて
「いいんじゃない?」
と、笑顔で言うのが精一杯だった。

由紀ちゃんは、スマホを出して、第一候補の場所が空いているか探し始めていた。

さすがだなぁ……

他人事のように感心していたら
「一部屋、今だったら空いているみたい! 帰り道だから、これから、申し込みに行ってみるよ!」
と言った。気づいたら
ね! 一緒に行くよね?
と言わんばかりに、由紀ちゃんは、私を見ていた。
「ああ、一緒に行くよ」
かくして、幹事メンバーの仲間入りを果たした……ようだった。

目的の区民館につくと、彼女は慣れたように、手続きを始めた。
私は、所在なく、ふらふらとロビーの掲示板を見ながら、これから、幹事としてどんな仕事が待っているのだろうかと、内心、ドキドキしていた。
無事、希望日の希望の時間に部屋が取れた。
「この部屋は40人までなので、それ以上の場合は使えませんからご注意くださいね」
係の人に、そう釘を刺されたけれど、さすがに40人は超えないだろうとその時は思っていた。
だから
「はーい!」
と、私も由紀ちゃんと一緒になって、軽く返事をしておいた。

その帰り道
「誰まで声かけようか? 連絡先わかる人だけかな?」
そう言う由紀ちゃんに
「うん、そうだね」
と、返事をしながら、私は、10月にやったハロウィンパーティーのことを思い出していた。

ハロウィンパーティーの時も、なんとなく、幹事のメンバーになってしまったのだけれど、その時は、幹事の人数も多く、今回ほどのプレッシャーはなかった。

そして、その時は、息子のクラスのほとんどの子を誘ったのだけれど、連絡先がわからなかったクラスメイトには、声をかけずに、それは行われた。
声をかけることができなかった割合は28人中6人。
楽しく会が行われたのと同時に、その6人のことが気になって仕方なかったことが思い出された。
もし、自分の子が声をかけてもらえなかったら……、そう思うと、切なくなってしまった。
「せっかくならさ、全員に声をかけるだけはかけたいね」
気づいたら、そう言っていた。
「連絡つけばいいけれどね……」
由紀ちゃんは、そう言って、その場は別れた。

考えてみたら、私は、同じクラスのママの連絡先をほとんど知らなかった。
やはり、クラス全員に連絡することは、難しいだろうか?
緊急連絡網はもらってはいるけれど、家の電話にわざわざすることには躊躇いがあった。

その日の夜、由紀ちゃんは、LINEのグループを作ってくれた。
彼女の知っている連絡先の10人のグループだった。

10人も知っているんだ! すごいな!
私は、LINEで4人しか、同じクラスのママと繋がっていなかった。
息子が幼稚園の時と比べると、随分と、ママ友とのつながりが狭まっていることに気づいた。

由紀ちゃんは、クリスマス会の日時、場所を書いて、都合を尋ねつつ
「それから、現メンバー以外で、LINEで繋がっている方がいたら招待してくださいね~」
と書いていた。
しばらくすると、メンバーが、ひとり、ふたりと招待し始めた。そして、また、招待された人が、別の人を招待して、その人数はどんどんと増えて行った。

ひょっとしたら、全員に連絡できるかもしれない!
そんな希望が、芽生えてきた!

そして、その3日後、私は、その、LINEのモヤモヤに耐えられなくなった。
モヤモヤの原因は、LINEのニックネームと子どもの名前が一致しないことだった。

居ても立ってもいられず、メモと鉛筆を引っ張り出して、ママたちの自己紹介とクラスの名簿とともに照合表を作り始めた。

ゆりこ 内田ひなた 2人
ARISA 石川勇気 1人
……
……

LINEで使っているママのニックネームと子どものフルネーム、そして、何人参加するかを書き出していった。

まだグループに入っていない、9人をピックアップし、LINEのグループに
「この方たちのLINEをご存知の方いらっしゃいましたら、招待をお願いします。LINEはやっていない、もしくは、知らないけど、連絡取れるよという方もいらっしゃれば、教えてくれたら有難いです!」
と書いた。

すると、次々に、招待してくれたり、
「LINEはやっていないみたいですけれど、連絡取れるので取ってみますね!」
と言ってくれる人もいて、ほとんどの人と繋がることができた。

それから2日後、みんなの協力があって、全員に連絡することができた!
「ありがとうございます!」
と書く度に、連帯感を感じ、達成感が生まれた。
自分でもびっくりするくらい、気持ちが高揚していた。

そして、28人中の25人に参加希望の返事をもらった!
しかし、参加率を喜ぶのも束の間、親や兄弟も参加したいという人が多く、参加人数は53人に膨れ上がってしまった。
まずい!
そうだ! この部屋は、40人が定員だった!

先ほどの達成感が嘘のように、今度は、やりすぎた感に包まれた。

ついムキになって、全員と連絡を取ってしまったけれど、まさか、こんなに参加率がいいとは!
ああ、もっと、ふわっとすべきだったのではないか?

冬美さんと由紀ちゃんに相談すると、ふたりの意見は、真逆だった。
「結構、厳しいんだよね。区民館の人……」
と、由紀ちゃんは言い
「大丈夫だよ! いちいち数えるわけじゃないし、子どもだし、平気、平気!」
と、冬美さんが言った。
私は、気にするタイプだから、当然のようにビビった。
子どもだけの参加に限定して親に遠慮してもらうか?
兄弟に遠慮してもらうか?
と、いろいろ、せこく考えていた。

「とりあえず、様子を見よう! 当日具合が悪くてキャンセルも出るかもしれないし……」
前向きに、いや、後ろ向きに、だろうか? とにかく、人数問題が解決しないまま、打ち合わせを進めた。

決めることは、結構あった。

冬美さんが、ゲームや、プログラム内容を考えてくれた。
「安く売っているスポンジケーキを小さく切って、生クリームや、果物や、おかしでトッピングするのはどうかな?」
と、提案してくれた。
企画力が素晴らしいな! と感心した。
しかし、私は、そういうのをやった経験がなく、すぐに返事ができなかった。
反対なわけではないけれど、それに伴い何かトラブルが考えられるのだろうか?
と、少し慎重になった。
「食べ物のアレルギーと大丈夫かな? それに、お腹の風邪がうつらないかを心配するママたちっていないかな?」
我ながら、ネガティブな意見だなと思ったけれど、発言してみると
「そういうの、気にする人は参加しないんじゃない?」
と言われて、
「そうか」
と言って、それは採用された。

「これから、買い出しに行こう!」
「うん」
と言ったものの、なかなかのスピード展開で、それについて行くのが、やっとだった。

「こう思うんだけど、どう思う?」
「こうしようと思うんだけど、どう?」
企画力のある冬美さんは、次々と、提案してきてくれる。嬉しい反面、賛成意見も、反対意見もすぐには浮かばず、この場は、スピードが求められているのだと割り切り
「いいと思う」
とだけ、言った。

「だいたい買ったけれど、当日、人数が減ってしまうかもしれないから、当日の朝、人数が確定したら、残りの残金で、イチゴを買おう」
ということになった。
じゃあ、誰が買う?
となり、ふたりは仕事があるようだったので、それは、必然的に私が引き受けた。

それと一緒に、打ち合わせで決まった詳細をLineのグループに投稿することも、私が引き受けた。
不思議とそれは苦ではなかった。

夕飯の用意もそこそこに、私は、その文面つくりに夢中になった。
この情報も入れたい! あの情報も入れたい! 私が、一参加者だったら、この理由も知りたい!
そうこうしているうちに、案内がとても長文になってしまった。

「これでどうかな?」
冬美さんと由紀ちゃんに相談したら、
「いいと思うけれど、ちょっと長いから、持ち物を最初か最後に簡潔に入れた方がいいかもね」
とアドバイスをもらい、グループに投稿した!

“みなさん、こんにちは!
クリスマス会についてお知らせします!
長文のため、先に、持ち物だけ、まず書きますね!

①現金¥200(子供一人につき)
②プレゼントのお菓子300円分
③水筒

以下、詳細です!

日時
12月22日(木)15:15〜17:00頃
*15:00から借りていますが、軽く飾りつけなどしたいと思うので、お時間ある方は、15:00に来ていただいて手伝ってくださると助かります!
*お子さんのみで参加の方は、帰りは暗くなっていると思うので、心配な方は、家の近くの方などに各自声かけお願いします。

場所
……

持ち物
……

服装
……

主な内容
……

よろしくお願いします!”

どうして会費が、大人の分は取らずに子どもだけなのかとか、お菓子をプレゼント交換用にラッピングしてほしいことなど、いろいろお知らせしたかったので細かく書いたけれど、長すぎて迷惑と思っている人がいるかもしれないと少し不安だった。

当日の朝になった。
風邪が流行っていて、何人かがキャンセルになった。
そのことは残念だったけれど、蓋を開けてみたら、39人になっていた。
人数の問題もクリアしてホッとした。

急激に減った予算の都合、イチゴを諦め、桃の缶詰とバナナに変更した。
しかし、ただ、買うだけなのに、桃はひと缶にいくつ入っているだろうか? とか、彩りと味はどっちを優先すべきだろうか? とか、悩み、手こずった自分が嫌だった。

そして、約束の15:00になった。

大人も風邪でダウンした人が多く、結局子ども32人に対して大人が7人でスタートした。

誰か、仕切りをやってくれるだろうか?
内心ドキドキしていた。

「美香ちゃん仕切って!」
そう言われんじゃないかと、ビクビクして、小さくなっていた。

その時、子ども慣れしているパパの原さんが、
「はーい! みんな並んで!」
と、よく通る声で、呼びかけてくれていた。

すごい! 
しかも、子どもたちも目を輝かせながら、しっかり言うことを聞いていたのだ!

原さんは、父子家庭にも係わらず、PTAの活動にも積極的に参加してくれる稀有な存在だった。
子ども好きで、子どもの対応にも慣れているようだった。

お任せしよう!

サンタクロースの恰好までしてくれて、会を、すごく盛り上げてくれていた!

私はというと、飾りつけのセンスもないし、ゲームの準備も、お菓子の準備も、段取りがわからず、モタモタしてしまった。

唯一、当日頑張ったのは、午前中に買ってきた、桃の缶詰とバナナを人数分に切ったことと、会費を間違いなく集めることくらいだった。

ああ、私は、なんて、どんくさいんだ……。
密かに、落ち込んでいた。

ところが
「連絡ありがとうね。すごくわかりやすかったよ!」
と、ひとりのママが声をかけてくれた。それから、
「Lineのグループなのに、ひとりひとりに丁寧に返事をしていて、すごいなと思ったよ。私にはできない」
と言ってくれる人もいた。

純粋に嬉しかった!
細かさをウザがられるかもとびくびくしていたけれど、好意的に受け取ってくれてありがたいなと思った。

ゲームを企画することや、ちょうどよい食材を選ぶことには苦労したけれど、文面を考えたり、ひとりひとりに返信の対応をすることは、ちっともつらいと思わなかったことに気づいた。
これがきっと【得意】ということなんだ!

妙に納得して、見回すと、饒舌に楽しそうに、会を盛り上げてくれている原さんや、家からわざわざ、バリスタを持ってきてくれてコーヒーを入れてくれた由紀ちゃん、ゲームやケーキタイムの段取りを手際よく回しながら、手の空いたママに的確な指示を出す冬美さん、それに迅速に対応するママたち、また、子どもの面倒をよく見てくれるママたち、それらが、それぞれの持ち場持ち場で動いてくれている姿が見えた。

あ! いいのか!
得意なことで参加すればいいんだ!
「私、子どもの前で話すのが苦手なの。だけど、連絡係や会計ならさせてもらうよ!」
と、言って、堂々とやればいいんだ!

苦手なことは人に頼ろう! そして、その代わりに、ちゃんと感謝しよう!

クリスマス会の中で、うまく動かなかった頭と体をゆるしたら、由紀ちゃんの入れてくれたコーヒーが、グッと喉に沁みわたって、美味しかった。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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