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ふるさとグランプリ

グリンピースを買って気がついた、西荻でいちばん美味しいものの話《ふるさとグランプリ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:千代子(ライティング・ゼミ)

「あれ、もうグリンピースが出てる!」

大寒波を乗り越えたとは言え、深々と冷え込む1月の終わり。
未だ春は遠いのに、鞘付のグリンピースが売られていた。

西荻窪に帰ってきたのは19時前で、まだ八百屋が開いている時間だった。
駅の周りには北に3つ、南に1つ、感じのよい八百屋がある。
4店舗とも駅から2分くらいの距離で、全部回ってもそう時間はかからない。
例えば自家製の焼き芋が「紅はるか」なのか「安納芋」なのか、例えば生の野沢菜や新生姜、黒にんじんや黄カリフラワーの様な珍しい野菜に出会えるか、確認して歩くのはとても楽しい。

そしてグリンピースを発見した瞬間から、私の頭の中は「豆ごはん」でいっぱいになっていた。
小さな透明の袋にわんさかと詰め込まれたグリンピースは、鞘まで食べられそうなくらい瑞々しかった。
2017年の豆ごはん初めにしよう。

米を研いで水に漬け、グリンピースの鞘を開いて小太りの豆を取り出す。
小さな鍋で豆を先に茹でたら、その茹で汁で米を炊く。
炊き上がったらグリンピースを混ぜ込んで、10分ほど蒸らせばできあがり。

とっておきの蓋付茶碗によそった。
米も、グリンピースも、つやつや、ぴかぴか。
ホクホクした豆の甘みと、モチモチした米の食感が……たまらない。

私は2年前の、ちょうどこの時期に西荻窪へ越してきた。
この2年で「今しか食べられない極上の贅沢」を目いっぱい味わった。
春にはもちろん鞘付グリンピースと春キャベツと苺。
夏になったら空豆、白瓜、冬瓜に皮付ヤングコーンとさくらんぼ、桃。
秋は紅はるかの石焼き芋といちじくと柿。
冬は白菜と蕪と百合根とちぢみほうれん草とみかん。
年中並んでいる野菜の旬も、自炊するようになってから自分の目で舌で実感した。

昨日と今日を比べても劇的な変化があるわけじゃないけれど、確実に時は流れるし、季節はうつろう。
私にとって八百屋は、そんな小さな変化を実感させてくれる場所になっていた。
「もうすぐ春だな。そろそろ冬が終わるんだ」
「いちばん美味しい今こそ食べておかなきゃ!」
「ああ、美味しい。もっと今に目を向けなきゃ」
今、この瞬間の美味しさは、逃してしまったらまた1年待たなければ出会えない。
美味しいピークに、敏感でいたい。

***

先日、『「思うこと」と「考えること」は違う』と言う話を聞いた。
歩きながら思ったり感じたりしたことは、アイディアの種になる。
「考える」と言うのは、普段「思った」ことを整理する作業で、「思う」機会が増えれば、「考える」幅も広がるのだ。
自然の息吹に触れて脳をリラックスさせながら行う『ウォーキング会議』は、アップルやfacebook、Twitterの創業者も実践していた。
「あ! りんごが木から落ちたぞ」と思い、重力について閃いたニュートンや、「インドが遠い!」と思い、楽なルートを考える内に地球が丸いと言う結論に辿り着いたマゼランも同じだ。

西荻窪を歩いていると、頭の中がやかましい。
「パンが焼ける匂いがする! そういえば季節限定のあんパンが桜あんに切り替わったかもしれない」
「熊本のでっっっかいスイカだ! 冷蔵庫に入らないし、小川や井戸もないけど、どうやって冷やすのかしら?」
「秋刀魚の塩焼き定食が安い! 去年食べ方を褒めてくれた店員さん、まだいるかな?」
「今日の日替わりランチは牡蛎カレーなんだ! トマトベースかな、ほうれん草ベースかな?」
ぼうっと歩いているだけで、今、ピークを迎えているあれやこれやが目に飛び込んでくる。

実家にいた頃は、一年中何でも売っているスーパーと100円ショップ、線路と住宅しかなくて、気温以外で季節の変化を感じることは稀だった。
西荻窪は、住み始めて3年目を迎えた今でも目新しいものと面白いもの、発見と驚きにあふれている。
店内に入らなくても、並べられた商品が見える八百屋。
桃の節句の時期になると、鯛やうぐいすを模った金花糖が並ぶ生活雑貨店。
水曜日限定で「春よ恋(小麦粉の名前) 全粒粉100%食パン」が売っているパン屋。
次から次へと食べてみたいもの、欲しいもの、やってみたいこと、行きたい場所を見つけてしまう。
至る所でアイディアの種に出会える街だ。

***

「ちゃんと休んでるの」
「よく眠れてるの」
最近母が、妙に気にしている。
どうやら、頻繁にニュースになる過労問題を気にしているらしかった。

実際、今の職場は多忙ではない。
それに、西荻窪で生活している間は、全く周りが見えなくなることはないと思う。
季節の移り変わりを肌で感じとり、駅からアパートまでの道のりでたくさん発見し、振り返ったり分析したり、考えるきっかけがちりばめられている。
のんびりした街の空気にも癒される。

西荻窪で過ごす時間は、私にとって大切な休み時間だ。
今、肩に力が入りすぎている人がいたら、気が向いた時に西荻窪に来てみてほしいと思う。
きっと、今、ピークを迎えている、美味しいものや目新しいもの、面白い人に出会えるはず。
そうしたら、無理やり前に進むこと以外に、今の自分ができることを見つけられるかもしれない。

***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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