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【本に全く興味ない人必見!】本屋は変態のためのテーマパークだ!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:遠山 涼(ライティング・ゼミ)

「休みの日は本屋に行ってふらふらしてます」と言うと、バカにされる場合がある。

休みの日の過ごし方まで、職場の人間にとやかく言われたくはない。
しかし、「休みの日は何してるの?」に対する「本屋に行きます」なんていう答えは、あまりにもスキがあり過ぎる。
現代においては、少なくとも僕が務める職場では、それは「どうぞツッコんでください」と自分から言っているようなものらしい。
ついでに「1時間くらい店内をウロウロした後、何も買わないこともあります」なんて口走ってしまったら、笑われるのを通り越して、ドン引きされることもある。

たしかにfacebookやTwitterで「きょう本屋に行っちゃいました!」という投稿は見たことがない。そんなことよりもBBQ。夏フェスや結婚式の披露宴、大勢での飲み会に時間を割く方が正しい休日の過ごし方のようだ。
写真付きの彼らの投稿を見ていると、自分の時間の使い方が何か間違っているような気がしてくる。

しかし、はっきり言って本屋に行くことは楽しい。そのことをなるべく多くの人に知ってもらいたい。
だからといって「本屋に行けば色々な本と出会えるんだよ!」「そこでたまたま運命の本に出会えるかもしれないんだよ!」と力説するつもりは無い。
もちろんそれらも大きな魅力の一つだが、もっと良い楽しみ方がある。
その楽しみ方を実践すれば、あなたは本屋にきっと行きたくなるし、本に興味が無くたって、本屋が好きになるかもしれない。

その楽しみ方とは、何も難しいことはない。
ただちょっと、自分の「変態心」を開花させるだけでいい。

たとえば、まず本屋に行ったら、何でもいいから一冊手に取ってみよう。
村上春樹の新刊でもいいし、東大の赤本でもいい。タイトルや著者名を見る必要もないが、一つだけ集中してほしいことがある。
それは本の表紙を包むカバーだ。
そのデザインやビジュアルについては一切無視してほしい。
とにかくそれを触ることだ。指先ですりすりしてみることが大事なのだ。
騙されたと思って実践してみよう。実に多種多様な紙質があることに気付く。
つるつるの紙。ざらざらの紙。少しくっつくような紙。いかにも安っぽい紙。
触るという行為は、人間の脳に大きな刺激を与え、感性にガツンと響くような知の快感をもたらしてくれる。
だんだん慣れてきたら、その触り心地を異性に例えてみよう。
「この触り心地は学生時代にスポーツをやっていた背の高い九州男児のような触り心地だ」「この触り心地は7年間付き合った男に振られて東京から田舎の福島へ帰るOLのような触り心地だ」といった具合に想像力を膨らませれば、より指先の感覚は研ぎ澄まされていくだろう。
ちなみにこの行為は、図書館では不可能だ。表紙カバーがほぼ全部コーティングされているので、どれもこれも画一的な触り心地でしかない。まさに本屋でのみ味わえる快感、というわけだ。

一通り本のカバーを触り終えたら、次は『カゴ』を探そう。
スーパーマーケットでは必ず入り口付近に置かれている、あのカゴのことだ。
「本屋にはそんなもの無いだろ!?」という人もいるかもしれないが、よく店内を探してみてほしい。
大きな店舗であれば、たいていの本屋にカゴは置いてある。
これまで存在すること自体も知らなかったそのカゴを、恥ずかしがらず、ひとつ手に取ってみてほしい。
その瞬間に、あなたは「本屋でカゴが必要なほど大量の本を買う人間」に生まれ変わる。
カゴを持ってすぐに、周りにいる店員や他の客からの視線が変わるのを、あなたは感じるはずだ。
「あの人、いったい何冊買うつもりなの……?」
「読書家の俺でも、あのカゴは使ったことがねえ……」
「あの方、ひょっとして大口顧客なのでは?」
もちろん、実際に大量の本を買う必要はない。むしろ、空っぽのカゴを軽やかに持って店内をうろつく姿からは、日々せわしなく動き続ける現代社会を達観した、仙人のような余裕すら垣間見えてくる。
そんなオーラを醸し出しながら、おもむろに医学や地理学などの専門書コーナーに行ってみてほしい。
「あいつ……あんな分厚くて高価な専門書を、カゴが必要なほどたくさん買うというのか……信じられない……俺がいま見ているのは夢か幻か、あるいは奇跡の瞬間を目撃しているのだろうか!?」
その時あなたは、少しの間だけ、店内の注目の的になれるかもしれない。
それは世の有象無象の中から、たった一人の存在として自分を特定してもらえる喜びであり、快感だ。
本屋でカゴを持つ、という簡単な行為ひとつで、あなたの中の「見られたい」願望が大きく芽吹くかもしれない。

最後はレジ近辺へ行ってみよう。
せっかくなら何か安めの本を適当に一冊持って、レジ前の列に並んでみてほしい。
そのとき、行列はなるべく長い方がいい。なぜなら、前や後ろに並んでいる人が手に持つ本のタイトルを、こっそり盗み見るための時間が稼げるからだ。
「人間失格」の文庫本をお守りのように握りしめる、青年の目はうつろに見えるかもしれない。
チャラチャラした茶髪の大学生は、「柔道固め技教本」を読んでどんな強敵を倒すつもりなのか。
「星野源 ピアノ弾き語り楽譜集」を持っている老人は、孫の喜ぶ顔が見たくてたまらないのだろう。
「ストックビジネスの教科書」を両手で抱える小学生には、一体どんな未来が待ち受けているのか?
他人の秘めた部分を見たいという欲望を認めることは、甘美な夢想の世界への入り口を開いてくれるだろう。

こんな具合に、本屋は変態的な楽しみ方ができるテーマパークでもある。
テーマパークと言っても、ディズニーランドやUSJとは違い、そこには大量の紙とインクがあるだけだ。
だからこそ、楽しみ方が無限に広がる可能性を本屋は秘めているように思う。SNSやアプリのようなデジタルのサービスよりも、アナログなオモチャの方が、融通が利いて楽しみ方の幅は広がるものだ。

だから「本を読むなんてつまんない。ムリ」という人でも、久しぶりに本屋へ遊びに行ってみてはいかがだろうか?
きっとあなたの変態心をくすぐる数々の仕掛けを、あなたは発見するはずだ。
もちろん、それが目的ではなく本屋に行ってみたところ、なんとなく表紙に目が引かれて気になっちゃったから勢いで買ってみようかな! 的な「ジャケ買い」もぜひおススメする。

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2017-03-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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