ポイントカードと上手く付き合うコツ
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記事:ちくわ(ライティングゼミ 日曜コース)
「ポイントカードはお持ちでしょうか?」
「あ、持ってないです」
「無料ですので、おつくりしましょうか?」
「いえ、いいです。いらないです」
きっと「お作りしましょうか?」までがマニュアルなのだろう。
私は、ポイントカードと名のつくものは極力作らない派だ。
それには理由がある。
まず、財布がかさばる。
モノが売れないこのご時勢。「顧客の囲い込み」という大義名分のもと、巷にはポイントカードが溢れている。
昔々は、特定のレンタルショップくらいだったが、薬局、スーパーやコンビニ、ファミレスなど、お店に行けば大概聞かれるようになった。
個人商店でも、オリジナルポイントカードが増えた。もちろんカードを使う常連さんにとって、お得になるに越したことはない。再訪問の動機にもなるので、ポイントカード自体は否定しない。
ただ、なんというか、もうなんでもかんでもポイントカードにして、全て聞かれたときに、「はい、いつでもウェルカムです」と受け入れていたら、財布のカード入れがいくらあっても足りない。
「待機児童が0です」と自治体が公表した途端、殺到する母親たちを安易に受け入れられないように、簡単にカード入れは増床・増設できない。
だから私は決めた。
もうポイントカードは作らない、と。
そう決めた人には何をいっても無駄になる。
そこで次の理由としてあげられるのは、会話のやりとりが、店員さんの労力を完全に無駄にさせてしまうから。
最近、百貨店に行った際、驚いたのは
「お客様、駐車券とオリジナル●●カードと、●●カードと、他にポイントのつくカードはお持ちではないですか?」と聞かれたこと。
あまりのカードの種類の多さに、私は絶句して怯んだ。
すると、どうやらカードをつくることを迷っていると勘違いされたようで、
「今からすぐ登録していただきますと今日から割引できるカードになっておりますので今後も●パーセントオフで買い物ができますよ」と息継ぎなしで、たたみかけられた。
さらに会員カードの説明資料などをあちこち取り出してきて、説明が始まる。
いや、そうじゃないんだけどなぁ。
店員さんの仕事を増やしてしまったことに、申し訳なくなる。
こういうとき「ポイントカードを持ちません&いりませんカード」があったら、お互い無駄な時間も減り、本音の探り合いも無くなっていいのに、とつくづく思う。
ただ、万が一「持ちません&いりませんカード」を作ったとしても、結局カード枚数が増えるだけ。そもそも紙、プラスチックと素材も厚みも大きさもバラバラで、取り出しにくいし、探すのも一苦労するのも、個人的に不便だと思っている。
そこで最近は、物理的なハードルをなくすため、スマホのアプリや、サイト上のマイページに、カード機能を追加するお店も多い。スマホ内にあれば、重さも幅も関係なくなる。バーコード読み取りができるので、非常に便利だ。
オンライン上のお店と連携して、ポイントがつけられるお店もあるので、これだったら、と思い、個人的に導入キャンペーンをしてみたが、早々にデメリットもあることに気付いた。
常日頃からそのお店のアプリの起動や、サイトアクセスはしないので、わざわざホーム画面から探す必要がある。
しかもカードを提示する場合、セキュリティーの関係上、改めてログインを求められることも多い。ここでIDとパスワード入力という新たな関門があり、コピペするにも時間がかかるため、結局店員さんを待たせる。
スマホの電池が少なく、バックライトが弱くしかできずに、うまく反応しないこともよくある。番号を手打ちすることで、会計待ちが行列になると、なんとなくすっきりしない。
あらためて、ポイントカードについて考えると、そもそもお店側としては、常連客に喜んでもらうプラスアルファであったはず。
シンプルにお客さんと仲良くなるツールだったに違いない。
それが、時代とともに、ポイントをつけることが“当たり前”になりはじめた。
このポイントをこう移管して使ったら還元率がよいとか、この商品をよく買うなら、このカードがもっと貯まりやすくなるなどといった情報に敏感になった。
だから、ポイントカード攻略の雑誌特集、書籍が鉄板として売れるようになったのだろう。特集したWebページのアクセス数も良いときく。
趣味として楽しめるなら、いいかもしれないが、カードをうまくつかいこなさないと、「損」という風潮もあるように思う。
お店側も、お客側も、ポイントカードに期待しすぎだ。
しかるべきサービスについて、対価としてお金を払う。これが一番シンプルなはずなのに、それ以上を求めすぎる。
なんだか人間関係にも似ている。親友だから、家族だから、恋人だから、夫婦だからと言い訳をしては甘えてしまい、過剰に相手に求める。
最初はシンプルに好きという気持ちで、大切に思い合っていたはずなのに。
いつの間にか、年が経つに従って、もともと他人だったことを忘れる。自分のことを分かってくれる、受け入れてくれると、おごった気持ちがうまれ、こじれていく。
マニュアル本を読んでも、それが正解かどうかは、自分が考えて判断するしかわからない。
期待しすぎない関係性を保つ。
これが、ポイントカードとも、自分の大切な人とも上手く付き合っていくコツなのかもしれない。
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