俺のシカバネを越えていけ 〜おやじの野菜たっぷりしらたきラーメン風を添えて〜
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:歩楽 歩楽三(2026年1月開講・渋谷/通信・4ヶ月コース)
3月初旬土曜日の夕方、中一の息子が急に「これから週末の昼は野菜だけが良い」と言い出した。 どうやら思春期に入って、ニキビが気になってきたようだ。
たまたま前日の睡眠時間が足りなかったからだろうが、見ると口の近くに小さな吹き出物が出来かかっていた。
週末の息子のお昼は僕の担当になっている。 最近は冷凍食品のラーメンが多かった。
息子は結構頑固だ。 一度「やる」と言ったことはちゃんとやるのは良いところだが、一方で「いやだ」となったら、テコでも拒否する。
野菜を食べようというのは大変良い心掛けだが、「肉も魚もいらない」、さらにどこでどんな情報を仕入れたのかは分からないが、「冷凍食品も嫌だ」とも言い始めた。
これから体を作って行かなければならない時期に、スタイルを極度に気にする女子のようなことを言ってもらっては困るのだが、彼には「バランス良く食べた方が良いよ」という通り一遍の説得では効果が無い。
ここは優秀な生成AI、Geminiくんの出番だ。
「ニキビに強い体質を作るための具体的な食事のポイント」を提示してもらった。
冒頭の例えが良い。 「——野菜は『掃除係』、お肉や魚は『大工さん(肌を作る人)』。 両方いないと綺麗な肌の家は建たない」と、建築家志望の息子に向けて、野菜だけではダメな理由を端的に整理してくれた。 あとは、「肉も大事な理由」や「運動で適度に汗をかく必要性」を挙げてもらい、ついでに「日本の冷凍食品」の素晴らしさについても出力してもらった。
これを印刷して息子に読ませた。 それなりに納得性があれば言うことは聞いてくれる。
少し脱線するが、ニチレイさんやキンレイさんなどなど、冷凍食品を作っている日本メーカーの冷凍技術は凄まじい。 これまでは「鍋焼きうどん」や「パスタ」くらいだったが、今では各種「ラーメン」「ちゃんぽん」さらには「ほうとう」までもラインナップに加わっており、300〜400円のレベルでちゃんとしたものが食べられる。 冷凍なので保存料もほとんど使われていないし、栄養価も高いようだ。 決して「不健康なジャンクフード」に分類されるようなものではない。 ただし、ラーメンやパスタといった「炭水化物のみ」の食事では、血糖値を一気に上げて皮脂が出やすくなるので、乾燥わかめや冷凍ほうれん草、冷凍ブロッコリーなど、少し食材を足してあげるのが良いようだ。
実は冷凍食品を使ってきたのには理由がある。
もちろん、料理の時間をかけず簡単に美味しく食べられるという理由もあるが、奥様が僕が料理するのを嫌がるのだ。
その昔料理教室へ通ったこともあるので、ちょっとだけ料理ができるかも? なのだが、
「私が使おうと思っていた食材が中途半端に無くなる」
「あなたが洗い物するとシンクがビシャビシャになる」
と非難轟轟なのである。
冷凍食品なら、基本的に他の食材も使わないし、洗い物も最小限で済む。
とはいえ、息子が「冷凍食品はちょっと……」と言い出したのであれば、もう遠慮する必要は無い。 おやじの実力を見せてやろうではないか!
翌日曜日、とりあえず、家には「にんじん」「玉ねぎ」「ニンニク」ついでに「白菜」があることを確認した。 まあ、これだけでも料理のベースはなんとかなりそうだ。
家で使えそうな食材の使用許可を奥様から得た後、近所のスーパーへ買い出しに向かう。
その際、息子からはなぜかホワイト板チョコとマシマロも買って来てくれと頼まれた。
まずは低脂質でタンパク質が豊富、かつ、皮脂の分泌を抑えるビタミンB群を含む「鶏むね肉」のスライスと「豆腐」をカゴに入れる。 豆腐は小分けで使いやすい「男前豆腐」——個人的に妙な世界観のあるパッケージが好きなのだ——をチョイス。
冷凍袋物の野菜もいつでも使えて便利だ。 これくらいは息子も許してくれるだろう。
肌の炎症を抑えるビタミンCを含んだ「ブロッコリー」と、皮脂つまりを防ぐビタミンAのある「ほうれん草」を買うことにした。
肉と野菜はほぼ揃ったが、やっぱり満足感を得るには、麺ものあるいはご飯ものに類するものが欲しい——と思っていると、「しらたき」が目に入った。 これには保湿成分セラミドと食物繊維が含まれている……ラーメンの代替に丁度いいじゃないか!
ここまでのところ、ニキビ対策として有益な食材が結構揃ったが、ちょっと腹持ちが気になったので、薄いスライス餅も買うことにした。 炭水化物だが、そんなに多くなければ大丈夫だろう。 出汁も必要なので、小分けの「鍋キューブ」をカゴに入れる。
最後に、謎な息子の依頼である、ホワイト板チョコとマシマロも入れて会計を済ませた。
さあ、料理である。 ——と言っても煮るだけなんだけど。
まずは、にんじんと玉ねぎを食べやすい大きさで薄く切り、ニンニク一欠片のスライスと一緒に煮始める。 ザク切りにした白菜も追加して、鶏むね肉スライスも丁度いい大きさに切って投入。 いい頃合いでしらたきとブロッコリーとほうれん草も出撃! おっと、そういえば乾燥わかめをストックしていたことを思い出した——ので投入。
味の決め手は「鍋キューブ鶏だしうま塩」だ。 味の素さんありがとう。
具をどんぶりに分けて、少し出汁でしゃぶしゃぶしたスライス餅と小分けの男前豆腐をぷるんと乗せる。 最後に、どんぶりへお出汁をかけて完成した。
そして、実食。
おおー。 野菜のやさしい出汁が出ているじゃないか。 どんぶりの中で白く透き通っているしらたきも、ラーメンの代打として立派に活躍している。 豆腐も餅も良いアクセントだ。 何より「野菜を食べている」感が良い。
息子も「これからお昼は、これがいい!」と気に入ってくれた。
ふっふっふっ おやじの実力を見たか! 今度は魚メニューでも考えてやるか。
さて、お昼を食べ終わると、息子はYouTubeの解説動画を見ながら、買ってきたホワイトチョコをレンジで溶かしてマシマロを挟み込み、型に入れて冷蔵庫で冷やし始めた。
おいおい、チョコはお肌に良くないぞ!?……と思って見ていたが、はたと気がついた。
マシマロチョコを自分で食べるんじゃなくて、バレンタインのお返しで作っているのか!
ホワイトデーだからホワイトチョコなんだな!?
彼のマメさにも驚いたが、どうやら仲の良い女子の何人かからチョコをもらっていたことにも軽くショックを受けた。
(パパは中一の頃チョコなんかもらったことないぞー! ——魂の叫びである。)
気がつくと奥様もマシマロチョコを個別包装の袋に入れる手伝いをしていた。
全部包み終わると、息子は「一番良くできたから」と一つを奥様に手渡した。
愛しい息子から予想外のプレゼントをもらい、奥様はとろけそうな顔をしている。
僕よりも遥かに女性の心を捉えているじゃあないか。 ——おやじの完敗である。
気持ち的にはK.O.されて倒れ込んだ気分だ。
……子供はこうやって親を越えていくのか……と遠い目になる。
——願わくは心根の優しい彼女が出来たらいいな。 いや、ちょっと気が早いか。
まあ、とりあえず、野菜も肉も魚も、色々バランス良く食べましょう!
心も体も大きく成長してくれ。
——そして、俺のシカバネを越えていけ!
《終わり》
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