メディアグランプリ

出先で情報を確認したいのにスマホが壊れた! そんな時の最善策とは。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:小川由里絵(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
突然スマホが壊れた日。私は目隠しされたようだと思った。
その朝、起きたときに充電があまりされてないと気づいたが、接触が悪かったのだろうと思ってモバイルバッテリも持ってるしあまり気にせず出かけた。
案の定バッテリーがすぐになくなり、モバイルバッテリーを起動しようとしたが全く反応しなかったのだ。
 
この時もまだ私は楽観視していた。
―私はSNSの住人でもないし、残念ながら小まめににLINEをする相手もいない。
―それにモバイルバッテリーの調子が悪かっただけかもしれない。
―スマホへの依存も自分はそんなに高くない。
―新しいバッテリーを電気屋さんで買うから大丈夫。
―なんなら百均でも、、、
 
今日の予定は新しいセミナーに行くこと、その予定は夜だ。
―時間もまだあるし全く問題ない。
―とりあえず充電機を調達しよう。
その思考が既に依存だった。
 
ここからどんどん自分がどれだけ携帯に依存していたかに気づいて気づいていく。
まず会場のある駅に何線に乗っていけばいいのかわからなかった。もちろん電車が何分に来るのかもわからない。会場の場所もわからないし、持ち物があったかどうかも確認できない。できないと思うと不安になるものでどうしても充電してそれらを確認したくなっていく。
―ここから近い電気屋はどこだっけ?
―調べられない。
―でもここから見えるあの店のポイントカードは持ってないから……。
―あ、ポイントカードアプリで携帯に入ってるんだった。
―さらに自分に呆れたのは、今の時間すらわからなかった事だった。
 
前に健康番組で目を閉じで片足立ちして何秒保てるか、で体幹を調べる実験をやっていた。
目を閉じた瞬間、多くの人がバランス感覚を崩すのだ。
目を開けてる時は簡単にできるし、上げた足も地面とそんなに離れていない。それなのにテレビの中の出演者が大袈裟にバランスを崩すのを見て私は「またまた」と思った。
しかし実際にやると確かに難しかった。
体幹にも自信がないが、心理的な要因もあるような気がした。
悪いイメージに引っ張られるのだ。目をつむった途端に出演者のぐらぐらになってる様子が頭に浮かび、自分の平行に自信が持てなくなった。
 
携帯も見れている時は、あまり見ていないつもりだった。
携帯が目の前にないと不安な人をどこかで馬鹿にしていた。
しかしいざ使えないと現実はこうだ。
テレビの前で目を閉じで片足立ちしたときと同じで見事にバランスを崩した。
電気屋で買ったコードは使えず、ダメ押しで100均にも行ってコードを買ったがダメで。いくつも試して端末の異常にやっと気がついた。充電器を買っても無駄だったのだ。
 
そもそも私の今日の予定はスマホを充電することだっただろうか。
充電の方法ばかりに気を取られた私は、駅にあった時計を見て驚く。
遅刻寸前だったのだ。
完全にバランスを失ってる。
それどころか今遅刻しようと思ってる講義の開始時間もだんだん記憶が合ってるか不安になってくる始末だ。「衆電話から電話を?」とも思ったが番号も調べられない。
場所も不安で、調べる手段もない中で心はポッキリと折れそうになった。
「早く出たはずなのに」と、頭の中は言い訳でいっぱいになる。
見たらすぐわかる情報に目隠しをされた私は、そこにメモしてあるアレコレも登録した時の記憶があるはずなのにその記憶にもどんどん靄がかかっていく自己暗示にかかってしまったようだった。
 
冷静になれば駅には行ったことがあったし 、会場へも1度だけ行ったことがあった。
とはいえスマホに頼っている私は普段、記憶することと行き方を考えることを怠けていて
記憶が全く頼りにならない。
恥ずかしいことに、時計もしてなければ手帳もアドレス帳も持ち合わせていない。
会場の場所確認も現地でやるつもりでいた。
反省の嵐だ。人としての能力が衰えている。
 
とりあえず、今やるべきことは調べたり、修理することではなく、セミナー会場にたどり着くことだった。
私はうじうじ策を練りたい気持ちに蓋をしてとにかく記憶を手繰り寄せ足を動かし、自分の今見ている現実の景色と記憶の景色を照合しなるべく無駄なく動くことに専念した。
初めから私の目的は、セミナーに行くことただ1つだったことを今度こそ明確に思い出した。
 
結局は5分くらいの遅刻で会場に着いた。
持ち物もなく、時間も記憶どおりだったし、さんざん悩み反省した割には拍子ぬけするほど特には何も起こらなかった。
 
最後になったが、この体験を通じて私は1つわかったことがある。
スマホが壊れた際の対応として一番よいのは、当然のことながら自分の使っているキャリアのショップへ持ち込むことだ。
しかし、もしもそれがもっと緊急性の高い時。今見たい情報があるのに見れない際は……。
「自分を信じる」が最善策だ。
スマホの電源が入ったらできることは考えない方が良い。
普段、本当はやればできるのにスマホに甘えて助けてもらっている部分があるのだ。
自分の能力を休めるために目隠ししているのだ。
スマホは便利だが、時には自分ができることを思い出し、しっかりと目を開いて人としての体幹を整えることも大事かもしれない。
 
 
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2017-08-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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