メディアグランプリ

それまでの私は、真っ白な画用紙に、真っ白な絵の具で絵を描いていた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:高浜 裕太郎(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
「あなたの特技は何ですか?」
 
答えられなかった。面接官が、私のことをじっと見ている。品定めでもしているような目だ。そんな目に見つめられると、私は何も答えられなくなっていた。
 
「自分の特技や長所を見つける」
 
この難題にぶつかったのは、私が大学4年生の時、ちょうど就職活動をしていた時だ。その時、私は初めて、自分の特技や長所について考えた。
「私には何が出来るのだろう」
 
そんなことをずっと考えた。けれども、私は大学4年間、ほとんど吹奏楽しかしていなかった。部活動に通うために学校へ行っていたようなものだった。周りの友人みたいに、留学へ行ったり、TOEICで高得点を取ったり、難しい資格を取ったりしていなかった。だから、私には、胸を張って特技と言えるものが無かった。
 
「楽器の技術は、仕事には関係ないやろうしなぁ……」
 
私には吹奏楽しかなかった。だから、得た経験から、何かしら就職活動に使えそうなものはないか、探していた。けれども、「リーダーシップ」とか「積極性」とか、就活生が誰しもは書いているであろう、空虚な言葉しか浮かばなかった。私がやっていた吹奏楽は、こんなに中身のスカスカな、空っぽの箱のような日々だったのかと、悔しくもなった。
 
けれども、私にはそれしか武器が無かった。だから、私に備わっているか、備わっていないかすら分からない、「リーダーシップ」や「積極性」といった言葉を武器に、就職活動という戦場を戦っていった。
 
しかし、そんな武器では、過酷な戦場で戦えるはずがなかった。
 
私の就職活動は、連戦に次ぐ連敗だった。それもそのはずだ。私は、吹奏楽しかしていない学生だ。言い換えるならば、「一色しか使っていない絵」だ。しかも、その「一色」も、中身のない、空虚な色、「真っ白」に近い色だった。そんな絵が、留学に行っていた人や、たくさんの資格を取得した人が描く、色鮮やかな絵に勝てるはずが無かった。
 
そうして、「真っ白な色」しか持たない私も、大学を卒業する1か月前に、ようやく内定を得た。
 
けれども、私の何が評価されたのか、分からなかった。正直、私は自分でも、特筆すべき特徴が無い人間だと、思い込んでいる。
「この会社は、私が欲しくて、内定を出したんじゃない。誰でもいいから、人が欲しかったのだ」
 
と思うようになった。それくらい、私は自分に自信が無かった。
 
そして、その「自信の無さ」は、社会人になっても続いていた。
 
仕事が特別出来るわけでもない。むしろ出来ない方だ。営業職として重要なスキルである、コミュニケーション能力も、高いとは言えないだろう。むしろ、人と話すのは苦手な方だ。
 
そんなことを考えながら仕事をしているうちに、何だか自分が価値の無い人間に思えてしまった。色で例えるなら、「白」もしくは「透明」だ。そんな色をまとった奴にいい仕事なんて出来るわけが無い。
 
「自分にも色が欲しい。何か、人に誇れるような、人から凄いと思われるような、そんな何かが欲しい」
 
そう思いながら生活をしていた。
 
そんなある日、私は、普段見ないTVを付けた。確か夜も遅かったし、何より暇だったのだろう。私は何気なく、目の前の映像を見ていた。
 
すると、ある番組が始まった。その番組は、30歳以下で若手の仕事人を特集する番組だった。これに、当時福岡天狼院の店長をされていた、川代さんが出演していたのだ。
 
川代さんは、番組の中で、自身の過去について話されていた。コピーライターを目指し、広告代理店に就職を希望するも、失敗したという過去。そこから、大型書店で働き始めるも、天狼院書店に戻って、バズを起こす記事を次々と生み出したという過去。川代さんが語った、その過去が、私の胸に矢のごとく刺さったのだ。
 
「この人は、私と同じ悩みを抱えていたのかもしれない」
 
大変失礼な話だが、そんなことを思った。そしてそれは、川代さんが書いた記事を読んで確信に変わった。
 
「この人も、私と同じように、コンプレックスを抱えている!」
川代さんの記事には、他人を羨む内容を、数多く含んでいた。彼女が羨んでいるのは、才能を大いに発揮し、活躍をしている人達だ。川代さんが、彼らを羨んだように、私も彼らを羨んだ。私も、彼らのように、「色鮮やかな人達」を羨んだのだ。
 
そして川代さんは、今や私にとって「色鮮やかな人」になっている。そんな川代さんを見て、私は「この人に少しでも近づきたい」と思ったのだ。テレビに取り上げられる程活躍されていて、バズを次々に起こせる川代さんに、少しでも近づきたいと思った。
 
だから私は、ライティング・ゼミに通い始めた。真っ白で、特筆すべきものが何も無かった私に、このゼミは色を与えてくれるかもしれない。川代さんに色が与えられたように、私にも色が与えられるかもしれない。そんなことを思った。
 
私の日々は、真っ白な画用紙に、真っ白な絵の具で描いた絵のように、空虚な日々だった。けれども、そんな日々が変わるかもしれないと思った。
 
そして、ゼミに通い始めて、4か月経った。まだ、「特技はライティングです!」と自信を持って言えるような域には、達していない。しかし、まだまだ薄いけれども、私にも「色」が与えられたような気がしている。
 
今後も書き続けて、この「色」をさらに濃いものにしていきたい。
そして、ライティング・ゼミで貰った色で、様々な絵を描けるようになればいいなと思っている。
 
もし、この記事を読んでいる人の中に、私のような悩みを抱えている人がいたら、是非、「色」を求めて、ライティング・ゼミの門を叩いてみて欲しい。きっと、あなたに合った「色」が見つかるはずだ。
 
 
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2017-09-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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