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メディアグランプリ

だまし絵とライティングゼミで浮かび上がってきたものは


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:菊地 優美(ライティング・ゼミ日曜コース)

 

 

「野菜だけど、人の顔? 人の顔だけど野菜?」

 

2017年の夏、私は上野の美術館で首をひねっていた。

 

アルチンボルドのだまし絵展。

今年の夏、国立西洋美術館で開かれた美術展だ。

近くで見れば、野菜や花を集めた絵。でも、少し離れると肖像画に見えてくる。

多面的な見方が出来る写実的なだまし絵に、私は魅了されていた。

 

「自分の中の言い表せない、色んな感情を、こんな風に絵で表現できたらなって思うんだよね。今のこの感動とか、言い表せないよ、難しい」

アルチンボルドにすっかり魅了された私は、友人にまくしたてた。

 

常々思っていたことだが、自分の中の稚拙な言葉だけじゃ表せない、複雑な感情が起こることがある。

嫉妬している、愛している、感動している、そんな簡単な一言じゃ表せないような感情。

そういったものを人は絵画や音楽で表現しているんじゃないだろうか。

 

「ああ、私も絵がかけたらな、音楽が出来たらな。この感動を分かりやすくみんなに伝えられるのに!」

こんな私の熱い言葉に、友人は冷め気味に一言、こういったのだった。

 

「いや、言葉があるんだから言い表しなよ。なにも一言じゃなくたっていいんだからさ」

 

 

これが私が天狼院書店のライティングゼミを受講しようと思ったきっかけだった。

人生で時折おこる、この言い表せない感動や衝動を、文章にして誰かに届けられるようになりたい。私が感動する、ロックスターの奏でる音楽やアルチンボルドの絵のように、誰かにガツンとこの衝動が届く、文章が書きたいと。

 

そんな思いで受講を決めた私だが、週に一度の投稿、これが本当に難しかった。

いくつかの決まりごとがあるのだが、その中でも私が一番難しいと難じたのが「ポジ抜け」だった。

どんな話も読者がすっきりとした読後になるように終わらせなければいけない。読み手のことを考えれば当たり前なのだが、これば案外難しい。

悲しい話や怒りを感じる話で人の心を動かすのは、割と簡単なように思う。これらは心の与えるインパクトが大きい。

でも、幸せな話や明るい話で人に衝撃を与えて心を動かすのはなかなか難しいんじゃないだろうか。まず、印象に残りにくい。

 

しかし、ルールはルール。毎週毎週、ポジティブな話、ポジティブな話と考えていた。

まずは身近なところから始めるフリーテーマということで、自分の中にある、自分の人生を振り返って書いていくしかなかった。

人生の中で印象的なことをなんとか思いだし、無理やりにでもポジティブに着地させて書いていくうちに、ふと気が付いたのだ。

 

人生の中で悲劇だと思っていたあの出来事も、この出来事も、実はとらえ方の問題で、ポジティブにとらえることもできたのではないかと。

 

例えば、仕事。つまらない、こんな仕事いつまでもやりたくないと思っていた。

しかし、ライティングのテーマにしてみると、自分は案外仕事が好きで、きちんと哲学と誇りを持って取り組んでいることに気が付いた。

自分がこんな風に思えていたのが意外だったし、前より仕事が好きになれた。

 

例えば、元彼。こっぴどく振られ、二度と恋なんてできないんじゃないかと思っていた。

でも、ライティングのテーマにしてみると、彼のいいところをたくさん思い出すことが出来て、自分の悪いところも反省できた。

なんだわたし、ちゃんと人のことが好きになれていたんだと思えた。きっとまた、恋が出来ると思った。

 

それはまるで、アルチンボルドの絵のようだ。

アルチンボルドのだまし絵は、近くで見たらただの野菜や花の塊だ。

でも、全体を俯瞰してみると、人の顔が浮かび上がる。

 

人生もそうなのかもしれない。

近くで見たら、つまらない仕事も失恋も、ただの悲しい出来事だった。

でも、ライティングのテーマとして、人生全部を俯瞰して見たら、素敵なものが浮かび上がってきた。

 

だまし絵を俯瞰するにもコツがいるように、人生を俯瞰するにもコツがいるように思う。

そのコツを教えてくれるのが、このライティングゼミだった。

どんな出来事も、書くことを通じて、ポジティブな側面を見いだせるようになったのだ。

 

天狼院書店のライティングゼミで人生は変わったか?

答えはNOであり、YESでもある。

NOであるのは、私の今まで歩んできた人生を、変えることはできないから。そして今歩んでいる人生も、急に変わることはないだろうから。ゼミが終わっても私は相変わらず独身のままだし、仕事も劇的にできるようになったわけでもない。

 

それでもYESといえるのは、私の人生への見方が変わったからだ。

今までの人生の中の悲しいと思い込んでいた出来事たちも、ちょっと見方を変えればアルチンボルドの絵のように俯瞰することで、ポジティブな面を持っていたことに気が付けるようになった。

そしてきっとこれからも、悲しいことが起こっても、ポジティブな面に目を向けることができるだろうから。

 

これからも、色んな感情が衝動が現れては消えるだろう。

でも、そんなとき、「ポジ抜け」できる伝え方をしていきたい。

それが私の新たな目標だ。

***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2017-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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