ファナティック読書会
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:下山員須子(ライティングゼミ平日コース)
ファナティック読書会なるものに参加した。
これがなかなか、なんと言うか、良かった。
読書会と言うぐらいなのだから、真面目な討論会のようなものを想像していたのだが、真逆のほっこり系だった。和室のコタツで開催するという、なんとも私好み。京都の祇園にある町屋で、坪庭も見える。夜の祇園はタクシーと人がひっきりなしに店の前を通る。でも、そんな通りを本棚が遮ってくれて、コタツ空間は透明なカプセルに包まれて、本の話に満たされる。
本の題名を間違える私。代わりに正確な題名を教えてくれる参加者。
本の内容を説明できない私。代わりにわかりやすく説明してくれる参加者。
読んだけど、はっきり内容を覚えていない私。丁寧に、題名の意味や、締めくくりの意味などを説明してくれる参加者。
全くテーマと違う本を持ち出す私。上手に話題を持ち上げてくれる開催者。
いままで、わたしはほんのなにをよんでいたのか?
反省しまくりの時間だった。カプセルの中で私一人がついていけず、おぼれて浮いてしまっていた。
本から得られるものは、知識だけではない。フィクションからも、知れることは沢山ある。一文一文に著者の想いもこもっている。
そこで教えてくれたのが、以前の読書会のテーマの「黒い本」。内容が黒いでもOK。表紙が黒いでもOK。黒けりゃなんでもOK。ちなみにグロイでもOKの読書会があったそうな。
面白そう。実は根暗な私の、気になるテーマだな。行きたかったなぁ。えっ? やってくれるの? 第二弾?
それでは、今時のJKやJCがどんな本を読んでいるのか気になるとのご意見をいただいたので、うちの娘を連れて行きましょう。ちなみに、うちの子たちはオタクで今時ではないですがいいですか?
テスト前だろうが、クラブがあろうがそんなことは知ったこっちゃない。行くのだ。こんな機会はそうそう無い。人生何が大事って、経験よ。経験。そして、経験できないことも、本を読むことで補填されるのよ。
ということで、第二弾の「黒い本」のテーマの読書会に、JKとJCを引き連れて行って参りました。
夜の7時半から開催ということもあってか、やはり参加者は大人の方々ばかり。子供はうちの子だけ。逆に申し訳なかったかもしれない。子供がいるからか、せっかくの「黒い本」だったのに、とても言葉を選んで説明してくださる。そして、子供たちの説明も辛抱強く聞いてくれて、助け舟を出してくれる。話題もアニメなども出してくれる。本当はもっとファナティックにお話ししたかったことだろうに。
そう言えば、主催者の方が「参加者の皆さんいい人ばかりだから大丈夫ですよ」と、子供を連れていって大丈夫かと言う私の問いに答えてくれてたけど、本当だった。
そして「黒い本」というテーマだったのに、予想外に大人の良さを感じられた。私は勝手に、人間の嫌の部分とか、暗い話ばかりになるかと思っていた。確かに本の内容は「黒い」が、そこからも読み取れることは沢山あるのだ。「黒い」中から、人生を変えてくれるきっかけや、自分に欠けていたことなどに気づけるのだ。それを今回教えてくれた。さすが大人。
どうやら子供たちもそうだったようで、ずっと猫をかぶっていたが、店を出た直後から大興奮。それもそうだ。学校での発表とは全く違う。大人の話は、感情もこもり、ギャグも時々入り、豊富な人生経験からこの本を選んでお勧めしている理由と想いが伝わるのだから。そして自分は経験しないであろう人生を想像することもできる。
私達大人でも、こういう場でもない限り、他の人がどんな本を読んで、どんなことを感じているのかなど知る機会は無い。子供たちにとっても、価値ある時間だったようだ。
そしてまたもや読書量の違いを実感。皆さん、他の参加者が勧める本をほとんど知っていた。45年生きている私でも驚きだったけれど、人生たかだか15年程度しか生きていない子供たちにとっては、より信じ堅い光景だったようだ。「さすが大人」だそうだ。
あっという間の一時間三十分。柳の並木道を横目に三人で腕を組みながら、きゃいきゃい言いながら、鴨川を渡り駅までの道を興奮気味にしゃべって帰った。あえて人の少ない小路を選んで帰ったけど、もちろん人はいる。会社帰りの大人が私たちの興奮して大きくなった声に振り返っていた。それでも気にせず話し続けた。よその人の目ぐらいでは子供たちの興奮は抑えられなかったようだ。
ふと、後ろを見ると、少し後ろに参加者の一人の方がおられた。自分たちの事が話題にされているのだから、追い抜くに追い抜けなかったようだ。きゃーと、言いながら駅まで急いだ。
もしも次もまた、ファナティック読書会に子供たちを連れて行ったら、ごめんあそばせ。
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