2018年、リア充宣言!
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:霧生 錠(ライティング・ゼミ日曜コース)
年末年始は、これからのこと、これまでのことをゆっくり考えるよい機会だったと思う。
思えばこの2,3年は、平凡なサラリーマンにしては相当にめまぐるしかった。
4百人収容の豊島公会堂で、2回舞台に立ったり、そのご縁で、音楽家や舞台俳優の方と知り合いになり、無償ではあるが、自分の写真がライブのフライヤーやイベント案内に使ってもらったり、ポートレート界の達人達にまざって、渋谷のギャラリーでグループ展に出展した。半年ほど空手をかじってもみた。
2015年の春に、天狼院書店の扉を開けたとき、そこからの展開はまったく予測不能であった。
この小さな本屋が僕の人生を変え、「2018年、リア充宣言!」をさせるに至るとは。
僕は、とある国際的金融機関に勤めるサラリーマンで、そろそろ転出向年齢、つまり定年に差し掛かっている。ただし、年金で生活するまであと10年、近々、どこかの第二の職場でお世話になる予定である。
そのため、我が勤務先では、役員や一部の人を除いて、そのガイダンスから10年以内に職場を変わることが余儀なくされるということで、45歳くらいになると、一斉に、社員の第二の人生に向けた心構えや、退職金の試算による住宅ローンの返済見込み、等々を2日間にわたってガイダンスを行ってくれている。これは、自分の市場価値について考える良いきっかけだったと思う。
我が勤め先からは、金融界で億円プレイヤーや経済評論家、官公庁など自分の知識、経験、スキルを活かして、50代、60代でも活躍されている人が多くいる。しかし、今更どうしようもないが、自分には、市場価値を持つ、知識、経験、スキルがほとんどないことに愕然とした。
それでも、少しでも、第二の就活を意識して、これからの価値を少しでも付け足していこうと考えたのだった。
まず、英語。特に、TOEIC。これは、入社以来何度か受けさせられた代物であるが、いよいよ会社を去ることを意識すると、これには非常な遣り残し感がぬぐえなかった。自分の英語ブームは何年か置きに訪れて、駅前留学に2年ほど通って、また、イングリッシュ・ブートキャンプで3日間、英語付け合宿をするなどして、まあ、何となく意思疎通はできる自信は身につけたのだが、TOEICは、いつもやらされ感の後ろ向きの印象しかなかった。
当時は、600点台そこそこだったので、少なくとも、一応の目安とされる730点を目標とした。この辺りのエピソードは稿を改めて述べたいが、結局、2年ほど集中して頑張った結果、855点を取ることができた。いずれ、900点超えにも挑戦したいが、一応、遣り残し感は払拭できたので、他のことを考えることにした。
手っ取り早い付加価値は、資格だと考えたので、それから、日商簿記2級、あと金融監査系の公認内部監査人(CIA)資格、公認情報システム監査人(CISA)資格、公認アンチ・マネーローンダリング・スペシャリスト(CAMS)資格を取った。
TOEICに関しては、パーフェクト・スコアラーという990点満点を目指して、いや、満点を取った後も、それを受け続けることに大いなる喜びを感じている人が世の中にいて、その様な人から直接話を伺う機会もあったが、その挑戦の魅力は大いに共感を覚えるものだった。仕事関連の資格は仕事の延長にあるので、正直、わくわくとは縁遠い。達成感はあったが、一過性のうれしさに過ぎない。でも、TOEICは、十分に趣味、あるいは生き甲斐にも位置づけられるものだと認識させられた。
ただ、それでも、第二の人生を迎えるのに、すくなくとも魂を揺さぶるものではなかった。
さて、その頃、TOEICの800点超えに向けた情報収集の中で、池袋の小さな書店が、ヒットした。何でも、そこにはTOEIC攻略に関する書籍を集めた棚があるというではないか。
大規模書店の英語学習書コーナーは、種類が多すぎて、むしろコンパクトに厳選されたその書棚に興味を持ったので、早速尋ねてみた。それが、2015年の春。
この書店は、外の階段を上って、2階にあるが、扉は手動式で、あまりにこじんまりとしていたので、数秒間入るべきか入らざるべきか逡巡した。
そのとき、今は福岡にいるスタッフ女性が優しく笑顔で迎えてくれたことは大切な想い出である。ただ、その時は、店に入って、左奥の床にコタツが置かれていたのだが、3名ほどの男女が楽しそうにワイワイガヤガヤしていた。聞くとニコニコTVの配信中とのことだった。そして、目指すTOEIC棚はそのコタツの向こうだったので、攻略本の購入目的はあきらめたものの、この天狼院書店の不思議さが大きく心に刻まれることになった。
2度目に訪ねたときは、TOEIC棚もそこそこに、「花見」と「劇団公演」に興味をそそられた。
2015年春に飛鳥山で行われた「天狼院大花見会」は、衝撃的だった。手品あり、生演奏あり、体験フォト部あり、そして、そのころ劇団天狼院の「世界で一番美しい死体」を観劇したこととあいまってこの書店の多様性には大いに驚かされた。
それから間もなくフォト部に入った。いきなり写真集を作る、というお題にびっくりしつつ、当時、間に合わせの手元写真で、何とか凌いだが、やたら元気な女性カメラマンの引力に吸い寄せられ、今に至っている。
あれから約3年。カメラとレンズがやたら増えた。写真展は3回経験した。天狼院旅部は、皆勤賞を継続中。劇団天狼院では、先の「殺し屋のマーケティング」と「コーヒーが冷めないうちに」で、舞台に立った。そのときの共演者がこの4月にCDを発売するというので、昨日、代々木公園と原宿で、宣材・アート・ジャケット用の写真を撮らせてもらった。昨年11月に1人のモデルを22人のカメラマン作品で彩ったグループ展も、また、今年は30名を超えての開催が予定されている。空手は家族の心配もあり、半年程度であっさりやめた。
2017年、休日も会社帰りも、めっきり忙しくなった。
朝の通勤時間も忙しくなった。知り合いがポッドキャストを配信しているのだ。
こんなに充実できるのか。
定年を意識したとき、一つ浮かんだ言葉があった。
「濡れ落ち葉」
それは、会社に居場所を失ったサラリーマンが、やおら家族、特に、それまで放っておいた妻にべったり頼りかかる迷惑な現象をあらわす、空恐ろしいメタファーである。
2018年。
天狼院には感謝である。年越し天狼院にも初めて参加した。おみくじは大吉だった。
この年の初めに、自律したサラリーマン卒業生を目指して、あえて宣言したい。
「パパは、リア充になる!」
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