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社会人はヒマである。


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記事:柴田香名(ライティング・ゼミ ライトコース )
 
社会人は忙しい。週5日の勤務が定められ、残業も恒常化している。業務外の飲み会は強制で、付き合いも多い。時間のある学生時代に◯◯しておきなさいというアドバイスは耳にタコができるほど聞いた。その言葉を間に受けた大学時代の私は、旅行、勉強、ボランティア、サークル活動など、悔いのないよう様々な活動に手を出した。そうしてついに社会人となった今、大きな衝撃を受けた。
 
社会人は、とてもヒマだ。
 
長時間労働が問題となり働き方改革が叫ばれる昨今、この発言は多方面からお叱りを受けるかもしれない。社会人1年目は責任も仕事も少ないからだという指摘も覚悟している。ただし、私はPR会社という広告に近い業界に勤め、残業時間が過労死ラインを超えたこともある。それでもヒマだと思った。その理由を聞いてほしい。
 
最大の理由は、週休が2日に増えたことだ。
 
中高時代には週休が存在しなかった。授業は、平日に加えて土曜日も半日あることが当たり前。学校外のスポーツクラブにも所属しており、1日5時間、土日も含めた週6日の練習があった。唯一の休みは、学校から帰宅した後の数時間だけという状態だったのだ。
 
大学時代は、週休1日を確保することが目標だった。学生の本分は勉強だが、それだけでは文系学生は就活市場でほとんど評価されない。課外活動として学園祭運営に打ち込み、アルバイトも始めた。予定を調整して週休1日を確保したが、その1日も外出しない日というだけだ。授業の課題や、課外活動で必要な資料作成に取り組むことも多かった。それでも、中高時代に比べたら休みは増えた。
 
そして社会人となり、今度は週休が2日に増えた。労働時間は法律で上限が決められ、有給も与えられている。休みの日に仕事をしようものなら申し訳ない顔をされ、休日に連絡を返さなくても当たり前と思われている。むしろオンオフの切り替えが上手い人の方が評価される。しかも、休日は法律で定められており、週休を確保するための努力は必要ない。
 
会社の同期の1人は「ヒマすぎて、ドラマを全て録画して家で見ている」 と言った。稼ぎが増えたことも相まって、インスタのタイムラインには旅行の投稿が増えた。地方に配属された友人は「帰ってもやることがない」 と愚痴をこぼした。ヒマと感じているのは私だけではないと思う。
 
だから感じたのだ。社会人は意外とヒマではないだろうか、と。
 
今までは、本筋とは別の場所で取り組むことの重要さを刷り込まれて育ってきた。「授業以外の予習復習が大事」「部活動だけでなく文武両道を目指せ」「就活で評価されるために、課外活動で頑張ったことを作れ」 ……挙げていくとキリがない。だからこそ「休日に仕事をしてはいけない」という制約は、初めての衝撃だった。社会人は休日が強制されている。
 
試しに休んでみることにした。
 
休日に外出の予定を入れないことは簡単だった。東京から少し離れた実家で暮らす私にとって、休日にわざわざ東京へ出ることは苦痛だったからだ。大学時代は帰りに立ち寄っていた場所も、社会人となった今では終業時間が遅く閉まってしまう。話題のスポットへ行きたいという気持ちも失せ、新しいことに取り組む気力も失せた。1日中家に篭ることも増えた。そうして休日は、私の精神を徐々に蝕んでいった。
 
休日は、自分から獲得しようとしなければ意味がないものだったのだ。平等権と同じように。女性の政治参画の権利と同じように。つい最近まで労動者の週休は1日だった。私が当たり前に享受している2日の休日も、声を挙げた人々によって獲得された貴重な権利だったのだ。
 
休日は自由だ。友達と旅行に行ったって、恋をしたっていい。それと同じように、仕事をしたって、仕事に関する勉強をしたっていいと気付いた。残業をさせてほしいという同級生の声を聞いたことがある。今まで勉強以外のことにも打ち込んできた人にとって、負けず嫌いな人にとって、仕事が中途半端なまま帰ることは苦痛なのだ。もっと、もっと仕事ができるようになりたい。
 
そうして、かねてから気になっていた天狼院ライティング・ゼミの扉を叩いた。PR会社に勤める人間として、もっと刺さるプレスリリースを書けるようになりたい。報告書や企画書など、人に届ける文書をもっと伝わる形で書けるようになりたい。記者やライターが執筆するときにどんな情報を欲しているのか知りたい。東京まで出かけることが億劫な私にとって、池袋までの往復3時間を3ヶ月続けることは挑戦だ。果たしてちゃんと続くかどうか、今から楽しみである。
 
少しずつ、休日の強制という呪縛を解いていこう。2週間に一度の外出が、待ち遠しくなりますように。そうしてライティング・ゼミ以外にも取り組む気力が湧いてきたら、私は私に反旗を翻すことに成功している。
 
 
 
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2018-02-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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