枕元のタマネギは母の愛
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記事:ももの(ライティング・ゼミ平日コース)
8才になる娘はアレルギー体質だ。
重度の卵アレルギーがあり、完全に卵を除去している。
そのほかに、スギ・ヒノキの花粉にもアレルギー反応がでており、毎年2月のこの時期から、抗アレルギー薬を飲んで、対策をとっている。
今年も、娘の鼻が詰まってきた。味が分からず、息が苦しそうだ。
なんとかしてあげたい一心で、インターネットで、「鼻づまり 解消法」と検索してみる。
息を限界まで吐いて、吐ききったらゆっくりと吸いながら頭を上下に動かす方法、鼻にカイロを当てる方法、小鼻の横のツボを押す方法……
思いのほか沢山の鼻づまり解消法が出てくる。
調べていくと、タマネギを枕元に置いて寝ると、鼻づまりに効くと書いてある。
タマネギの皮にはポリフェノールの一種である「ケセラチン」という成分があるらしい。この「ケセラチン」がアレルギーを引き起こすヒスタミンを抑制し、鼻づまりが軽減されるらしい。
「本当かな?」と思ったが、辛そうな娘をみていると、疑っている暇はない。
私は、冷蔵庫から、タマネギを取り出し、半分に切って、娘の枕元に置いた。
当然だが、寝室がタマネギ臭に包まれている……。
空気清浄機の「ニオイ」ランプも反応して、タマネギ臭を除去しようと稼働している。
鼻が詰まっている娘は、心なしか楽そうに、寝息を立てている。
隣で私はタマネギの強烈なニオイが気になり、マスクをして寝ることにした。
翌朝、娘の鼻の調子が良さそうだ。
娘に聞いてみると「ちょっとだけ、ラクになった気がする」
タマネギ! 本当に効くのか!?
翌日も、タマネギを置いて寝る。相変わらず強烈なニオイだ。これも娘のため、と思いマスクをして寝る。娘は今日もやっぱりスヤスヤ眠っている。
耳鼻科の先生に相談してみようと思い、花粉症の薬をもらいに行くついでに、耳鼻科の先生に聞いてみる。
「先生、タマネギを枕元に置いて寝ると、鼻づまりに効くって本当ですか?」
「え…… 初めて聞きました!」と先生。
「安眠効果があるらしいですよ」と看護士さん。
娘の鼻を診察すると、「あ…… これ、風邪引いてますよ」と先生。
娘は花粉症を発症したわけでなく、風邪をひき鼻づまりを起こしていたようだ。
風邪薬を処方してもらい、家にかえって来る途中、私は考えた。
あの、タマネギは鼻づまりには効いてないらしい……
しかし、タマネギにはどうも安眠効果があるらしい……
また、家に帰って調べてみる。
「タマネギ 安眠」と打ち込んでみる。
そうすると、今度は、タマネギに含まれている「硫化アリル」という成分が安眠効果をもたらすと書いてある。
タマネギ……結構奥が深い。
今回は、娘の花粉症がきっかけで、タマネギの効能について、人体実験を通していろいろ勉強することができた。
そういえば、私が幼かった頃、風邪で喉が痛くて眠れなかった夜、
母が私の首にネギを巻いてくれたことがあったな……と思い出した。
喉の痛みはとれなかった気もするが、あの時の母は、きっと、少しでもよくなる方法を模索して、首にネギを巻いてくれたんだな……
絵として考えると「首にネギ」も「枕元にタマネギ」もシュールな映像だ。
冷静に考えると、笑いがこみ上げてくる。
その一方で、どちらの行為にも、必死で我が子をラクにしてあげたいという
「母の愛」を感じる。
「首のネギ」に愛があったなんて、そのときは分からなかった。
たが、母になった今、同じ事を我が子に行っている今なら、分かる。
そこには「母の愛」があったのだ。
なかなか、両親と一緒にいるときに、「愛」を伝える機会は無いが、今度あったら、伝えてみようと思う。
きっと、「首にネギ」を巻いた私の母なら、タマネギの話、笑いながら聞いてくれるだろうな。
今月、私は誕生日を迎える。もう子供ではないから、両親にお祝いしてもらうことなんて無いが、「命を授けてくれてありがとう」とタマネギの話と一緒ならできそうだ。
私を産んだ時、母は42才だった。
今では高齢出産として、そこまで珍しい話ではないが、今から30年以上前は、まだ、高齢出産はあまり理解されない時代であったらしい。
出産した時はそれこそ、大変な難産だったと母から聞いたことがある。
娘は、タマネギとは関係なく、耳鼻科で処置してもらい、適切な薬を服用することで、鼻づまりが急激に改善した。
それでも、私が娘に、「愛」を表現したいと思ったら、枕元にタマネギを置いてみようかなと思った。
いつか、娘も、子供を育てるときが来たらきっと、このタマネギのことを思い出してくれるといいなと思う。
子育てをしていると、時に視野が極端に狭くなることがあると日々感じる。
しかし、そこには、子を思う母の愛が溢れている。
今日は、どんな愛を見つけられるかな? という視点で子育てをすると、新しい発見があるかもしれない。
娘とのケンカが絶えない我が家だが、その分、愛も溢れているんだ。
自分に自信をもって、娘を育てていこうと思った。
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