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高みを目指す夢見る歩兵《プロフェッショナル・ゼミ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:久保明日香(プロフェッショナル・ゼミ)

 
 
「どうして気がつかなかったのだろう」
いつも見ているはずの本棚で、私の中である出来事が繋がった。私は現代である人に“出会って”からもう半年以上が経っている。その期間、全く気が付かなかった。
 
……いや、私はまだ本当の意味で“出会って”いなかったのもしれない。
 
世の中には、実際に面と向かってみなければわからないことがある。その人の息遣いや微妙な目の動き、醸し出される雰囲気などは手紙やメール、電話や動画では感じることができない。それを知って初めてその人に会ったことがあると言えるのだと思う。
私にそう気づかせてくれる出来事が先週、あった。
 
先週末、私は私用で東京を訪れていた。
日中、行動を共にしていた知人が夜は別の用事があるということで、私は見知らぬ街、東京で2時間ほど自由行動をする時間ができた。
せっかく東京へ来たのだから東京でしかできないことをしようと思った。
いつも東京へ観光に来た時は限定のスイーツを求めて23区内をうろうろするのだが、この日は違った。かねてから機会を見つけて行ってみようと思っていた天狼院書店へ行くことにしたのだ。うまく行けば、いつもパソコンの画面越しに“会っている”三浦さんや川代さんに会って直接話ができるかもしれない。そんな期待を抱きながらスマホを取り出し、天狼院書店の場所の検索を開始した。
 
まずは池袋のWACCAへ向かった。目指すは池袋駅前店。幸いここにはすぐに到着することができた。店内はおしゃれだけれど、スタッフ直筆の本の紹介ポップがあらゆるところにあり、程よいアットホーム感が漂っていた。そんな空間で私は本のラインナップをじっくりと堪能する。十分に満足した私が次に目指したのは、カフェ併設となっている東京天狼院である。
 
池袋駅から東京天狼院まで10分程。WACCAからだと……どのくらいだろうか。ただひたすら目的地を目指して私は歩き続けた。
すっかり日が落ちて暗くなった知らない道を一人歩くのはなんだか心細かった。本当にこの道であっているか不安になってくる。やっぱり諦めてどこかの喫茶店で時間をつぶそうかな、いやいや……とそんな考えを振り払いながら歩き続けること数分、右斜め前方にポッと明かりが灯った1つの小柄な建屋が見えた。
 
「あれだ!」
 
東京天狼院と掲げられた看板の前で一度、深呼吸をする。
たどり着くか不安だった目的地にいざ到着すると、今度は何とも言えない緊張感が私の中に芽生え始めた。
 
階段を上り、ガラス張りのドア越しに中を覗くと、講義を行っている川代さんの姿が見えた。そしてその向かい側では三浦さんが受講生とともに講義を受けている。
「本物だ!」
いつもパソコン越しに“会っている”2人を直で目撃した私は興奮に包まれた。
 
今すぐにでも中に入りたい。だが天狼院書店の勝手がわからない。
講義の途中で入店しても問題ないのだろうか。講義の邪魔はしたくない。どうするのが正解だ? そんなことを思いながら扉の前の小さなスペースを右往左往していると、こちらに気づいた三浦さんと目があった……ような気がした。
更に緊張が高まり、わたわたしている私に内側から「どうぞ」と、あるスタッフさんが扉を開けてこえをかけてくれた。
 
やっと入れた東京天狼院。数メートル先には会いたいと思っていた2人がいる。私は今一度大きく深呼吸をした。そして講義の邪魔にならないように、囁くような声でホットレモネードを頼み、カウンター席へついてからも、できるだけ気配を消して身を潜めるようにして座っていた。
 
「この講義が終わったら挨拶をしよう」
そう決めて頭の中で何度も次の行動をシュミレーションする。講義が終わるまであと10分。もう少しで終わりだ。いよいよ、直接話ができるのだ。興奮で胸が高鳴っていく。
 
数分後、講義は終わったのだが、緊張のあまり話かけるタイミングがわからない私はカウンター席から動けずにいた。冷静に考えると話しかけようとしている相手は社長とその一番弟子だ。どうしよう……。
だけど、行かないと絶対に後悔する。私は心の準備を整えながら頃合いを見計らい、会話が途切れた瞬間、今だ! と思って2人の近くに一歩を踏み出した。
 
「こんにちは。いつもお世話になっております。プロゼミの、久保です」
「「……」」
 
ほんの数秒、三浦さんと川代さんが頭の中をスキャンしているのがわかった。
あぁ、どうしよう! 誰? ってなった? やっぱり突然訪問なんてしないほうがよかった? なんて思っていると
 
「「あぁ!」」
 
という言葉が2人から同時に聞こえた。ほっと胸をなでおろす。
 
その後、2人にいつもありがとうございますとお礼を言うことができた。三浦さんから、次の本に関する熱い構想も聞くことができた。それだけでも大満足だったのだが何よりうれしかったのが、近頃私をずっと悩ませている“書く”ということについて、何に悩み、どう困っているのかを自分の言葉で三浦さんと話ができたことだった。
出た結論はいつもの如く“書くしかない”ということだったのだけれど、私だけに向けられた「書くしかない」の言葉はパソコンの画面越しに聞くのと重みが違っていた。それに、『私』個人の状況に対する的確なアドバイスをもらうこともできた。
勇気を出して東京天狼院を訪れて大収穫だった。
 
行きは不安でいっぱいだった道も帰りはすっきりとした気分になり、足取りも軽かった。
 
三浦さんは、私が思っていた以上に大きな熱量を持って、高みを目指す熱い人だった。周りの人みんなを熱くし、希望を与えて心を動かすんだろうな。
この出会いに浸りながら、私は関西に帰った。
 
家に帰って荷物の片付けが終わった私は休憩がてら、漫画でも読もうと本棚へと向かった。
何を読もうか。本棚を順になぞっていく。そしてあるタイトルが私の目に入った。
 
『キングダム』というその文字を見た時、私は一昨日感じた熱量を思い出した。
この『キングダム』という漫画の主人公“”と三浦さんは実によく似ているのだ! 現代版の信と言っても過言ではないかもしれないと思った。
 
2006年から連載が続いているその漫画は既に50巻もの単行本を発売している。中国の春秋戦国時代を舞台とし、ある一人の少年、信が天下の大将軍に成長していく物語である。
 
私がこの漫画と出会ったのは5年ほど前になる。流行りの漫画ということで書店で手に取ったものの、中国史の話ということだったため、素直に楽しめるのか自信がなかった。
 
だけど、そんな心配は一切いらなかった。
 
史実を基にしているが、親近感のわく人間味あふれるキャラクターや共感できるドエピソード、ドラマティックな展開が物語のあらゆるところに盛り込まれており、すんなりと世界に入り込むことができた。それ以来、お気に入りの漫画として買い集め続けている。
 
物語を魅力的にしているのはやはり、主人公の信だろう。
彼はとにかく熱い。
自分の夢に向かってまっすぐに突き進んでいく姿は読んでいる私も勇気をもらえる。頑張らねばと励まされる。強くなりたいというただならぬ熱量が、ページをめくる度に私にも伝染してくる。その真っ直ぐな姿に読者は憧れ、励まされるのだと思う。
 
信は戦いを経てどんどん強くなっていくのに決して驕り高ぶらないのも魅力の一つだ。
多くの兵を率いる階級になっても、歩兵レベルの仲間を決して無下に扱ったりはしない。むしろ、誰にでも分け隔てなく接し、「自分は特別なんかじゃない、誰だってやればできる」と励ましてくれる。だからこそ歩兵にもやる気がみなぎるし、ひいてはそれが隊の強さへと繋がっていく。
 
また、人望も厚い。信を取り囲む仲間は個性的で魅力的。みんなが信をサポートし、同じ目標に向かって前進している。それぞれが信頼しあっているから隊はアットホームであり、他のどんな隊よりも団結力だってある。
 
一方、現代に生きる信、三浦さんも同等の熱量のある、魅力的な人物だ。
東京天狼院で「今度はこんな本を出そうと思ってるんです」と頭の中の構想をA4一枚にアウトプットし、キラキラと目を輝かせながら熱く語るその姿は、自信と希望に満ち溢れていた。そこにはパソコン越しには感じられない魅力があった。
 
更に三浦さんは会社の代表でもあり、プロとしても多方面で活躍している。それなのに高みの見物をするわけではなく自ら、我々の目の前に現れ「書く量が足りないんですよ」、「この中で僕より書いている人います?」と激を飛ばしてくれる。学びたい人には等しく自分の持っている知識を与えてくれ、やる気を振るいたたせてくれる。そんな人に面と向かって言われた言葉は心に響き、励まされる。
 
だからこそ三浦さんを支えるスタッフ並びに関係者の方々は魅力的な人で溢れているのだと思う。ついて行きたいと思わせる“何か”を持っているからだろう。例えば、私が知っている三浦さんの一番弟子の川代さんは一見、小柄で、女性的。常に三浦先生の横に控えて、的確な相槌とサポートを行っている。だが、そんな彼女は外見からは想像もできないような太い芯が通った読み応えたっぷりの記事を書くライターだ。
私がまだ見ぬ、周りにいる人達もきっとそんな個性豊かで魅力的な人ばかりに違いない。
 
「魅力的なこの人と、仲間に恵まれたこの環境で、高いところまで行きたい」
実際に“会った”ことでその想いはより一層強くなった。
 
私は今、そんな三浦さんを将軍に、川代さんを副将軍に編成を組んだプロフェッショナル・ゼミ、“三浦隊”に所属している。所属してからまだ日は浅いし、戦力としては一端の歩兵レベルだ。だけど、快進を続ける三浦将軍とその周りを固めている仲間に離されることなくついていくことをここに誓う。
 
入隊している仲間は年齢、職業もバラバラだ。時には人員の入れ替わりもある。だが、“書く”という共通の目標を掲げた我々は目には見えない太い団結力でつながっている。
 
先日、“三浦隊”には新しいメンバーも加わり、新しい進軍がスタートした。
気分を新たに、隊員一丸となって高みを目指して進んでいきたい。
 
 
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2018-03-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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