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世界最大級の口コミサイトで1位を獲得したら


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記事:島田弘(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「7年待ちの焼肉屋に行ってきた」
と聞いたときは驚いた。
 
本当にそんなお店があるんだろうか?
 
なんと実在した。
これから予約をしたら、食べに行けるのが2025年。
私の性格上、そんなには待てない。
 
でも、有名店やランキングの高いお店が気にならないかといえば、とても気になる。
博多のラーメンランキング1位、名古屋で1番予約が取れないひつまぶし店と聞けば、
行きたいし、行ってしまうのが私なのである。
 
 
ロンドンで「最も行きたい」レストランに格付けされたお店がある。
ロンドンのレストランの中で1位だ。
ネットで調べてみると、世界最大級の口コミサイトで1位を獲得している。
美味しそうな料理の写真、物置小屋を改装したという可愛らしい外観だ。
レビューも何十件とあり、どれも高評価。食べに行きたいと思っても予約は半年待ち。
 
あなたがもし、ロンドンを訪れているときに、
今夜そのレストランで食事ができると知ったらどんな気持ちになるだろう?
 
私なら、食事に行けるように全力で予定の調整をする。
 
あなたならどうするだろう?
 
 
この話にはオチがある。
世界最大級の口コミサイトで1位を獲得したこのレストラン、実はフェイクなのだ。
 
存在しない。
 
それなのに世界最大級の口コミサイトに掲載され、ロンドンで1位を獲得したのだ。
 
インターネットがこれだけ普及した現在、私たちは買い物をするときや、レストランやホテルを探したりするときに検索をし、そこに掲載されているレビューを参考にする人が多いと思う。
少なくとも私はそうだ。
 
なぜ検索をするのか?
他の人の意見、感想を読んでその商品やサービスが良いものかどうか、自分にとって価値が高いかどうかを判断するための材料にしているわけである。
 
他の人の意見や感想は本当に役に立つのだろうか?
価値が高いと判断するための材料になるのだろうか?
 
 
私は以前、こんな実験をしたことがある。
 
「この2つを飲み比べて」
 
1つは1本1,000円のワイン。
もう1つは、その1本1,000円のワインを1本30,000円のワインボトルに入れたもの。
 
この2本を目の前でグラスに注ぎ、3人に飲んでもらいどちらが美味しいか聞いてみた。
 
結果はどうだったか?
 
3人とも、高価なワインボトルの方が美味しいと判断した。
 
この実験は「芸能人格付けチェック!」という番組でいつも行われているワインの飲み比べを参考にしたものだ。
この番組の中であるときは、ホテルで飲めば1本100万円は下らないというワインと、1本5,000円のワインの比較を芸能人たちが行っていた。
 
 
私はお酒に詳しくないので、この飲み比べをしても100万円の方を当てられないと思う。
答えられるのは「こっちの方が飲みやすい」とか「こっちの方が美味しい」という程度であり、その根拠となるような説明は何もできない。主観でしか答えられない。
 
あなたは100万円のワインと5,000円のワインの違いを明確に説明できるだろうか?
 
ワインは「脳で味わう」と聞いたことがある。
これは、ワインというのは、どこの畑でとれたなんという品種のブドウを使い、どの地域のなんというワイナリーで作られたものか。生産量がどのくらいか。
これらによって、ワインの価値は決まるそうだ。
 
「ボルドーの最高級ワインで非常に貴重なワインです。めったに入荷しないのですよ」
 
私ならこういったストーリーや情報を事前に聞かされると、
一口飲んだ時「美味しい」ではなく
「これが最高級ワイン、貴重なワインの味なんだな」
と考え、
「つまり、これが美味しいワインなんだ」
と認識してしまう気がする。
 
私の主観ではなく、感じ方をコントロールされてしまうという感じだ。
 
私が行った実験では、「こっちは3万円のワイン」という事前情報によって、3人の思考は「こちらの方が高価だから美味しいに違いない」となったそうである。
つまり、私たちの思考は事前情報によって乗っ取られてしまう可能性が高いと感じるのは私だけだろうか。
 
価値がある、価値が高いとは
情報操作によって価値があると思う人をどれだけ作れるのかということ、そんな気がするのだ。
 
その証拠が世界最大級の口コミサイトで1位を獲得したレストランだ。
 
存在していないお店でも、情報操作することで存在しているように見せることができ、知人の協力のもと行われた「やらせレビュー」などによってお店の雰囲気や料理の味に対する信頼度をアップさせることができた。
口コミサイトを見た世界中の人々は「ロンドンのレストランの中で1位」という事前情報により、興味関心を持ち、期待度をアップさせ「行って見たい」「食べてみたい」と感情をコントロールされてしまった。
 
このフェイクのお店の仕掛け人が1度だけ、店をオープンさせた。
 
提供した料理は、スーパーで購入してきた冷凍食品のラザニアとお湯を入れて出来上がるミネストローネ、アイスクリームなどだ。
 
その時のお客たちの反応はこうだ。
 
「とても美味しい」「また来たい」と。
 
 
あなたがどのように情報を発信するのかで他人をコントロールでき、
どのように受信するのかのかであなた自身がコントロールされてしまう。
 
今読んでくださっているこの文章もその1つだ。
 
 
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2018-05-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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