婚活は、イカ釣り漁船に学んだほうがいい
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記事:新野佳世(ライティング・ゼミ朝コース)
ある日、人生の先輩は、諭すように婚活中の私たちにこんなことを言った。
「いい釣り人は、いい漁場を知っているの」
婚活の前に考えているか。
まず、考えてみなさい。どこにいいお魚が住んでいるか。
いいお魚はどこに住んでいるか、まず知っていただろうか。
いいお魚が居る場所を見つけることが大事、とはごもっとも、だ。
全く魚がいないところで釣り糸を垂らしていても、全く時間の無駄である。
これは、かろうじて結婚ができた今、言えることだと思う。
渦中の時には、全くわからなかった。
独身時代、私たちは、非常に行き詰っていた。
同じ境遇の仲間と、出会いがない、と嘆き続けていた。
居酒屋で愚痴っている私たちは、
見るからに近づきたくない女たちで、おっかなかった、と夫は後で語った。
かわいらしいカクテルではなく、次の日の仕事に響かないように、お湯割りの焼酎を飲んでいたこともまずかった。
耳が痛い。確かに思い当たる節がある。
30歳を過ぎた私たちは、ずっとこの話をしていたように思う。
どうして、いい出会いがないのだろうか。
あまりにもいないので、私たちは、ここまで考えた。
そもそも、いい男子は、秋葉原に吸い込まれて、もう地上界に戻れなくなっているのではないか。
そもそも、いい男子が眠っている地下鉱脈があり、中国の「兵馬俑」のように地下に眠っていて、私たちが自ら掘りださなければいけないのではないか。
そもそも、いい男子の完成系など存在しないから、稚魚を養殖するように、私たちが育てなければいけないのではないか。
居酒屋の一角で、生ビールを飲みながら、なんだか寂しい話し合いは続いた。
ある日、そんな私たちの行き詰った会話に、人生の先輩が加わった。
先輩は、私たちの話をしばらく聞いた後、
遠くを見ながら、なだめるように私たちに言葉をくれた。
「いい釣り人は、いい漁場を知っているの。どこにいい男子がいるか、場所を考えなさい」
なるほど、そうだ。まずはWHEREが大事ではないか。
ある友は、こんなことをつぶやき、私にさらにインスピレーションをくれた。
「場所、確かに大事。でもHOWも大事でしょう。
漁に出かけるようなものなんだから。どうやって捕獲するか、だよね」
どこにいいお魚はいるのだろう。
浅瀬なのか、深海なのか、黒潮と暖流がぶつかるところなのか。
どうやったら漁ができるのだろうか。
うーん、深いな。
私は、婚活よりも、婚活について研究するほうが楽しくなってきた。
本末転倒のような気もするが、続けてみよう。
ある日、私はハタと気づいた。
そっか、そうだよ。
なぜ、今まで気づかなかったか不思議なぐらいだ。
婚活は漁なのだ。
私は港町出身なので、知識があった。
そういえば、いろんな漁の方法があった。
近海漁業: 同級生、職場が同じ人など、近場で探していく。
まき餌: 自分の良さをターゲットになりそうな人に、たくさんアプローチする。マスマーケティングで、たくさんの人にアピールする。
カツオ一本釣り:狙いを定め、一人に集中する。
これは、もっともっと出てくるのではないか。続けて考えてみよう。
追いこみ漁: 仲間で魚を網に追い込んでいく
大物のお魚を釣るには、一人では心もとない。
仲間全員で、網に追い込むことが必要ではないか。
そういえば、キング・カズと結婚した設楽りさ子は、当時、
Jリーグのサッカー選手の奥さま達を味方につけ、
「りさこちゃん、いいわよ」と、カズを説得してもらった、と雑誌で読んだことがあった。
大物の魚には、スター選手には、仲間が一丸となった追い込み漁が効果的ではないか。
地引網:力づくで追い込む
これは、男性には恐怖でしかないだろう。その後の結婚生活もうまくいく保証はない。
遠洋漁業: 遠くの場所まで出かけて漁を行う。
例えば、私の友は、地球の裏側、ブラジルまで行った。日本だけでは、心もとない。国際化の時代、どこへでもいい人を探しに行けばよい。
応用編として、養殖も考えられるのではないか。成長した魚を狙わずに、稚魚を育てて成魚にする方法もできる。
そんな会話からしばらく経ち、ひょんなことから夫と結婚した。
交際から6ヶ月のスピード婚だった。
独身の友からは、たくさん質問をされた。
「いいお魚、どこにいたの?」
どの漁に当てはまるだろうか。
それは、うちのTおじさんがやっていた、イカ釣り漁だったように思う。
イカ釣り漁から学ぶことはたくさんある。
イカは、光に寄ってくる習性があり、イカ釣り漁船はたくさんのライトを装備している。
夜、真っ暗な海で煌々と明かりを照らし、寄ってきたイカをすくう。
ピカピカに弱いのだ。
イカ釣り漁 : ピカピカと光を照らし、イカが寄ってきたところをすくう
これはまさに水商売の女性の手法ではないか。ネオンや、きれいなお化粧に寄ってきたお魚をすくっている。
夫とは、趣味のサークルで出会った。私はその頃、期間限定の役職をしており、目立つ存在だった。女性はたくさんいたが、私はそのサークルでは、期間限定で目だっていた。
そして、その頃、夫は悩みを抱えていて非常に暗かった。
覇気がなかった。
その時、彼の悩みを聞いて、明るく話を聞いた。
これが効いたようだ。
私は、期間限定で、自分でライトをつけていた。
イカ釣り漁船のように、たくさんの石油をつかって、煌々と。
夫はその光に寄ってきて、私の網に入ってきたように思う。
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