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週刊READING LIFE vol.83

思いを文字にのせると変えられるもの《週刊READING LIFE Vol.83 「文章」の魔力》


記事:丸山ゆり(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
「ずっとブログを読んでいます」
 
ここのところ、対面ではなくて、zoomというツールを使ってオンラインでの仕事が増えている。
私はもっぱら、お茶会を開催している。
スマホやパソコンなどの環境があれば、参加するのは難しくもなく、場所の移動もないから安全だ。
自粛期間ということで、参加費の方も無料での開催にしているのだが、これがとても楽しいことになっているのだ。
九州や関東圏、さらにはフランスやアメリカといった海外からも、参加してくれている。
これまでは、遠方なのでなかなかリアルに会うことができなかった人たちも、zoomのお茶会だと気軽に参加できるのだ。
 
そこで、「はじめまして」というあいさつから始めるのだが、「ブログ、ずっと読んでいるので、はじめましてってカンジがしません」
そんなことをたくさんの人から言われた。
 
私が今の仕事、断捨離トレーナーとして、個人で起業をするようになってから、ブログを書き始めた。
私にとって、文章を書くことなんて、この世の一番果てにあるような、そんな無縁の世界だった。
小学生の頃、読書感想文や作文を書くなんて、本当に大嫌いだった。
それでも、個人で仕事をする起業家は、自分で自分のことを宣伝して、セミナーやサービスを売らなくてはいけない。
営業マンであり、宣伝部長であり、講師本人でもある。
それには、あらゆるツールを利用して、表現してゆくしかないのだ。
 
「苦手なんです」
 
なんて言っていては、仕事にならない。
書き始めた時期は、書いたブログをアップする前に、よく娘にチェックしてもらっていた。
すると、「お母さん、論理が破綻しているよ」と、しばしば注意されたものだ。
書き終えてから読み返すと、何が言いたいのかさっぱりわからない文章もたくさんあった。
冒頭で言いたかったことと、文末の締めでは内容が変わっていることなんてしょっちゅうあった。
毎日、そんな文章と戦いながら、ずっと書いてきたのだ。
本当に、拙い私の文章をよく辛抱してくれた読者には、感謝の言葉しかない。
 
継続は力なり、とはよく言ったものだ。
そんな文章しか書けない私も、書き続けることで、書く力は少しずつだが、身についてきたようだ。
そんな試行錯誤を繰り返しながら、毎日ブログを書くようになって5年、メルマガを配信するようになって、4年が経った。
 
文章を書くということは、それが嫌いな時代にはわからなかったことだが、自分の頭の中を巡ることでもあるのだ。
手にはペンをもったり、キーボードに向かったりしているが、すべての神経は頭の中に集中している。
今の自分の思いや、ある事柄に関する考えを、文章に載せて吐き出す作業は、自分の頭の中の隅から隅までを覗きにいかなければいけない。
 
そう思うと、これまで文章を書くことが苦手だった私は、自分の思いや考えを他人に伝えることが怖かったのかもしれない。
 
「こんなことを言ったらどう思われるだろう」
 
人の目や意見を過剰に気にする性格だった私を思い出す。
そうか、だから文章も苦手だったのだ。
 
そういえば、ブログを書き始めた頃は、差しさわりのないような内容だった。
 
「私はこう思う」という強い意志はどこにもなかったのだ。
 
だから、ブログを読んだ読者からは、
 
「ふんわりとした文章が優しい雰囲気で好きです」
 
そんな感想をよくもらった。
 
これは、一見、嬉しい感想のように思えるが、要は何がいいたいのか、パンチがイマイチ効いていないということのあらわれだ。
 
そこから、さらに私は文章を書くことに慣れてゆき、少しずつ自分の思いを書き出せるようになった。
「こんなことを書いたら、何て思われるだろう」と考えているのは自分だけで、読者はサラッと読んでいるはずだ。
ブログとはそういう媒体だから。
だったら、どんどん思っていることを書いていってみよう。
ブログを書き続けていることからついた自信のようなものは、さらに私を強くしていった。
 
「もう、なんと思われようが、いい。私は私で、こう思っているんだから」
 
そんな、やや開き直りのような気持ちに変わってから、さらにブログの読者は増えていった。
その意見が合っているとか間違っている、ではなくて、読者はお気に入りのブログから、その人を感じ、エッセンスを受け取りたいのだ。
そして、好みでなければ、読むことをやめるのだろう。
ただそれだけだ。
それは、小説でも同じことだと思う。
 
それよりも、長くブログを書いてきたことで、得られたものがある。
それは、私の思いを文章に載せ、ブログで発信することで、多くの人に気づきを与えているのだ。
その気づきが、その人たちが行動を変えるきっかけとなり、やがては幸せになってゆく。
つまり、拙い私の文章が、いつのまにか、誰かを幸せにしているのだ。
 
あんなにもキライだった文章。
それでも、書き続けることで、私の仕事となり、人の人生に関わることとなっていった。
ああ、文章を書くことって素敵じゃない。
 
あんなにも文章を書くことがキライだった私が、今では誰かの幸せのために今日もパソコンに向かってタイピングしている。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
丸山ゆり(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

関西初のやましたひでこ<公認>断捨離トレーナー。
カルチャーセンター10か所以上、延べ100回以上断捨離講座で講師を務める。
地元の公共団体での断捨離講座、国内外の企業の研修でセミナーを行う。
1963年兵庫県西宮市生まれ。短大卒業後、商社に勤務した後、結婚。ごく普通の主婦として家事に専念している時に、断捨離に出会う。自分とモノとの今の関係性を問う発想に感銘を受けて、断捨離を通して、身近な人から笑顔にしていくことを開始。片づけの苦手な人を片づけ好きにさせるレッスンに定評あり。部屋を片づけるだけでなく、心地よく暮らせて、機能的な収納術を提案している。モットーは、断捨離で「エレガントな女性に」。
2013年1月断捨離提唱者やましたひでこより第1期公認トレーナーと認定される。
整理・収納アドバイザー1級。

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2020-06-08 | Posted in 週刊READING LIFE vol.83

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