原点回帰してみよう《週刊READING LIFE Vol.341「今年必須のビジネススキル」》
*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
2026/01/29 公開
記事:山田THX将治(天狼院・ライターズ倶楽部 READING LIFE公認ライター)
「面倒では有りません?」
アナログのレコード盤を手入れして居るタモリ氏に向かって、宮沢りえさんが言う台詞。
言われたタモリ氏は、
「面倒だから、良いんじゃない」
と、反論する。笑顔で。
これは、某求人情報サイトのCMだ。
私の脳は思わず、幾つもの“?”を立てた。
何故なら、情報サイトのCMで
『面倒“だから”良い』
と、謂う、真逆な表現だったからだ。ネット本来の役目は、手間を省きなるべく面倒を掛けない事だと思うからだ。
もしかして、
『面倒だけど、佳いサイト』
と、謂う意味だったりして。
ま、考えすぎか。
手間が掛かると謂えば、私、
今年から、手帳(スケジュール帳)を、大判の物に切り替えた。
これまでは長年、と謂うか全て、ポケットサイズの手帳を愛用していたのに。
それに、ネットやモバイルに長けた方々なら、手帳を使わずにスマホで事が足りると言われることだろう。
御尤もである。
然し乍ら、昭和人である私は、スマホの操作より手で書いた方が早いのだ。
それに、電源を喪失したらデータが消し飛ぶ恐れが有ったり、少なくとも電源無しではデータ確認出来ないスマホには、一抹の不安が残って居るのだ。
そこで、アナログな手帳でのスケジュール管理と為って居る訳だ。
手帳を大きくした理由としては、三年前から関わっている(受任している)業務が思いの外忙しからだ。更に、年齢と共に下がりつつある記憶力の為、書き留めて記録しないといけなく為ったからだ。
従って、書く事柄が多く為り、ポケットサイズ手帳では、書き切ることが出来なくなったのだ。
当然の結果として、文字を手書きすることが増えた。
その結果と謂っては何だが、大きな問題が起こった。
問題とは、私の字(手書きの)の問題だ。
決して自慢出来るものでは無いが、私は字が頗る汚い。殴り書きしようものなら、再見した時に自分でも解読出来ない程だ。
そこで、今年からは、手帳を大きくしたことで、少し大きな字でスケジュールを書く様にした。
当然だが、大きな手帳は机やテーブルに置いて書くしかしなく、これ迄の様に手持ちで手帳に書き込むことが無く為るので、少しはマシな字を残せると考えている。
然し、今年用の手帳を改めて見てみると、未だ少ししか書き込まれて居ない字は、相変わらず汚い。
字が幾分か大きく為ったので、何とか解読出来るものの、他人様(ひとさま)に見て頂ける様な代物ではない。
全く、困ったものだ。
多分これは、元々の字の汚さが、最近ではスケジュール位しか自書しなくなったので、余計に汚く為ったとも考えられる。
手書きが少なく為って、気が付いたことが有る。
私は自慢では無いが、相当難しい感じでも読む自信が有る。
同様に、英単語はほぼ読むことが出来る。勿論、全てでは無いがかなりの英単語を和訳出来る。
ところがだ、漢字を書くことが苦手だ。ちょいとした、例えば中学校で習う様な漢字と為ると、咄嗟に書けなかったりする。
こちらも同様に、英単語のスペルが怪しい。
逆の一例としては、こうしてPCを使って文字を綴る際に、漢字を多く使用して仕舞う。
これは正に、コンプレックスの裏返しで、PCの検索機能を使えば、読むことは出来きても書くことが出来ない漢字を、手間無く綴ることが出来るのだ。
私は嬉しくなって、漢字の多い文章を綴って仕舞うのだ。
ただ相変わらず、手帳に書き込む際には、いちいち漢字を調べたり、スペルを確認しなくては為らない。
勿論、辞書を引く訳ではない。
- 国語辞典や漢和辞典、更には英和辞典等、本棚の最下段の奥に仕舞い込まれた儘なのだ。
調べるのはもっぱら、PCやスマホだ。
然し、辞書を引くよりは手軽(時間が掛からない)だが、それでも手間が掛かるのは事実だ。
デジタルなのに。
なのでこのところ、数分の空き時間に私は、漢字の練習(書き取り)と、英単語の復習をしている。
勉強の原点回帰だ。
不思議なことに、勉強してみると(少しだけだが)、少しずつ書けなかった漢字が、スマホで変換しなくとも書ける様に為って来たのだ。
同様に英単語も、PCで検索せずとも書くことが出来る様に為って来たのだ。
勿論、年寄りの手習いなので、成果は微々たるものだが。
これからはもう少し、手書きの練習を続けて行こうと思って居る。
手書きと謂えば、最近の若者は、筆記体でアルファベットを書くことが出来ないらしい。学校でも教わらなかったそうだ。
書けないと謂うことは当然、読むことが出来ない。
これは漢字でも同じだ。
書道を習わなくなった(一部では続いて居るが)ことで、楷書は兎も角、行書や草書を読むことが出来ない子供が増えて居ると謂うのだ。
こう為ると、内外共に問題が生じてくる。
それは、筆記体や行書を読めなく為ったことで、先祖が残した文章を解読することが叶わなく為りつつあることだ。
先日の事、NHKのニュース系番組で、アメリカの中高で手書きの教育が見直されているとの内容だった。
同時に、ここしばらく学校で教えて居なかったアルファベットの筆記体を、教える授業が復活したとのことだった。
インタビューを受けた生徒の一人は、手書きでノートを取ると、頭に入り易い(記憶に残る)との感想を述べていた。
教師の一人も、手書きする生徒の習熟度は、格段に上がって居るとエビデンスを示した。
そればかりではない。
筆記体を習った生徒の一人が、家の屋根裏に残って居た、曾祖母の直筆のレシピ(勿論、筆記体)で、代々伝わる家庭料理を再現することに挑戦したのだ。
勿論、筆記体を習い立てだったので、曾祖母の直筆解読は難しかった。途中で、筆記体のネイティブ教育を受けている母親が、助っ人に入って何とか解読できた。
出来上がった料理を食した父親は、
「実に懐かしい」
と、感動の声を上げた。
中でも、アメリカに於ける母の味の典型であるアップルパイには、心底喜んでいる様子だった。
事程左様に、手書き教育の復活は、先祖が残した遺産を実用可能とする点でも役立って居ると謂えよう。
又これは、手書きを多くし始めた私の実感だが、手で書いて残したスケジュールは、手帳を見ずとも記憶している感じがする。
手で書くと、覚えるのだ。
そう、昔、英単語のスペルを覚える為に、新聞の折り込み広告チラシの裏(白紙)を、真っ黒に為る迄、英単語を筆記体で書いた様に。
加えて、手書きはキーボードを叩くのとは違い、いちいち考えながら書くので、時間が掛かるものの、心が籠る様な気がして為らない。
私は確かめることが出来ないが、仕事関係の連絡は、PCを通じてするよりも手書きの方が、気持ちが通じる気もする。
ここは一つ、カミさんに感謝のメモ書きでも残してみようか。
『字が汚い』
とか、誤字脱字を指摘されたら、元も子もないが。
改めて思う。
デジタルが進んだ現代こそ、手書きがビジネスに於ける手書きが、重要なスキルなのでは無いかと。
その前に。
綺麗な字を書くことが出来るのは、いつの時代でも重要なビジネススキルなのではないだろうか。
さぁ、
今晩も少しだけ、漢字の書き取りをしようかな。
《終わり》
〈著者プロフィール〉
山田THX将治(天狼院・新ライターズ倶楽部所属 READING LIFE公認ライター)
1959年、東京生まれ東京育ち 食品会社代表取締役
幼少の頃からの映画狂 現在までの映画観賞本数17,000余
映画解説者・淀川長治師が創設した「東京映画友の会」の事務局を45年に亘り務め続けている 自称、淀川最後の直弟子 『映画感想芸人』を名乗る
これまで、雑誌やTVに映画紹介記事を寄稿
ミドルネーム「THX」は、ジョージ・ルーカス(『スター・ウォーズ』)監督の処女作『THX-1138』からきている
本格的ライティングは、天狼院に通いだしてから学ぶ いわば、「50の手習い」
映画の他に、海外スポーツ・車・ファッションに一家言あり
Web READING LIFEで、前回の東京オリンピックの想い出を伝えて好評を頂いた『2020に伝えたい1964』を連載
続けて、1970年の大阪万国博覧会の想い出を綴る『2025〈関西万博〉に伝えたい1970〈大阪万博〉』を連載
加えて同Webに、本業である麺と小麦に関する薀蓄(うんちく)を落語仕立てにした『こな落語』を連載する
更に、“天狼院・解放区”制度の下、『天狼院・落語部』の発展形である『書店落語』席亭を務めている
天狼院メディアグランプリ38th~41stSeason四連覇達成 46stSeason Champion
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