2020年はモノより場所にこだわるべき《週刊READING LIFE Vol.66 買ってよかった! 2020年おすすめツール》
記事:鹿内智治(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
「本当にここで集中できているのだろうか?」
文章を書いたり、本を読んだり、勉強したりするとき、どこで作業されているだろうか。
家だと誘惑が多いので、ほとんどの方はカフェを利用されているのではないだろうか。コーヒーを飲みながら1,2時間、長いときで3,4時間いるようなことがあるかもしれない。
カフェだとひとりの空間を作れる。イヤホンをして音楽を聞けば、周りが気にならなくなり人の声をかき消すことができる。頭が疲れてきて糖分が欲しくなったら、軽食やケーキや甘めのドリンクなど揃っている。いつも座わる席が決まっていて、集中して作業することができる場所になっているかもしれない。
私も3年前まで、文章を書いたり、本を読んだり、資格の勉強をしたりするときはいつもカフェを使って。だいたい同じ席に座り、いつもホットのカフェ・モカのLサイズを頼んでいた。糖分を補給するためにモカ。2,3時間はいるつもりで一番大きなLサイズだった。カフェの利用を1年くらい続けたときに、あることに気付いたのだ。
「本当にここで集中できているのだろうか?」
イヤホンをして音楽を聞いていても、近くの会話の声は聞こえてくる。仕事のグチ、商談、勧誘、世間話などテーマまで分かってしまう。いつの間にか聞き入っていたこともあった。「話を聞いてはダメ」と自分に言い聞かせても、そう思うほどに集中力は失われていく。しまいには帰りたくなる。
次に問題はイスである。イスが固すぎることはないか。座っていてお尻が痛くなり座り直す。それでも痛くなるので、だんだんと背中を曲げてみる。姿勢を悪くして座るようになる。そんな姿勢でいると今度は腰が痛くなってくる。正しい姿勢がカフェでは分からなくなる。ソファ席だとお尻が痛くなることは少ないが、パソコンなどの作業をすると、前かがみになりやっぱり悪い姿勢になる。数時間座るのには適してはいないのだろう。
加えて、混んでくるとなんとなく居心地が悪い。席に座るための列ができたりすると、長くいることが悪いように感じてきて、落ち着かなくなる。よく考えてみると、カフェは長くいるのには適していないように思えてくるのだ。
それで私が次に向かったのは、図書館だった。
図書館にはどこも勉強できるような机が用意されている。静かなので勉強をするのにも、本を読むのにも、適しているように思うかもしれない。加えて、同じように勉強している人がいるので、自分も頑張ろうとやる気をもえると思うかもしれない。
でも、実際は、あまりそうでなかった。仕切りはなく、人の出入りが多くて、周りの動きが気になってしまう。普通に寝ている人がいて、心地よい日の光から自分もウトウトと眠くなってしまうことがあったのだ。
つまり、気軽に入れる場所ほど数時間作業をするには、適してないことが分かってきたのだ。
では、どこならいいのだ?
自分の作業に没頭できて、高い集中力を維持できるのはどこなのだ?
悩んでいろいろと調べた結果、たどり着いたのが「有料自習室」だった。
「有料自習室」になじみがない人はGoogle検索してみてほしい。自宅の住所、または勤務先の住所と一緒にキーワード検索してみれば、引っかかってくると思う。都心を中心にあまり目立たないがその数は増えてきている。私は都内に住んでおり、今利用している自習室は自宅から徒歩5分のところにある。1カ月あたりおよそ1万円。価格は結構高い。でも、それを越えるメリットがあったのだ。
まずは、集中しやすい環境であること。
教室ごとに違うと思うが、ひとりひとつの机になっていて、机の左右と前面に仕切りがあり、周りの人たちの様子が全く視界に入らないようになっている。人間はどうしても動くものが気なってしまうものであるが、視界に動きが入ることがないので、集中力を邪魔されることがない。よく予備校にあるようなひとりひとつの机を思い浮かべていただければよい。目の前に自分が作業するものしかない状況は、余計な情報がシャットアウトされるので、とても集中しやくなる。加えてとても静かである。お金を払って場所を利用する人たちであるから、しっかりマナーを守れる人たちである場合が多いのだ。
次に、24時間利用できる点である。
カードまたは暗証番号を使って入退室が管理されている。部屋のなかには、監視カメラがついていて、中にいる人たちの様子が逐一監視されている。普通に利用する人にとって、監視カメラは全く気にならない。24時間利用できるジムがあることをご存知だろうか。それと利用の仕方とセキュリティは同じである。
私の利用の仕方は、だいたい朝4,5時から8時までの4時間を利用することが多い。この時間帯はとくに利用者が少ないために、フロアーをほぼひとり貸し切りになる。ひとりだととても落ち着く。朝5時には起きるので、夜9時には寝るようにしている。そうすると、当然残業しないように仕事を効率化するようになっている。自習室を使うようになって超健康的な生活になっていった。
自習室は私にとってまさに書斎なのである。
うちは妻と子どもと3人家族で、子どもはもうすぐ小学生にあがる。これから子供部屋を作るなど考えると、自分だけの部屋をもつことは難しい。引っ越しも考えたが、引っ越しするほど、ひとり部屋が欲しいとは思えなかった。でも、勉強したり、スキルアップしたりするために集中できる場所を確保したい。そういう人には自習室はぴったりだったのだ。
自習室は、自宅のひと部屋だと思っている。月1万円のお金も賃貸の一部だと思っている。たった1万円で、一人部屋ではないものの、一つ部屋増やすことができるのだ。こんなに楽に部屋数を増やせる方法はないだろう。もし自習室が気に入らなくなれば、契約を止めてしまえばいい。自習室なら気軽に手放すことができる。引っ越して、「気に入らなかった」となったら、それこそさらに時間もお金もかかってしまう。手軽にひと部屋を持てるメリットは大きさを感じている。
社会人にとって、パフォーマンスの高いアプトプットしていくことはこれからの時代にさらに求められてくるのではないだろうか。私の場合、本業務の資格取得に加えて、英語の試験の点数アップのほかに、ライティングゼミとライターズ倶楽部の週次の課題、自前のブログの運営があるために、効率的なアウトプットが求められる。それを実現するのに、適した場所がやっと見つかったのだ。
カフェや図書館でもいいと思う。でも、こういった極上の場所を2020年の区切り良い年に一度は作ってみるものも良いのではないだろうか。
◽︎鹿内智治(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
東京都在住。明治大学卒。妻と息子と3人暮らし。
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