第71回：方向性のない相場で利益確定したぞ、の巻《素人投資家いちねんせい実況中》
記事：安光伸江（READING LIFE編集部公認ライター）
「方向性がないんですよね」
いつもの証券会社の担当のにぃちゃんことＭ師匠はそう言った。週末のＳＱとやらを控えて、相場がどう動くかわからないそうだ。
ＳＱとは、先物とかを最終的な決済期日前で決済するための「特別な価格」のことだ。Special Quotation の略だって。３・６・９・12月の、日本は第２金曜日、アメリカは第３金曜日がその期日らしい。らしい、とは心許ないが、テレ東ビジネスオンデマンド（ＢＯＤ）で見た番組では先週がＳＱだったといっていたことと、Ｍ師匠が今週がＳＱといっていることで、Ｍ師匠はアメリカ株信者だからアメリカがそうなんだろうな、と思ったわけだ。例によってよくわかってないけど、ともかくこの時期は荒れるらしい。
「この相場だったら、利益をとっていかないといけませんね」とＭ師匠。下がった時は買い、上がったところで売る。上がって下がって、ある範囲をもって動いていく「ボックス相場」の時は、３ヶ月とか６ヶ月とかの単位でチェックして、ボックスの上に抜けたらさらに上がるということだからそれは買っていいんだそうだ。わかったようなわからんような。
さて今週は15日月曜日に三菱商事が2355円で買えた。というか買ってしまった。その前から2348円で指値はしておいたんだけど、15日午後２時過ぎに株価が動いて、きゅ～っと下がってはまた上がっていく、というのを繰り返していたので、2355円に指値しなおしたら買えちゃった。大引けまであと数十分のところだったので、「2355円で買えました」とＭ師匠に報告して、まぁいいかな、と思っていたんだけど、終値は2341.5円だった！ うわ～1500円損した！ あれからまだ下がるなんて！ でもこの動きは素人にはとても読めない。
三菱商事の平均取得価格は2300円をほんの少し切るところになった。去年だったか三菱商事をＭ師匠に勧められて買った時は100株で30万円かかっていた記憶があるから、それに比べればずいぶん安い。なんとなく三菱商事は3000円まで行く気がするから、しばらく持っていてもいい気がする。それに配当もいいっていうし。200株あれば、上がった時に100株売って、100株は配当のためにとっておくこともできる。よしよし。私にしては上出来だ。
そして15日の夜はマイクロソフトとセールスフォースを買い増してみた。マイクロソフトは始値の184.53ドル、セールスフォースは172ドル。マイクロソフトの簿価は少し上がったけど、170ドル台だから問題ない。上がった時に売る予定。と思っていたら金曜日に199ドルで売れた。なんか値動きが激しいなぁ。
16日は日経平均が1051.26円も上がった。今年に入って３番目に大きい値上がり幅だそうだ。ＮＨＫによれば「米国の積極的な金融政策や財政政策への期待から、前日に売っていたヘッジファンドや個人投資家の買い戻しが膨らんだ」そうだ。ど～っと売ってど～っと買う。めまぐるしい。いやはや。ついていけんわ。
それで、Ｍ師匠の解説によれば
ＳＱ算出日は、荒れる
世界が不安だと円高に振れる＝円が強い
とのことだった。そういえば107円とか106円とか円高方向に来ているなぁ。みんな、不安なの？ コロナの第２波がどうのこうの、とかメディアには書いてあるけど、Ｍ師匠は「後付けじゃないですかね」という見解を変えていない。「書くことないんじゃないですかね」と言う。実際どうなるのか読めないから、カンでやっていいじゃん、と思うんだけど
「カンでやっちゃダメです」
とまたまた釘をさされた。７～８割くらいまではデータに基づいて動いた方がいい、というのだ。そうはいっても最後はカンじゃん？ 調べることは調べる。だけど最後は心理戦だから、えいやっ！ と買っちゃうか、売っちゃう。ダメ？ そんなのダメ？
ただ、先日教えてもらった（自力でも探し出した）ダウ先物の値が見られるサイトのおかげで、今夜は上がるかな？ 下がるかな？ という予想はたてやすくなった。だいたい合ってるから、今までみたいに取引開始の10時半が近づくにつれてドキドキすることはなくなってきた。こころ安らかに眠れる……かというとそうでもなくて、夜中に枕元のiPhoneで株価アプリを見ちゃうんだけどね。
あと、方向感が見えない時は、高めに売り、安めに買う指値をしておくくらいでいいそうだ。売れたらラッキー、くらいの心持ちでいるといいらしい。
で、19日金曜日の夜は、気がつけばマイクロソフトが199ドルで売れていた。650ドルほどの利益が出た！ それでドルがたくさんできたので、F5ネットワークスを夜中に買ってみた。いちばん下がっているところではなかったけど、成行で134.95ドル。その後明け方までには上がったから、まぁまぁのところだったかな、と思っている。
さて、今週いろいろなサイトを見ていたうちで気になったのは、「持ち株を売るのが正しい場合」というまとめだった。
１．お金がいるとき
２．その銘柄を買った理由がなくなったとき
３．その銘柄のリスクが過大になったとき
４．素晴らしく期待リターンの高い他の銘柄が見つかったとき
トウシルの「買値基準は間違い！ 正しく株を売る方法」という記事に載っていた。山崎元さんの書かれた６月１３日付けの記事だ。
で、お金がいるとき、というのはこないだのお風呂のリフォームとか、クレジットカードのお支払いがたくさんいるときとか、そういう時だな、と理解した。２はよくわからない。３はペッパーみたいに業績がヤバそうな時かな？ 損切りして売ったもんな。４の乗り換える銘柄が見つかった時、というのはＭ師匠にも言われていたような。上がるのが遅れている銘柄に乗り換える、みたいなことを言っていたっけ。
ともかくお金がいるときか乗り換えるときじゃなかったら別に売らなくていいよ、というのはわかった。私は10％くらい利益が出たら売ってもいいじゃん、と思っちゃうんだけど、Ｍ師匠は20～30％くらい取れるものもある、って言っていた。マイクロソフトを全部売っちゃったのは怒られるかもしれないなぁ。利益が650ドルということは税金でだいぶ持って行かれるから、また「入金してください」って連絡が来るかもしれないな。楽天銀行と証券口座とは、日本株の取引だと自動的に資金を移動してくれるんだけど、アメリカ株の時は自動的にはいかない。税金を払うのに日本円が足りない時も、ドルを円に戻すか銀行口座から入金するかしないといけない。そのへんがちょっと面倒だけど、なんでも自動になったらお金の動きに関する感覚が鈍るかもしれないから、これくらいでいいのかもしれない。電子マネーをオートチャージにしておいたらたくさん使っても気がつかないようにね。
それで週末の日経とダウを見てみると
6/11（ってメモには書いてあったけどたぶん12日）
日経 22,305.48
ダウ 25,605.54
6/19
日経 22,478.79
ダウ 25,871.46
あれ、少し上がってる。なんか続落と言ってる日が多かったから、下がってるかと思っていた。とりあえずＳＱとやらは終わったので、来週はまた穏やかな日々が戻ってくる……わけはないな、コロナと米中が心配だよな。
そんなわけで間もなく夏至を迎える6/20現在の持ち株は
三菱商事200株
ビザ70株
フェラーリ40株
セールスフォース100株
レイセオン40株
F5ネットワークス20株
となった。評価損益、プラス104,651円。いい線いってるかな？ マイクロソフトがなくなったのはちょっと寂しい。利食った分は円にして、残りでまたマイクロソフトを買うかな？ アップルも欲しいんだけど、高いなぁ。アップルの目標株価は400ドルを超えているところもあるそうだから、今から買っても大丈夫、とＭ師匠は言っていたけど……でもなぁ。う～ん。もちろんアマゾンは高すぎて買えない。分割してくれないかな。
それと医療機器のファンドの分配金（年２回）が入ってきた。お風呂のリフォームにはぜんぜん足りないけど、国からもらったお小遣いよりは多かった。これでしばらくは暮らせそうだ。
少しずつ、少しずつ、利益をあげて、資産を増やしていこう！ カンだけじゃなくて、データも見られるようになろう！
素人投資家いちねんせい、経済も英語も勉強するぞ！ と息巻いているのであった。
つづく。
❏ライタープロフィール：安光 伸江(READING LIFE編集部公認ライター)
山口県下関市出身・在住。下関西高、東京大学卒業、東京藝術大学大学院修了。
大学卒業後は東京で声楽・器楽の伴奏ピアニストや音大非常勤講師などの音楽活動をしていたが、2008年９月、リーマンショックの１週間前に病気療養のため実家に帰る。その後2016・2018年と両親を看取り、金融資産と土地家屋を相続。2016年に乳がんの全摘手術と抗がん剤を体験した乳がんサバイバーでもある。iPad Pro・mini＋Apple Pencil愛用、4Gガラケー(au)、iPhone 11・7 plusとPixel 3を格安SIM利用、電話代込みで合計月3000円ほどで使うなど大のガジェット好き。パソコンの日本語入力は平成の初めからずっと親指シフト派。ライター、ブロガー、素人投資家。
天狼院メディアグランプリ 21st season 総合優勝。
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