春フェス vs. 冬フェス あなたはどっち派? それぞれの魅力を徹底解説!《週刊READING LIFE Vol.296 あなたはどっち派?》
*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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2025/2/20/公開
記事:内山遼太(READING LIFE編集部 ライターズ倶楽部)
「あなたの求める音楽は、屋外の春フェスか? 屋内の冬フェスか? どちらだろうか?」
広大な野外で、春の陽光を浴びながら踊る春フェス。あるいは、寒さを忘れて熱狂できる、全天候型の屋内冬フェス。どちらも音楽を愛する者にとっては至福の時間であり、日常からの解放の象徴だ。
フェスの楽しみ方は人それぞれだ。アーティストのライブを全身で感じたい人、フェス飯やアクティビティを楽しみたい人、音楽に包まれた特別な空間で過ごすこと自体を目的とする人——。そのすべての要素を考慮したうえで、私は「屋外春フェスこそ、フェスの醍醐味を最も感じられる場である」と断言したい。
春フェスの最大の魅力は、「音楽を五感で楽しめること」にある。
例えば、会場に到着する瞬間の高揚感。目の前には果てしなく広がる芝生、遠くにそびえる巨大なステージ、すでに開演を待ちきれずに盛り上がる観客たち。鼻をくすぐるのは、屋台から漂う香ばしいグリルの匂い。そして、足元からは地面の振動が伝わり、遠くからリハーサルのドラムの音が響いてくる。
朝の澄んだ空気の中、最初のアクトが始まる。青空の下、ギターの音が広がる瞬間、フェスが本格的に幕を開けるのだ。
春フェスの魅力は、開放感だけではない。何より特筆すべきなのは、「新人アーティストが大きな舞台に立つ場面を目撃できること」だ。
普段はライブハウスや小規模なイベントでしか見ることができないアーティストが、広大なステージに立ち、観客の前で堂々とパフォーマンスをする。最初はまばらだった観客が、音楽に引き寄せられるように集まり、最後には大きな拍手が巻き起こる。その瞬間を目の当たりにするたび、「このアーティストはきっと大きくなる」と確信するのだ。
実際、春フェスで知ったアーティストが数年後にはメインステージのヘッドライナーになることも珍しくない。小さなテントステージでひっそりと歌っていたシンガーが、今や数万人の観客を前に堂々とパフォーマンスをしている——そんな成長の物語をリアルタイムで体験できるのも、春フェスの醍醐味だ。
例えば、かつてインディーズバンドとして小さなステージに立っていたアーティストがいた。観客は十数人程度。演奏が始まると、力強い歌声とエネルギッシュなパフォーマンスに足を止める人が増えた。次第に彼らの周りには人だかりができ、曲が終わるごとに歓声と拍手が大きくなっていく。その場にいた人々は「何かすごいものを目撃した」と確信していた。そして数年後、そのバンドはメインステージでトリを飾るまでに成長した。
このように、「発見と成長」を目の当たりにできるのは、春フェスならではの魅力だ。
また、春フェスの醍醐味は「その場にいるだけで楽しい空間」であることにもある。
ステージ前で踊るのもいいし、芝生に座ってリラックスするのもいい。フードエリアを巡りながら、ご当地グルメを堪能するのも最高の楽しみ方だ。唐揚げや焼きそば、クラフトビールにスパイスの効いたカレー……お祭り気分を味わいながら、お気に入りのアーティストの音楽を聴く。これほど贅沢な時間はない。
さらに、春フェスは「時間の流れとともに雰囲気が変わる」のも特徴的だ。
昼間はエネルギッシュなパフォーマンスが続く。アーティストたちは観客を煽り、一体感を生み出していく。観客もまた、音楽に合わせて手を挙げ、踊り、声を上げる。
しかし、フェスの楽しみはそれだけではない。夕暮れ時、会場の雰囲気は一変する。
日が沈み始め、空がオレンジ色に染まるころ、アコースティックな音楽が流れ始める。キャンプサイトでは、人々が焚き火を囲みながら語らい、芝生に寝転がって静かに音楽を楽しむ姿も見られる。春フェスは、時間とともにその表情を変えるのだ。
そして、夜が訪れると、ステージの照明が際立ち、幻想的な空間が広がる。春の夜風が心地よく、暖かいコーヒーやホットワインを片手に、星空の下で音楽に浸る時間は格別だ。
春フェスには、「音楽のすべてが詰まっている」と言っても過言ではない。躍動感、解放感、そして新しい音楽との出会い——それらが混ざり合い、忘れられない体験となるのだ。
また、春フェスでは、音楽を楽しむだけでなく、そこに集まる人々との交流もまた、大きな魅力の一つだ。
音楽を通じて自然と会話が生まれ、初めて会った人とも一緒に踊り、歌い、同じ時間を共有する。普段の生活では決して交わることのない人々と、音楽という共通の言語で繋がれる。それが、フェスという特別な空間の持つ魔法なのかもしれない。
しかし、だからといって、屋内冬フェスを否定するわけではない。
むしろ、冬フェスには春フェスにはない「特別な魅力」がある。
春フェスは、青空の下で自然と一体になりながら音楽を楽しむ解放感が魅力だが、冬フェスにはまた違った楽しみ方がある。
冬フェスは、天候に左右されず、最高の音響と演出のもとで音楽に没頭できる環境が整っている。後方で座りながらじっくり楽しむもよし、前方でアーティストと一体になって熱狂するもよし——自分のスタイルに合わせて楽しめるのも大きな魅力だ。
では、冬フェスの醍醐味とは何なのか?
次に、その魅力について考えてみよう。
冬フェスには、春フェスとは異なる特別な魅力がある。
春フェスのような開放感はないかもしれない。しかし、屋内だからこそ実現できる「音楽の没入感」「快適な環境」「自由な楽しみ方」は、冬フェスならではの醍醐味だ。
例えば、会場のドアを開けた瞬間の感覚。外の寒さとは対照的に、そこには別世界が広がっている。天井を駆け巡るレーザーライト、身体を震わせるほどの低音、そして観客の熱気——。この瞬間、日常から切り離された「音楽だけの世界」が目の前に広がる。
まず、冬フェス最大の強みは「天候に左右されないこと」だ。
春フェスは屋外ならではの気持ちよさがある反面、天気が悪ければその魅力は半減してしまう。突然の雨で全身ずぶ濡れになったり、強風でステージの音がかき消されたりすることもある。昼間は暖かくても、夜になると急に冷え込み、思いのほか体力を消耗することもある。
その点、冬フェスは屋内開催のため、天候の心配が一切ない。外がどれだけ寒くても、会場内は一定の快適な温度に保たれており、厚着を気にせず自由な服装で楽しめる。雨が降ろうが雪が降ろうが、音楽のクオリティが損なわれることはない。
そして、冬フェス最大の特徴といえば、「音楽を最高の環境で楽しめること」だ。
屋内フェスは、多くの場合、アリーナやドームといった大型会場で行われる。これらの会場は、音響設備が充実しており、アーティストが表現したい音を細部までクリアに届けることができる。
屋外では音が拡散しやすく、風に流されてしまうこともあるが、屋内ではその心配はない。ベースの重低音が体の奥まで響き、ギターの音色が鮮明に伝わる。ボーカルの繊細なニュアンスまでもしっかりと聴き取ることができるのは、屋内ならではのメリットだ。
また、屋内フェスでは、音楽だけでなく照明や映像を駆使した演出が大きな魅力となる。
春フェスでは自然光のもとでの演奏が基本となるため、照明や映像の演出は制限される。しかし、屋内フェスでは、完全にコントロールされた環境の中で、アーティストが理想とする演出を最大限に実現することができる。
レーザーが天井を駆け巡り、巨大スクリーンには幻想的な映像が映し出される。ステージ全体がまるで異世界のように変化し、音楽と視覚が一体となることで、没入感が格段に増す。
例えば、あるアーティストのライブでは、楽曲のリズムに合わせて会場全体が光に包まれ、まるで音楽の波の中にいるかのような感覚を味わうことができた。赤、青、緑と瞬時に変化する照明、天井から降り注ぐ星のようなLED、スクリーンに映し出される映像——それらが楽曲と完全にシンクロし、観客を異次元へと誘う。
こうした演出は、屋内だからこそ実現できるものだ。
さらに、冬フェスの大きな魅力の一つに「自由な楽しみ方ができること」がある。
春フェスの場合、ステージ前方で盛り上がるには朝から場所取りをする必要があることが多い。しかし、屋内フェスでは、基本的に座席が指定されていることが多く、快適に楽しむことができる。
後方エリアの座席に座り、じっくりと音楽に浸るのもいい。ステージ全体を見渡しながら、最高の音響環境のもとで演奏を楽しむことができる。アーティストの細かな表情やステージ演出を落ち着いて味わえるのは、冬フェスならではの楽しみ方だ。
逆に、スタンディングエリアに移動すれば、前方でアーティストと一体になって盛り上がることもできる。ライブごとに自分のスタイルを変えられる自由度の高さは、屋内フェスならではの魅力だろう。
また、冬フェスは、音楽以外の楽しみも充実していることが多い。
会場内には、フェス飯を楽しめるフードエリアや、アート展示、ワークショップ、グッズ販売など、さまざまなコンテンツが用意されている。
春フェスでは、広大な会場を移動する必要があるため、ステージ間を移動するだけでも時間がかかる。しかし、屋内フェスではすべてが一箇所に集約されているため、ライブの合間に気軽に別の楽しみを見つけることができる。
こうして見てみると、「春フェス」と「冬フェス」は、それぞれ全く異なる魅力を持っていることがわかる。
春フェスは、青空の下で感じる開放感、自然との一体感、新しい音楽との出会いが醍醐味だ。屋外で太陽を浴びながら踊る幸福感、心地よい風に吹かれながら音楽に浸る時間、そして、成長途中のアーティストが大きなステージで輝く姿——それらが、春フェスならではの体験を作り上げている。
一方、冬フェスは、天候を気にせず、最高の音響と演出のもとで音楽に没入できる環境が整っている。後方で座りながらゆっくり楽しむもよし、前方でアーティストと一体になって熱狂するもよし——自分のスタイルに合わせて楽しめるのも大きな魅力だ。
どちらが優れているかという議論は、ナンセンスかもしれない。
なぜなら、「どのフェスを選ぶか」は、「どんな音楽の楽しみ方を求めるか」という問いに直結するからだ。
太陽の下で自由に踊りたいなら、春フェスへ。
寒さを忘れて幻想的な空間で音楽に没頭したいなら、冬フェスへ。
どちらを選んでも、そこには「音楽を楽しむための最高の空間」が広がっている。
だからこそ、大切なのは、「自分の心が最も動くフェスを選ぶこと」だ。
「あなたのフェスは、どこにあるだろうか?」
□ライターズプロフィール
内山遼太(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
小学生時代、鹿島アントラーズで不屈のプレイをする選手たちに見せられて、自分もそんな人間になりたいと思いながら、少年時代を過ごす。高校生になり、選手たちのような不屈の精神を持った人たちを裏から支える仕事をしたいと考え、作業療法士の道を志すようになる。大学卒業後は、終末期の病院で神経難病の患者さんを中心にリハビリの経験を積み、現在はデイサービスで生活期の高齢者を中心に、予防医学のリハビリを提供している。また、その傍らで新人療法士向けのセミナースタッフや講師も行なっている。
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