観葉植物を50株以上育てる私が勧める植物《週刊READING LIFE Vol.333「フリーテーマ」》
*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
2025/11/27 公開
記事 : 茶谷 香音 (READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
「もしかすると、私たちは植物に利用されているのではないだろうか……」
『植物たちの不埒なたくらみ』を読み始めたら突然、筆者の稲垣栄洋氏はそんな衝撃的な言葉を私に突き付けた。私たち人間が……利用されている? 植物に?
稲垣氏は、続けてこう綴った。
「(まさかね)
私は一人で苦笑いすると、コーヒーを飲み干した」
いやいや。待ってくださいよ。
早く続きを教えてくださいよ。気になるじゃないですか。
そんな気持ちで、さらにページを読み進めた。
『植物たちの不埒なたくらみ』によると、植物性の食べ物たちはどうやら、私たち人間を利用しているらしい。例えばイネとか大豆とかトウモロコシとか。人間の手によって、彼らは生きる場所を広げてきた。なんて強かなのだ。
(詳しくはぜひ一度、『植物たちの不埒なたくらみ』を読んでみてほしい。実にスリリングだ!)
面白さと若干の不気味さを感じながら本を読み終えると、私はホッとして自分の部屋を見渡した。
棚の上、天井、本棚の前。至る所に植物がいて、そこはまるでジャングルだ。
木のもの、葉のもの、植物らしからぬもの。
私は小学生の頃から大学生になった現在まで、この植物たちを育てることに情熱を注いできた。
この可愛い植物たちも、私を利用しているというのだろうか。
……おそらく、それは間違いないだろう。
なんといってもこの可愛らしい葉っぱや立派な佇まい。手間をかけたくなる植物たち。この植物たちは私を魅了し、世話をさせることで生き延びているのだ。
とにかく、一度ハマったら抜け出せない。抜け出したいとも思わない。
そんな魅力が、植物たちにはある。
植物の魅力に捉えられた私が、ぜひともこれはと思う、少しマニアックな植物を紹介したい。
空気も心も浄化してくれる植物たち。いつでも家で、私の帰りを待っていてくれる植物たち。一度ハマったら抜け出せないので、要注意だ。
ドラセナ・コンシンネ
「真実の木」とも呼ばれているドラセナ・コンシンネは、ひょろっとした細くて白い枝に、スタイリッシュな葉が特徴的な植物だ。
私が小学生の時に初めて親に買ってもらったのが、このドラセナ・コンシンネだった。当時は20センチほどの小さな株だったのに、今では部屋で一番の存在感を放っている。
我が家のドラセナ・コンシンネは、どちらかというと控えめで、優しい王様みたいな性格をしている。
まず、水やりをあまり求めてこない。時々水をやれば、しっかりと成長してくれる。
そして寛容で、かつ威厳がある。
昔うっかりと水を切らしてしまったことがあった。
慌てて水やりをしたら、次の日にはシャキッとして、いつも通りの王者の風格を放っていた。そして何事もなかったかのように、まっすぐ上へ上へと伸びていくのである。
尖った葉は深い赤色で囲われていて、スタイリッシュなのに柔らかい。
枝もしなやかで、まさに上に立つ者としてふさわしい風貌である。
優しい王様とのんびり暮らしたい人には、ドラセナ・コンシンネを強く勧めたい。
ベゴニア・マクラータ
どちらかというと自由奔放なお姫様を育てたいという人には、ベゴニア・マクラータがオススメである。
水玉模様が特徴的な葉っぱは、可愛らしいスカートを思い出させる。
ぜひ一度、検索してみてほしい。
本当に、びっくりするほど、水玉模様そのものである。
葉の裏は深い赤色で、可愛らしさの裏に魅惑的な部分を秘めているのが、またお姫様らしい所以である。
そしてグングン伸びる。やっと大きな鉢に植え替えたと思ったら、またまたどんどん伸びる。そんなお姫様に振り回されるのも、案外楽しいものである。
ベゴニア・マクラータは、新芽も可愛らしい。
まだ赤や緑に染まりきっていない柔らかな新芽を見つけると、それこそ宝物を発見したような気持ちになるのだ。
ベゴニア・マクラータを迎えてから、我が家のジャングルは魅惑の森へと変身を遂げた。そんな存在感を放つのが、ベゴニア・マクラータの一番の魅力である。
ポトス・テルノ・シャングリラ
ポトスという植物は聞いたことがある人も多いかもしれない。ハート形の葉っぱが可愛らしい、蔓性の植物だ。ポトス・ゴールデンとかポトス・マーブルクイーンとか、色々な品種があって、観葉植物の代表的存在とも言える。
ポトスだけでも10種類ほど育てている私がポトス・テルノ・シャングリラを推す理由は、そのビジュアルにある。
葉っぱがクシャっと丸まって、お菓子のとんがりコーンのような形をした葉っぱがなんといっても芸術的である。
まるで、秘密を抱えたお城の魔女だ。葉っぱが固く丸まっていて、その葉の中に何を隠しているのだろうと思うのに、それを知ってはいけない気がしてしまう。
世話の手間はかからない。それでも何時間でも見ていられる。
好奇心旺盛な人には、そんな魅力のあるポトス・テルノ・シャングリラがオススメだ。
語りたい植物はまだまだあるし、私が知らない植物もまだまだたくさんあるに違いない。確かに言えるのは、すべての植物たちが、それぞれの“たくらみ”を持っていることだ。
見た目の魅力、生き方、育ち方。どれもが素敵で、私に世話をさせるためにいつも魅力を振りまいている。
大学やアルバイトを終えて、疲れて家に帰ったとき。
なんだか心が沈んでいて、一度横になってしまってから起き上がれなくて、なにもやる気がおきない。そんなとき。
優しい王様とか、自由奔放なお姫様とか、秘密を抱えたお城の魔女とかが「水くれない?」みたいな顔して佇んでいるのが目に入る。
私は植物たちに利用されている。
世話を求めるばかりじゃなくて、ちょっとは労ってくれても良いのに……なんてことを思いながら、いつの間にか自分が立ち上がっているのに気づく。そしてなんだか疲れが取り除かれたような気持ちになるのである。
植物になら、利用されていてもいっか。
そんな風に思ってしまうのも、植物たちの“たくらみ”なのかもしれないけど。
あぁ、植物を語るのは本当に楽しい。
そんなことを考えながら、私はコーヒーの入ったマグカップを手に取った。
茶谷香音(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
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