今日は何の日「おついたち」〜朔日参り〜
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです
記事:ホーリープラネットえいこ(ライティング・ゼミ2025年11月開講)
「今年も、カレンダーがあと1枚になってしまったなぁ」
1枚になったカレンダーに1から31の数字が並んでいます。2025年もあと31日となりました。
子どもの頃、柱にぶら下がっていた日めくりカレンダーを思い出しました。日めくりの真ん中には、どん、と大きな数字。数字の周りには、名言と共に曜日や祝日、大安・仏滅などの六曜と月齢も書かれていました。 毎朝、一枚びりっと破るたびに、子ども心に胸が少しだけ高鳴っていたことを覚えています。
今日は、2025年12月1日。
氏神さまである小木田神社へ、「おついたち参り」に向かいました。
自宅からゆっくりと歩いて、3分。小木田神社は、小さな公民館が併設された、神主さんの常駐していない静かな神社です。
この地に結婚と同時に住まうようになり、もう36年もこの土地にお世話になっています。 けれど、小木田神社に訪れるのは、年に1〜2回開かれる自治会の定期総会のときだけ。境内にある公民館で開催される総会に出席した「ついで」に、さっと本殿に手を合わせる……。今思えば、なんとも失礼な住民でした。
それが、この1〜2年ほど前からでしょうか。
「氏神さまと産土神さまって、同じ意味なのかな?」
氏神さまや産土神さま、神社や古神道が気になり始めたのです。
本殿の前で手を合わせると、 ヒヨドリや鳥たちのさえずりが聞こえてきました。 「今年もあと1か月となりました。 〇〇町のえいこです。 はじめての『おついたち参り』になります。 今までご挨拶もせず、大変失礼いたしました。 11月も家族が元氣に過ごすことができました。 いつも見守ってくださり、ありがとうございます。 どうか12月も、家族が健やかでありますように……」
そう心の中でつぶやきながら、深く一礼します。
境内を見渡すと、一番大きな木は、クスノキ。 手水舎の横にあるモミジの木は、燃えるような赤に色づいています。カナダのメイプルを思わせる、カエデのような葉っぱの木は、黄色く色づいて、柔らかな光を放っています。 枝のどこかに巣があるのでしょうか。 ヒヨドリが、ピーピーピーと高い声で、おしゃべりを続けています。
境内の灯籠の横には、小木田神社の由緒が刻まれた石碑が建っています。創建は定かではないが、古伝によれば養老3年(719年)今からおよそ1300余年前。まだ日本が「奈良時代」と呼ばれていた頃から、この場所には神さまが祀られていたということになります。
ご祭神は、大己貴命(オオナムチ)、須佐之男命(スサノオノミコト)、少彦名命(スクナヒコノミコト)、興津彦命(オキツヒコノミコト)、興津姫命(オキツヒメノミコト)、そして菅原道真公(スガワラノミチザネ)。大正2年には、林島の荒神社や菅大臣天神社が合祀され、関田村の産土神として、人々の暮らしを見守ってきたことが記されています。
境内をぐるりと見渡すと、神明社・天神社・熱田神宮・金比羅社・荒神社・八幡社・秋葉社といった、七つの小さな末社が並んでいました。その横には、道祖神のようなお地蔵さま、猿田彦さまを祀る小さな石碑もあります。さらに、愛知県指定無形民俗文化財「源氏天流棒の手」の碑もあり、この土地が、祈りと芸能の記憶を何世代にもわたって受け継いできた場所だとわかりました。
あたたかな陽ざしの中、 ぽつり、ぽつりと近所の方がやってきては、本殿に頭を下げ、手を合わせていかれます。12月とは思えない、おだやかな一日です。
境内を歩きながら、ふと、思いました。養老3年(713年)に、この神社が創建された頃、村人たちはどんな暮らしをしていたのだろう。新しい月のはじまりに、どんなお願いをしたのだろう。神社の周りは、田んぼや畑だったのだろうか。どのような家があり、家には暦や日めくりがあったのかしら。
1300余年前、奈良時代の私たちのご先祖さまの一日を想像してみる。きっと、日々の暮らしの中で自然のリズムを感じ取っていたことでしょう。
次の「おついたち参り」は、新年1月1日。
あと31日で、新しい年、2026年がやって来ます。
巳年から、馬年へ。 新年からは、家の柱に日めくりをかけようと思います。そして「おついたち」の朝には、氏神さま、産土神さまに、感謝の想いをお伝えたい。
ちなみに、氏神さまは、同じ地域に住む一族たちが共同で祀る社のことです。産土神さまは、生まれた土地の神様のことで、生まれる前から一生を終えるまでずっと一生守護してくださる神様のことだそうです。産土神さまがわからない場合は、神社庁に電話をして生まれた時の住所を伝えることで、産土神様を教えてもらえるそうです。
<おわり>
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