お金の管理は「好き」を取り戻すリハビリだった
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:みちこ(25年・年末集中コース)
「今月、使いすぎたかも?」
「節約って何をどう減らせばいいの?」
「あぁ、また減ってしまう」
お金を使うとき、いつも拭えない不安があった。
一方で、あれも欲しい、これもやりたいという欲望も尽きない。そんなモヤモヤを解消してお金と仲良したい! と家計簿をつけてみても、不安は消えずむしろ大きくなるばかり。
そんなとき、この考え方に出会い価値観が180度ひっくり返った。
「お金を使ったということは、引き換えに受け取ったものがあるってこと」
「支払い=お金がなくなる」と認識していた私にとって「支払い=受け取り」と解釈することは、新鮮だった。言われてみれば、その通り。お金を使ったということは、何かを受け取っていることと同意なのである。
そこから火がついたかのように日々の支払いを振り返るようになった。毎日の買い物はもちろん、勝手に引き落とされていくサブスクをすべて洗い出した。何がいくらで、いつ引き落とされるのか表にまとめ、毎月チェックする。
「私は、こんなに受け取っているものがある。なんてありがたいんだろう」
支払いの不安から解放された瞬間だった。
思えば私たちは、サービスを受けないと生きていけない。今や当たり前に使っている電気・ガス・水道も、誰かが設備を整えてくれたからこそ。各家庭に配線して、スイッチひとつで使えるようにと誰かが考え、誰かが実際に手を動かしてくれた。ここに途方もない労力がかかっていることは、容易に想像できる。そんな大きなことは自分ではできないから、お金を払って仕組みやサービスを受け取っているのだ。お皿1枚とっても、自分で作ろうと思ったら大変な設備や準備が必要。それが100円で買えると思うと、すごいことだと思う。高い・安いでものを考える前に、何を受け取っているのか想像してみると、もっとお金を払ってもいいのではないかという気持ちになるから不思議である。
受け取っているものに目を向けられるようになると、今度はその買い物は、自分を喜ばせているか? に意識が向く。喜ばせていないとしたら、その要因は何か? どんな買い物だったら、自分が喜んだのか? 次に買い物をするときに気をつけるようになった。
例えば、安いと思って購入した大入りのニンジン。使い切らず、野菜室の奥でシナシナになってしまったことがある。もったいないことをしてしまったと後悔した。我が家では使う頻度が低いから、割高でも小分けかバラで買うようにしたら、満足に使い切れるようになった。振り返ることで、ちょうどいいサイズがわかってきた。
それから、お菓子を買いすぎると罪悪感を抱えることも発見だった。どうやら食べ物に関しては「体に良いか・悪いか」という指標が、私の中にあるらしい。できる限り体に良さそうなものを選ぶと、自分も喜ぶ。
食料品に限らず、ものを買う時も同じだ。例えば今着ている服は、私を喜ばせているか? をしっかりみる。デザインは好きだけど、肌触りが良くなくて着なくなってしまったものがあるとしたら、今度買うときは肌触りに気をつけるようにする。そうやって買い物をしていると、お気に入りが増えていくと同時に、自分が大事にしたいことは何か、価値観がどんどん炙り出されていく。
こだわって買い物をしていたら、お金がなくなるんじゃない? そう思う人もいるだろう。毎月末、すべての銀行残高が先月と比べてどう変化しているのかをチェックしているが、不思議なことに総額は増えている。受け取っていることを意識して、自分が喜ばないものを極力買わないようになった結果、無駄遣いが減ったのだろう。
そして、お金の管理をするようになって得た、何よりもの副産物は自分の「好き」が明確になってきたこと。
年齢を重ねるにつれ、自分中心の生活から家族中心の生活に変化し、私自身がどんなものに喜びを感じて、何が好きなのかよくわからなくなっていた。「適当でいいか」「安いからこれにしておくか」と妥協して買うものが増え、まぁ仕方ないよねって気持ちで過ごしていたし、それに慣れてしまっていた。
お金と徹底的に向き合ったことで、「これでいい」より「これがいい」を選べるようになり、幸福度が上がっている。私にとってお金を管理することは、自分の「好き」を取り戻すリハビリになっているのだ。
とはいえ、まだまだ使い方に改善の余地はたくさんある。この先、受け取る喜びを感じながら、お気に入りのものだけに囲まれて暮らせたらどんなに楽しいだろうと胸を膨らませている最中だ。
〈終わり〉
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