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どっちの人生de SHOW


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事: 西村友成(25年・年末集中コース)

 

自己啓発本って読みますか? 私は割と読んでます、若い頃から。やる気になったり、ちがうものの見方が出来たりと、ちょっぴり人間としてランク上がった感が得られます。「俺、学んでるぜ」っていい気になったりして。

若い頃よく手に取っていたのが、「人生は短いんだ。太く生きようぜ!」ってぶちかます暑苦しいタイプの著者。憧れてたんですね、ガンガン挑戦してる人に。心に火を灯してもらう。読み終わると体がムズムズしだし、居ても立っても居られないみたいな。一種のカンフル剤です。ただ憧れはあっても、実際ご本人に出会うと距離とりたくなるんだろうなと思います。熱く生きたい気持ちがありながらも決して表面に出さないので、私。同じテンションを求められると、引いてしまう……。

はい、そうです。私は邪魔くさい人間です。小学生の頃、好きな子に振り向いてほしくて、ちょっかいかけすぎ嫌われてしまうタイプの。中年になってもまだ引きずってる。

それはさておき、この熱血系の著者ってよく、「死ぬまでにやりたいことリスト」つくってますよね。いや、「やりたい」なんて希望的な感情で終わらせず「絶対やるぞリスト」です。しかも必ず100個あげる。「多いなぁ」と思うのですが、そろいもそろって皆100です。

著者のプロフィール見てると、若い頃すごいヤンチャしてたり、極貧時代を経験してたり、死んでても不思議じゃない事件に巻き込まれてたり、と波乱万丈な方が少なくない。海千山千の猛者が書いた100のリストなんだから、さぞかしブッ飛んでるだろうと期待を寄せるのですが……。

仕事・ビジネスの目標・挑戦は「すげぇ!」と声がでそうな志高いものであり、プライベートでは「時間とお金ある人しかできないよね」系のものがいくつもある。ですが、「さっすがー! やっぱちがうよな」と思うのはそこまで。人間関係の話に移り、友だちや仕事仲間、家族に対する思いと徐々に保守的になってゆく。そして最後は見事に「社会貢献」を語り大団円を迎えるのが、典型的なパターンであります。

「挑戦し続けられるのは周りのサポートがあり、家族の応援があってこそ。成功した暁には富を与えてくれた社会に還元し、次の世代が活躍できる土壌をつくる」

いやぁ、おっしゃってることは間違いない。人としてあるべき、見習うべき姿です。

でもねぇ……。散々人とちがう人生歩んできといて。凡人じゃあり得ない大成功と大失敗の数々を語っておいて。結局最後は品行方正な人間目指すのかよ、と拍子抜けする感があるんですね。ネジが外れたなら、外れたまま突っ走って力尽きてほしい。と、思うのは私だけでしょうか。

 

一方、熱く生きるだけが自己啓発じゃなくて、ゆるく穏やかに肩の力を抜いて生きましょう、のタイプもありますよね。毎日頑張りすぎてる人や焦って空回りばかりしてる人には非常に効果的です。著者は心理学者やお坊さんといった精神性の高い方が多い。あと北欧で20年生活してました、みたいな文化人とか。

 こちらのタイプは「絶対にやりたいリスト」から一番遠いところにいる人たちだと思います。あれやこれやと欲があるから悩み、苦しむ。毎日安心して眠るところがあり、着る服がある。あなたたちの当たり前は、スラム街で暮らす人たちの夢なんだ。五体満足で明日のご飯の心配がないとは何と恵まれた人生。あぁ、ハレルヤ!

 と、言われると「そっか。俺の人生悪くないんだな」と思わされます。幸せはそこらかしこに転がっており、探そうとすれば見つかるんだと。こんな風に生きられれば私も「俺の人生、このままでいいのか?」なんて心配も無用。ハッピーライフを満喫すればいいんです……。って頭でわかっても心が納得しないんですねェ。私の場合。

 自己啓発本読むのが背中押してほしいとか、ケツ蹴り上げてほしいみたいなときが相対的に多いから。脱力タイプの本は安心すれど、物足りなさを感じてしまいます。

 

結局のところ自己啓発本に期待しすぎなのでしょう。冷静に考えると熱血系にしろ脱力系にしろ、自己啓発本って嗜好品ですね。熱血系は血流があがって鼻息荒くなるエナジードリンク。対して脱力系は口に入れれば身も心も溶けてゆくチョコレート。どちらも至福の時間がやってくる。そして飲み食いがおわると、得られた幸せも急速にしぼんでゆく。自己啓発本も読んでいる最中がもっとも心を揺さぶられ、読み終わるとどんどん元の自分にもどってゆく……。切ない。

 たった今、自分の中で1つ結論がでました。自己啓発本も嗜好品も「楽しむものであり、頼るものではない」。ちょっとした気分転換にはバッチリ。気合を入れたり、リラックスしたり。ただそこに「たった1度の人生、どう生きるべきか?」みたく真理を見出そうとするとしんどくなる。

その時々の自分の調子や気分で都度都度求めてる刺激を選び、楽しむのが適切なつきあい方だと思います。

熱く生きるか、力を抜いて過ごすか。私はこの2週間、ライティングゼミ年末集中コースで「2千字を9本書ききる」熱い目標は達成できました。このあと脱力して酒に溺れます。

 

≪終わり≫

 

 

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