人生を撮り続ける、私だけのレンズ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事: まるこめ(ライティング・ゼミ25年11月開講コース)
「人生を変える」
天狼院書店の看板サービスである、ライティング・ゼミ。
ラーメン屋修行で、秘伝のスープの作り方を会得するように「人に読んでもらえる文章」の書き方を、私は学んでいる。
受講のコースによって、2000字〜5000字程の記事を毎週作成して、店側からのOKが出ると、天狼院書店のホームページに記事が掲載される。まるで、芸人のネタ見せみたいだ。ネタ見せで「面白い」の基準をクリアして、ようやく舞台に上がることを許される。
「はい、どうもー」
舞台の出番が終わると、ここからが勝負だ。
ピン芸人の日本一を決めるR -1グランプリ……もとい、メディアグランプリが私を待っている。
厳しいネタ見せを通過してきた受講生たちや、天狼院書店のスタッフが渾身のネタを手に、その記事の訪問者数を毎週競い合う。期間は8週間……期間内に獲得できた総合ポイントで優勝を決める。
「よっしゃ! 上位に食い込んだ!」
「あー!! こりゃ案外伸びなかったかぁ……」
毎週毎週、一喜一憂しては、いそいそとネタ作りに励む。
外食先での白米を上手に食べるときの苦悩。
産後明けに飲む1杯目の酒は何にしようか。
産後ハゲに絶望した話。
旦那さんへの公開ラブレター。
日常に散らばっている場面の数々に、シャッターを切っていく。そして、その中からお気に入りの1枚を「ネタ」にして記事へと昇華する。私にとって、書くことは「人生にレンズを向ける」ことと似ている気がする。目には見えないけれど……心の中にカメラを持っていて、人生のいろんな場面にピントを合わせてきた。できることなら、楽しいことだけならいいのに……どうしても、嫌なことや苦しいことにも目を向けないといけない時もあったと思う。
そんな苦しい時にだって、実は「おもしろい」ポイントはあったりするはずだ。
嫌だけど、絶対根に持っちゃうけど!
目の前で起きたことを、そのまま受け取っては辛くなっていた私は「書く」ことを通して、心の中にカメラを持っていることに気付かされた。「書く」ことで、ただ目の前に映っていた日常の中に、ピントが合うものであればなんだって主役にできるし、わざとぼんやりさせることだってできることがわかった。書けば書くほど、うまく言葉にできなかったり、自分の中の黒いものに向き合わないといけなかったりする辛さもあった。合わせたいピントや構図がうまくできなくてもどかしくなるようで
「あー! もうやめたい! しんどい! やめだやめだ!」
って、心が折れそうになることも正直ある。だけど、完全に「辞めよう」とはどうしても思えない。
そこだ!
って、ところにピントが合って、自分の見ている景色が最高の状態で画角に収まった時のように、思いや考えが言葉に乗った時の気持ちよさを知ってしまったせいだ。そして、その画が他の人たちと「わかるわぁ」と共有できる楽しさを知ってしまったからだ。
そして、メディアグランプリに参戦している他の受講生が見ている景色が、とにもかくにも面白すぎるせいだ。
「あぁ、こういう切り取り方だってあったわー」
「この言葉、マジでパワーワードすぎんか?」
記事を出せば出すほど、他の人の記事を見れば見るほど、次はもっとここを切り取って面白いものを作りたい、次はここにピントを合わせてみても面白いかもしれない、と欲が出てきてしまう。そんなことを考えるようになってから、お豆腐メンタルだった私は以前よりも強く、たくましく、したたかになったと思う。
放っておくと、私はすぐに飲み込まれてしまっていた。
感情に。出来事に。他人の言葉に。
「あれは、私が悪かったんだろうか?」
「私さえこうしていれば……」
寝る間も惜しんで堂々巡りの脳内会議を延々とやっていた。
私にとって「書く」ことは、決して人生を美化するものじゃない。
むしろ、そのまま直視するための道具だ。
うまく言えなかった気持ち、飲み込んだ言葉、あとからじわじわと湧き出てくる違和感……
それらにピントを合わせ、言葉にすることで人生の解像度が上がって
「あ、私はここに引っかかっていたんだ」
って、気づく瞬間が地味に気持ち良い。
派手も映えもないけれど、書くことでちょっと呼吸がしやすくなる。
たまに、何やってんだろ? と思う時もある。それでも書くのは、書いた後にしか見えない景色があるからだ。
私が「書く」ことをやめないのは、人生にピントを合わせるためだ。
書くことで、目の前の出来事を受け身ではなく、選んで見ることができるようになるからだ。
人生は勝手にシャッターを切ってくれない。
だから自分でレンズを向けて、ピントを合わせるし、時にはぼかす。
そうやって、書いた文章が誰かの「わかる」に繋がった時、私はほんの少しだけ救われる。
ああ、私だけじゃなかった、って。
きっと、来週もこうしてキーボードの手を止めることなく、私は書き続けるだろう。
書いてる時に、一番自分の人生を見つめている気がするから
《終わり》
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