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結婚して名前の画数が「大凶」になった私がとった行動


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

2026/2/5 公開

記事:maruha(ライティング・ゼミ25年11月開講コース)

 

「そういえば、結婚して名字が変わってから、姓名判断をしたことがないな」

 

ある日ふと、そんなことを思った。

その時、私はパソコンで作業をしていて特にヒマというわけでもなかったのだが、人はやらなければいけないことがある時こそ、どうでもいい検索をしたくなる生物なのだと思う。

 

何の気なしに「姓名判断 無料」と検索し、出てきたサイトで軽い気持ちで占ってみた。画面に表示された結果を見て、前のめりになった。

 

「大凶……!」

 

私の名前、総画〇〇画。

「失敗、多難、破綻」

 

これでもかというくらい、おどろおどろしいフォントで並ぶ言葉は、どれも不穏で、すでに人生が詰んでるような気になった。

 

もっと早く教えてほしかった……。

いや、知らない方が良かったのかもしれない。

 

思えば結婚し、名字が変わって十数年。

わりと普通に暮らしてきたと思っていたが、不思議なもので大凶と言われると「そういえば結婚してから、結構いろいろ大変だった気がする」と、記憶が勝手に編集され始める。

 

しかし、女性は結婚すれば名字が変わるわけで、その結果占いで「運勢が大凶になった」と言われても離婚する人はまずいない。

 

「たかが占いだし」

と終わらせてブラウザのタブを閉じ、本来やるべき作業に戻ろうとしたのだが、頭に「大凶」の文字がチラつく。

 

「確かに苦労多めだった気がする……」

「だからあの時、あんなことに……」

と、過去の出来事が次々に大凶に回収されていく。

 

占いというより、セルフ追い打ち。作業が手につかないどころか、何もかもが手につかない。あらゆる姓名判断サイトを一通り見てみても、ことごとく撃沈。

この名前……お先真っ暗感がハンパない。

 

「モヤモヤするくらいなら、ちゃんと占ったらいいのでは!」

こんな時の決断は早い。私は十数年ぶりに占いに行くことにした。

 

検索で、姓名判断をしてくれる占いサロンを探し、早速予約をした。

 

そこは名古屋の繁華街にある、ビルの一室。

意外と日当たりのよい部屋の真ん中に大きい机があり、占い師の年配女性と向かい合って座った。

 

そこは姓名判断だけでなく四柱推命、手相なども見てくれるらしい。名前と生年月日を書いて渡す。

 

「今日は何を占いますか?」

 

そう聞かれて、私はうわずった声で言った。

「ネットの姓名判断をやったら、大凶だったんですよー!」

 

すると、年配の女性の占い師は、「とりあえず、落ち着こう」

と笑いながら言った。

 

占い師からの最初の助言が「落ち着こう」とは。

占ってもらう前に、まず人間としての冷静さを取り戻す必要があったらしい。

 

彼女はこう教えてくれた。

「ネットの無料診断には、個人鑑定を申し込んでもらいたいから、すごく悪く不安をあおるように書いてるのもあるから、そんなに真に受けなくても大丈夫よ」

 

「姓名判断にも流派がいろいろあって、旧字体と新字体で画数が違うこともあるからね」

 

聞くところによると、現在使われている漢字の「新字体」はまだ歴史が浅いことから、「旧字体」で見るプロが多いそうだ。

 

その方法で見てもらうと、私の名前はネットで算出された画数ではなく、なんと「吉」に分類される画数だった。特別に良いわけでもないけれど、少なくとも大凶で人生終了というわけではなさそうだ。

 

「そうなの? よかったー!」

 

思わず声が出た。

大凶から吉に格上げされるだけでこんなに気がラクになるとは思わなかった。

 

もちろん、すべての画数が完璧というわけではなく、いくつか気をつけた方がいい点もあると言われた。でも、それに対しても「こういうことを意識したり、気を付けるだけで大丈夫よ」と具体的な対策を教えてくれた。

 

「全部が良い名前なんて、そうそうないから」という言葉にホッとした。

 

「じゃあもう、結婚後の名前もそんなに悪くない、いい名前ってことにして一件落着だ」占いを終えてそう思った。

 

しかし、その帰り道に、私は冷静になって考えた。

 

「占いはエンタメ程度に楽しんでいる」と自分では思っていたが、「大凶」という言葉一つで、簡単に自分の人生を不幸寄りに再編集していたよな……。都合よく悪い点をつなぎ合わせ、「やっぱり私は運が悪いんだ」と物語を作って我を失っていた自分にヤバさを感じ始めた。

 

もしそこで、「この名前のままだと地獄に落ちるわよ」系の占い師に当たっていたら、改名も辞さなかったのでは? と考えると、わりと危ないところだった。結果的に、いい占い師に出会えてラッキーだったが、「今後は気をつけよう」と気を引き締めた。

 

よくよく考えれば、人生は良いことも、そうでないことも混ざっているのが普通だ。悪いところだけを集めれば不幸に見えるし、良いところをつなげれば「意外と幸せだな」とも言える。そのどちらを見るかは、自分次第なのだと思う。

 

「名前が悪いから不幸になる」のではない。

「名前のせいにして、幸せを見落としてしまうこと」こそが、本当の不幸なのではないか?

 

占いに限らずどんな情報でも、どう解釈し、どう使いこなすかという主導権は、いつだって自分自身にあるはずだ。

 

だから……

「占いを真に受けすぎて我を失った」しくじりを持つ者として、声を大にして言いたい。

 

「ネット占いの大凶なんて、まにうけることないですよ!」

 

私はこれからもずっとこの名前で生きていくし、人生は変わらず続いていく。

それならば、私は私にとって最高に都合のいい「幸せ編集」を、これからもずっと続けていこうと思っている。

 

<終わり>

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