メディアグランプリ

ピンクのハンカチ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事:: 竹内 千恵 (ライティング・ゼミ 11月開講コース)

 

 

 

 

私が婚活をしている中で出会ったある一人の人との話をしようと思う。

結論から言うと、その人とはご縁がなかった。でも私の中では印象深い人だった。

 

始まりはお見合い。

その時の会話は覚えてないけど、話した感じの印象は良かった。

彼も同じように思ってくれたのか、私たちはプレ交際という次の段階に進んだ。

 

次に会ったのは私が住んでいる市内にあるイタリアンのお店。

彼がお店を予約してくれてディナーを一緒に過ごした。近くでお店を探してくれたのも、前回がスーツだったから私服で会う印象も好印象だった。話も弾んで時間があっという間に過ぎるのを感じた。

何となくこの人とだったらどこに行っても楽しそうだなと想像できた。例えるなら彼はカピバラのような人だった。見た目もぽいなと思ったが、性格もおっとりしていて温厚な感じが似てると思う。彼とはフィーリングが合うのか、一緒にいて心地よくて、自分がリラックスできるような空気感を持っていた。


何回か会う中で感覚や考え方、好みも近かったりシンクロするようなこともあった。少なくともこれまでの私の人生の中で同じように感じる人はいなかった。

私が相手に求めることで重要視しているのは、一緒にいて自分が自然体でいられることである。その点でこの彼は当てはまると思っていたから、私の中では次の段階の真剣交際というのも視野に入れていた。この時の私はこの人を良いなと思いながらこの人に決めるためのパズルのピースを集めているような、そんな感覚だった。

 

12月某日、そんな彼とクリスマスマーケットに行くことになった。私から誘って快く誘いに乗ってくれて週末に会うことになった。

当日の天気はあいにくの雨。中止にならないかの不安は会場に着いて杞憂に終わった。

一緒にグルメを楽しんだりクリスマス雑貨を見て回って過ごした。雨であまりゆっくりできなかったからまたリベンジしたいねって言って。

帰りの車の中で彼はおもむろに後部座席を振り返ると小さい手提げを持ってきて、私にプレゼントだと渡してくれた。真っピンクのハンカチだった。その日にたまたま立ち寄ったお店で私が気になって会話の中で話題に出したものだった。何かもらえるとは全く思ってなかったからその時の私はわざわざ用意してくれたんだと嬉しさを感じた。

 

その翌日のこと、相談所からのメッセージで彼から交際終了を伝える連絡があったことを知った。

 

正直ショックと言えばショックだったのかもしれない。

だってうぬぼれかもしれないがプレゼントを貰って、まさかもう会うことがなくなるとは夢にも思っていなかった。じゃあなんであの時、彼はハンカチを渡そうと思ったのだろう。

これまでにも誰かからハンカチをもらうことはあった。

それまでは気にしたこともなかったけど、何となく気になって意味とかあるのだろうかと調べてみたところ、

えっ、そういうこと? だからこのタイミングで渡したとか?

なにも断るやつに残るようなもの渡さなくてもよくない? 

それともわざわざ残るものを渡すってことは昨日の私はすごい失礼な態度でもとってしまったのか、

とかいろいろ考えた。

 

どうやらハンカチは別れのアイテムのようだった。もちろん他の意味もあって必ずしもではない。でもこの場合は結びつけずにはいられない。

親しい間柄で遠方に行くから離れ離れになるとかならわかるんだけど。

ちょっとデリカシーがない人だったのか、実は性格がちょっとアレで意地悪されたのか。

冷静に考えると単純に私が気になってたからプレゼントしただけだとは思う。

もしかしたらそこに別れの意味も込められてたのかもだし、罪悪感もあったりしたのかもしれない。

相手のことを考えて色々気を遣うような人だったから、クリスマスに何かプレゼントしたかったという優しさなんじゃないかと愚考する。彼はとても優しかった。

でも私は言いたい。

 

いらないよ、って。できるなら返品したいくらい。

バッグに入れて持ち歩けって? さすがに無理ですよ。 

全然気にしないって人もいるかもしれないけど私は無理。

思い出ができてきて、それも楽しい思い出がある人だから、なおさらこんなところで気遣われる方が複雑な気持ちになりますよって。

 

とはいえ正直、彼から終了を知らされどこかほっとする自分もいた。決めきれない自分がいたからだ。ある意味で間違いないという確信に近いものを感じながらも、自分の中の彼に対するパーセンテージは、会う回数を重ねても上がることはなかった。

結局のところ、彼とは縁がなかったのだろう。

ピンクのハンカチも使うことはないだろう。

 

でもはっきり言えるのは、出会えてよかったってこと。楽しい思い出はそのまま私の中にあるし、彼を知ったことは確実に次につながると思うから。

次こそは、この人って思える人に出会うため、私のパートナー探しはきっとまだはじまったばかり。

 

 

 

 

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