【月刊「ワークトリップ」11月号】九州屈指の温泉宿・湯布院温泉「金門坑。」は働き場としても最高だった《「WORKTRIP」旅するように仕事をし、旅するように学ぶ》
記事&PHOTO:三浦崇典(天狼院書店店主)
「ワークトリップ」の作法
一、宿が賑わう曜日や時間帯に部屋を取ることを避ける。
一、事前に仕事と休息の時間をプランニングしておく。
一、仕事をするときは極限まで集中し、休息するときは徹底して楽しむ。
一、部屋に専用の温泉が備え付けられている宿を選ぶ。
一、美味しい料理をしっかりと食べる。
一、睡眠時間をとる。
九州の観光列車「ゆふいんの森」に乗り、今回向かったのは湯布院温泉だった。
特別な宿があると聞き、「ワークトリップ」にいいと考えた。
向かった宿は、湯布院温泉「金門坑。」。
表記は、間違いではない。
「金門坑。」である。
「。」が重要である。
宿の方に、なぜ「。」なのか、気になって聞いてみると、画数の問題とのことだった。
単純に想像するに、まずは「金門坑」と銘打ってから、画数を見てもらい、あれ、一画足りず、なら、「。」をつけてしまえ、ということじゃないかと。
だとすれば、なんだか面白い。
結論から言ってしまえば、湯布院温泉「金門坑。」は最高の温泉宿だった。
これから、仕事でもプライベートでも、何度も行くことになるだろう。
あるいは、「ワークトリップ」の九州の「核」となる宿になるかも知れない。
また、すべて別々の棟になって独立しているために、たとえば、社員を連れて、ここで合宿ワークトリップをしてもいいだろうとも思った。
そう考えるくらい、この宿はよかった。
僕は「テラスハウス」と名付けられた棟に止まった。
それぞれ、独立しているので、建物を独占的に使うことができる。
ここがとても気に入った理由は、まず、メゾネット方式になっていることだ。
「テラスハウス」は、崖沿いに建っているので、エントランスがある階が実質的に2階ということになる。
下に寝室があり、「金門坑。」自体がとても高い位置にあるために、上の階からも下の階からも両方から、由布盆地を見渡すことができる。
とても、眺めがいいのだ。
入り口がある上の階がリビングになっていて、ソファーがあり、大型液晶テレビがあり、簡易的なCAFEの設備も、デスクもあって、とても過ごしやすい。
テレビには、Apple TVが内蔵されているので、持ち込んだiPad ProやMacBook Proは、HDMIコードなしで、大型テレビで内容を映し出すことができる。
「ワークトリップ」をする際は、ぶっ込みモードになるので、模造紙を広げてやるときもあるが、大型テレビに映し出すことができるのであれば、iPad Proのプロクリエイトなどのソフトを使い、手書きのものを大型テレビに映しながら思案することができる。
時折、寛ぎながらも、大きく映し出されていれば、思案を続けることができる。
また、それほど寒い時期でなければ、外のテラス席にコーヒーを置きながら仕事をしてもいい。
実際に、僕が行った時期は寒くなかったので、朝のチェックアウトまでの時間、テラス席で徹底して仕事をした。
気持ちがいい中で仕事をすると、とても捗るのだ。
集中力が否応なく、高まる。
上の階にある、部屋付きの温泉も、格別である。
夜中は遅い時間になると温泉の供給は止められるが、スタッフの方のアドバイスどおりに、高温で湯だめしておけば、朝方まで熱いままでもつ。
何しろ、80度くらいの温泉だから、そうそう冷めることもない。
働き、疲れたら、温泉。
そして、また、働く。
これが、「ワークトリップ」の醍醐味だ。
「ワークトリップ」のもう一つの醍醐味が、食事だ。
ここの食事が、本気で素晴らしかった。
僕は様々な温泉宿に行っているが、ここの料理はその中でも屈指だ。
すべてが、美味い。
ありえないくらいに、美味い。
レストラン棟の造りも豪華で、個室に通され、一人で行っても、ゆっくり寛ぎながら食事ができる。
料理長は、湯布院温泉の他の温泉宿で修行した人という話だが、もしかして、湯布院温泉では、そういった徒弟制度のようなものがあって、ハイレベルの料理を提供する仕組みがあるのかも知れない。
そういえば、前に行った、東匠庵というこれまた素晴らしい湯布院の宿でも、同じことを言っていた。
そこも、やはり、料理が格別に美味しかった。
*時期によって、料理は変わると思うので、宿のHPで確認してみるといいと思います。
しっかりと食べたあとに、本館の「屋根裏ライブラリー」に行ってみるといい。
美術書など、揃っていて、本屋の僕としては、ほっとする空間である。
部屋付きの風呂もいいのだが、ぜひ、外の5つの風呂も制覇すべき。
すべて、貸し切りなので、空いているところに入って、「入浴中」の札を掲げておけば、露天風呂が独占できる。
僕はすべてに入ったのだが、どの風呂もいい。
特に森に面した3つの風呂はとてもゆっくり思案ができる。
部屋でフルスロットルで仕事をし、ちょっと詰まってきたな、と思えば温泉に入り、自由に思案して、また部屋でまとめるといい。
結局、僕は湯布院温泉「金門坑。」では、夜が明けるまで仕事をしていた。
朝も、テラス席で仕事をするのは格別で、とんでもなく、仕事が捗った「ワークトリップ」となった。
次回のワークトリップは、長崎に向かいます。
お楽しみに。
「ワークトリップ」の作法
一、宿が賑わう曜日や時間帯に部屋を取ることを避ける。
一、事前に仕事と休息の時間をプランニングしておく。
一、仕事をするときは極限まで集中し、休息するときは徹底して楽しむ。
一、部屋に専用の温泉が備え付けられている宿を選ぶ。
一、美味しい料理をしっかりと食べる。
一、睡眠時間をとる。
*この記事は、「湯布院温泉 金門坑。」さんの許可を得て書いております。
*記述の内容は、あくまで著者の主観によるものです。
*料理は時期によって変わると思いますので、宿のHPでご確認ください。
*次回の「ワークトリップ」もお楽しみに。
■ライタープロフィール
三浦崇典(Takanori Miura)
1977年宮城県生まれ。株式会社東京プライズエージェンシー代表取締役。天狼院書店店主。小説家・ライター・編集者。雑誌「READING LIFE」編集長。劇団天狼院主宰。2016年4月より大正大学表現学部非常勤講師。2017年11月、『殺し屋のマーケティング』(ポプラ社)を出版。ソニー・イメージング・プロサポート会員。プロカメラマン。秘めフォト専任フォトグラファー。
NHK「おはよう日本」「あさイチ」、日本テレビ「モーニングバード」、BS11「ウィークリーニュースONZE」、ラジオ文化放送「くにまるジャパン」、テレビ東京「モヤモヤさまぁ〜ず2」、フジテレビ「有吉くんの正直さんぽ」、J-WAVE、NHKラジオ、日経新聞、日経MJ、朝日新聞、読売新聞、東京新聞、雑誌『BRUTUS』、雑誌『週刊文春』、雑誌『AERA』、雑誌『日経デザイン』、雑誌『致知』、日経雑誌『商業界』、雑誌『THE21』、雑誌『散歩の達人』など掲載多数。2016年6月には雑誌『AERA』の「現代の肖像」に登場。雑誌『週刊ダイヤモンド』『日経ビジネス』にて書評コーナーを連載。
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」講師、三浦が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
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