第6回:一般口座でマイナスを出さなくちゃ! の巻≪素人投資家いちねんせい実況中!≫
記事:安光伸江(READING LIFE公認ライター)
株の口座には、一般口座と特定口座というのがあるらしい。一般口座は自分で確定申告しなくちゃいけなくて、特定口座の「源泉徴収あり」タイプだと税金は証券会社が手続きしてくれるから確定申告しなくていい。
……ということを知らなかった私は、むか~し作ってほったらかしにしておいたネット証券で特定口座を作っていなかった。その結果、よくわからないままほいっと買ったケータイ3キャリアの株はもちろん
一般口座に入っていた……
それから約2ヶ月。年末の暴落を乗り越え、日本株はケータイ3銘柄でプラス5万円ほどになっていたのだが、ここで大手証券会社の担当のにぃちゃんに「特定口座……ですよね?」と聞かれて初めて、自分がヤバいことをしていることに気がついたのだ。
もちろん確定申告すれば何ら問題はない。ないのだけど、たとえば売った価格が200万円で、それを取得するために払っていたお金が198万円だとすると、下関市の場合「所得は200万円」ということになるらしい。実際に儲かったのは2万円なんだけど、売ったお金200万円全部が所得になっちゃうらしい。ということは何が起こるかというと、税金が高くなるということ。住民税が高くなるということは、国民健康保険も高くなれば、高額療養費制度の限度額などもあがるということである。これは、かなりヤバい。実質の儲けが所得になるんだったら、私なんてしょぼい取引しかしてないからたいした儲けじゃないんだけど、それでも売り買いした回数が増えるたびに「所得」とやらが増えてしまう。
う~む
まぁ来年確定申告すればいいんでしょ、とも思ったんだけど、担当のにぃちゃん曰く「一般口座の取引でマイナスが出ていれば確定申告しなくていい、というルールがある」とのこと。これをやっておけば、これから先特定口座でいくら儲けが出てもそれはもう源泉徴収済みだから問題なし! 国税局に何か言われても「これこれこういうので一般口座のマイナスが出たので確定申告しませんでした」と言えば問題なし! ということらしい。いつもの素人丸出しのアバウトな理解だけど。
そんなわけで、2ヶ月かけてせっかく作った日本株3銘柄5万円のプラスは捨てなくてはならなくなった(しょぼん)。アメリカ株の方は、年初にアップル株がどかんと下がった「アップルショック」のおかげで見事にマイナスになっていた。
とりあえず日本株もアメリカ株も、一般口座に入っているのは「成り行き」で売ってしまうことになった。私は売り買いの時に株価を指定しておく「指値」が好きなんだけど、この際とにかく売っちゃうのが先決だから、おまかせ~、の値段で売っちゃうのが「成り行き」。いやぁ、勉強になるなぁ。
そしたら、その日の計算で、日本株は5万円ちょっとのプラス、アメリカ株は8万円あまりのマイナスになっていた! 翌朝担当のにぃちゃんに電話して「マイナス出ました~、日米トータルで3万円くらいマイナスです~」「じゃぁもう何もしなくていいですね」ということになっていた……のだが。
数日後もう一度損益を見てみると、日本株のプラスも千円くらい減ってたけど、アメリカ株のマイナスは3万円なにがしになっていた! これはびっくりだ。当日の損益は概算です、と書いてはあったけれど、トータルでマイナス3万円と思っていたのが1万6千円くらいのプラス! これはヤバいよ。というのを報告したのが週末の夕方。とりあえず一般口座に関してはこの週末はおとなしくしておこうということになった。その間にも特定口座の方ではいろいろ買っていたんだけどね。
で、週明け朝一でにぃちゃんに電話してみた。「いつもの素人考えなんですが、アップルの決算がもうすぐだから、アップル株を買っておいて、ど~んと下がったところで売るってのはどうでしょうね?」決算で下がると見込んでのことだ。だってアップル信者の私が週末にAndroidのスマホを注文しちゃったんだもん。iPhoneより私好みの写真が撮れる機種があったんだもん。iPhoneは今持っている 7 plusのままにしてAndroidを買っちゃう方が食べ物とかのお写真をアップで撮るのが楽しくなると思ったんだもん。だからiPhoneの新機種の売り上げは落ちてるんじゃないかな、古い機種で満足している人が多いから買い換え需要が落ちてるんじゃないかな、と思ったわけ。そしたら決算もイマイチでしょ? 株も、下がるでしょ? と、素人ながら考えたのだった。
でもにぃちゃんの見解は違った。決算後にもし上がったらまたややこしいことになるので~、という。それで、日本株で、3月の配当が高いところを狙って、株価が上がっているところで買いに行き、配当落ちで株価は必ず下がるからそこで売ったらいいんじゃないか、というワザを教えてくれた! 配当は源泉徴収されるから、これまた確定申告必要なしの方に入るらしい(よくわかってないけど)。で、配当がいいところを狙えば、配当をもらえて、株価が下がった分のマイナスも緩和されるんじゃないか、ということ……のようだ。さらに、日経平均に連動して(かその逆に、だったか)動く銘柄があるということで、それを買ってもいいかも、という話だった。でもまだ1月だから、今すぐ動かなくても、年末までになんとかすればいいとのこと。
というわけで一般口座に関しては1月のうちはもう何もしなくていいことになった。
さて売ったお金はどうなったか。楽天証券の口座に入ってるお金で余ったものは「自動スイープ」といって楽天銀行の口座に自動的に出金される設定にしてあるんだけど、アメリカ株は外貨建てで売ったからそのまま証券口座に残っているみたい。日本株の方も、しばらく証券口座にプールされて、受渡日になったらお金が動くみたい。なので数日間は証券口座にたぷっとお金がある状態。じゃぁ特定口座で何か買っちゃおうか。
アメリカ株を売った夜はまずアマゾン・ドット・コムを5株ほど買ってみた。あんなにいやがっていたアマゾンだけど、大手証券会社で高い時に買わされてどっか~んと下がっちゃったのが不満なだけで、安い時に買うことに抵抗はない。外貨建てでプールされているお金で買えそうなのが5株だったからそうしてみたんだけど、まぁまぁの値段で買えた。証券会社のオンラインセミナーでも店舗でやってた外国株式セミナーでも、アマゾン株は「買い」だと出ていた。それもイチオシ。業績が上がる見込み、大。とのことだ。去年の秋のいちばん高い時に買わされた(アップルから買い換えた)のが不満なだけで、今後上がる見込みがあるなら安い今のうちに買っちゃうのはアリでしょう、ということで試しに買ってみた。
その翌日、日本株でペッパーフードサービスを買ってみた。いきなりステーキやペッパーランチの会社だ。これまたいきなりステーキの業績懸念とやらで安くなっていたので指値で買ってみたら、最安値ではなかったけど、その日のうちにぐぐっと上がった! やったぜ。株主優待もあるけど、その権利が確定するのを待つより、適当に上がったところで売って、それを軍資金にして肉マネーチャージをした方がお得かもしれないな、と思った。肉マネーというのはいきなりステーキの電子マネーで、毎月29日の肉の日に1万円チャージすると1500円のボーナスがつくのだ。ふだんだと1万円チャージで300円のボーナスだけど、肉の日は5倍。当然私は肉の日にしかチャージしない。株主優待は100株で500円のお食事券2枚だったかな? だから今の計画では、がが~っと上がればその時でもいいし、なんなら株主優待をもらった直後にちょこっと下がってもいいから、とにかく今買った値段より高いところで売っちゃう! そして肉マネーチャージをして、いきなりステーキゆめシティ店の売り上げを上げる! ということにしているのだった。ゆめシティ店が撤退したら大変だからね。
まだ外貨が残っていたので、次にマイクロソフトを少し買い戻してみた。前よりは高くなっちゃったけど、最初に10株買った時よりはすこ~し安いからいいことにした。あと300ドル弱残ってるからこれで一般口座のマイナスを出そうかなと思ったけど、何もしないことになったので、翌晩コカコーラを5株買って残りを7ドルほどにした。外貨預金と違って利息がつくわけでもなさそうだから、たくさんプールしといてもしょうがないと思うしね。
そして週末にえいやっと買った日本株は、リンガーハット。指値で買ったけど、最後にもっと下がっちゃった。でも平気。何十円か下がったところで、たかだか千円くらいのマイナスだから、これから上がるかもしれないし、株主優待と配当をもらえば問題な~し! リンガーハットは長く持っていると株主優待のお食事券が増えるらしいから、これは売らずに持っておく予定。ゆめシティのリンガーハットが閉店しない限り、食事代の足しになる、という計算だ。お店のお姉さんにも「ここに長くいてくださいね~」とお願いしておいた。業績アップしますように!
さらに週明け、KDDIを買い直してみた。11月末に買ったときより100円くらい高かったけど、指値した値段より低く始値で買えた。それから下がったけどこれまた誤差の範囲内ということで容認することにした。KDDIも長く持っていると優待が優遇されるみたい。私はUQモバイルもJ:COMも使っているんだから、KDDIの株主になるのは正しいユーザーとしての行動だと思う。えっへん。
というわけで日本株は「ペッパーフードサービス」「リンガーハット」「KDDI」の、私がよく利用する会社のものだけになった。それってある意味正しいと思う。よく知っている会社だし、応援する気持ちもすご~くあるしね! 満足まんぞく。アメリカ株はまぁテキトーだけど、日本のアマゾンはばんばん使っているし、マイクロソフトもこの原稿を出すのがワードだしSkypeも使ってるし、まぁいい線いってるんじゃないかな? と思っているところ。コカコーラは配当狙いならいいですよと勧められていた株。端数の処理にはちょうどよかった。
一般口座でマイナスを出すためにいろいろ考えたけど、やっぱり素人が考えるより、プロの意見を聞いた方がいろんな知恵が出てくるものなんだな、というのが今回の学びだった。大手証券会社は手数料が高いからなかなか取引できないけど、担当のにぃちゃんに相談に乗ってもらえるのはありがたいなぁ、と思った。まぁ、高値の時に買った塩漬けのアマゾンとアップルとソフトバンク(号泣)が大手証券会社に置いてあるし、ここでしか扱ってない医療機器のファンドも買ってるから、いいことにしてもらおう。なにやらゲノム関連のファンドも勧められてるんだけど、これは一般口座のマイナス騒ぎが落ち着いて、まとまった資金が出せるようになるまで待ってもらおうっと。ネット証券のことでもこれだけ相談に乗ってもらっちゃうと、さすがに何か買ってあげないと悪いような気分になっちゃう小市民。でもそんなに潤沢な資金はないから、そうだなぁ、去年の春に買った国債が1年たって解約できてからの話かな。
そんなわけで今日の教訓:しっかりした相談相手がいるのは大事! お互いにお得になる関係を構築しよう!
その間も特定口座でいろいろ売買したんだけど、その話はまたいずれ。
つづく。
❏ライタープロフィール:安光 伸江(READING LIFE 公認ライター)
山口県下関市出身・在住。下関西高、東京大学卒業、東京藝術大学大学院修了。
大学卒業後は東京で声楽・器楽の伴奏ピアニストや音大非常勤講師などの音楽活動をしていたが、2008年9月、リーマンショックの1週間前に病気療養のため実家に帰る。その後2016・2018年と両親を看取る。2016年乳がんの全摘手術と抗がん剤を体験した乳がんサバイバーでもある。LTE契約なしのガラケーとiPhone 2本・Android 1本・iPad(格安SIM利用)を合計月5000円未満で使うなど大のガジェット好き。ライター、セラピストの卵、ブロガー、素人投資家。
天狼院メディアグランプリ 21st season 総合優勝。週間1位複数回。
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