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読書をダイバーシティ化することで学びが深まる。「audiobook.jp×天狼院書店 聴ける本屋さん」@天狼院カフェSHIBUYA プレス発表会レポート(前編)


*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2023/10/30/公開
記事:河瀬佳代子(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
このたび天狼院書店は、オーディオブック書籍に数多くのラインナップを擁する株式会社オトバンク(本社:東京都文京区、以下「オトバンク」)とのコラボレーション企画を行います。読書週間の10月27日(金)〜11月9日(木)に合わせ、天狼院カフェSHIBUYA内にて期間限定の「audiobook.jp×天狼院書店 聴ける本屋さん」をオープンすることとなりました。
 

 
期間内、天狼院カフェSHIBUYA店内には「聴く」と「読む」の両方を選べる本棚を設置します。本を「聴く」には、聴きたい本のタブレットの再生ボタンを押すだけで、本の世界に包み込まれるような朗読が流れてきます。
 

 
10月26日(木)に行われたプレス発表会では、最初にオトバンク会長・上田渉氏と天狼院書店店主・三浦崇典氏からの挨拶のあと、数々のオーディオブック作品朗読の実績を持つ声優・佐久間レイ氏による『星の王子さま』(サン=テグジュペリ著:新潮文庫)の朗読がライブにて行われました。その後、佐久間氏、芸能界きっての読書家でもある俳優・中江有里氏、そしてオトバンク制作ディレクター・伊藤誠敏氏によるトークセッションを行いました。前編記事では、上田氏と三浦氏の本に対する熱のこもったトークをお届けします。
 
 

「目を患った祖父へ何かしてあげたい」気持ちから始まったオーディオブック


上田渉氏(オトバンク会長):オトバンクは現在日本で最大級のオーディオブック配信サービスとなっています。ラインナップ数については日本で一番多く聴き放題15,000冊以上、作品のクオリティについても自信を持っています。
 

 
上田:オトバンクを作ったきっかけは、祖父が緑内障で目が不自由だったことです。祖父は自分の大学入学前に亡くなりましたが、20年くらい緑内障を患っていました。祖父はもともと研究者で本が好きでした。書斎に行くと大量の本が置いてありましたが、目が悪く本が読めない祖父の物悲しさを強く感じていました。
 
そんな祖父に何かしてあげたくて、大学3年の時にNPO法人の形でオーディオブックを立ち上げました。目が見える人に向ける形でオーディオブックを作ることで、その先にいる高齢者や目が不自由な方にも本を読むことが届くかもしれない、全ての人が本を読むことを諦めないでほしいと願っています。
 
 

紙か、電子か、それとも音か。本の媒体は自分で選ぶ時代へ


三浦崇典氏(天狼院書店店主):天狼院書店は2023年9月26日に創業10周年を迎えました。池袋から始まり、今はこのミヤシタパークの天狼院カフェSHIBUYAが旗艦店になっています。
本だけでなくその先の体験まで提供する「Reading Lifeの提供」をコンセプトにしています。本屋ですがイベントもやっていて、今後はオーディオブックを活用したイベントも開催していきたいです。
 

 
三浦:僕は「活字中毒者」で、様々なジャンルの本を月間100冊は読んでいます。紙の本も電子書籍も買いますが、最近、遠視や老眼が始まっていて結構きついんです。46歳になり健康に留意する必要がありますが、読書量が減るのは僕にとってデメリットでしかない。
 
今後加齢によって身体が衰えた時にオーディオブックは相当価値がありますし、選択肢が広がるのはとてもいいことですので、本屋に紙の本と一緒にオーディオブックが並んでいてもいいのではないでしょうか。
 

 
三浦:居酒屋やカフェなどではタブレットメニューがありますが、僕にはあれは字が小さすぎるんです。字が大きくなるからこそ本の雰囲気がわかりますので、お客様が選ぶ上ではとても大事なことです。これからは紙か、電子か、音か、どの媒体で読んでもいいし、どう読むかは自分で選ぶ時代になっていくでしょう。
 
 

本は目でも耳でも読む、AIも教えてくれる時代。読書のダイバーシティ化を目指して


上田:世の中にはいろいろな読書体験がありますが、視覚障害がある、加齢のため、本を読むのが苦手だから読まないという人も多数存在します。僕自身は本が大好きですが、読書を誰もが読書を楽しめるように「読書のダイバーシティ化」を考えています。
 
例えば視覚障害者の方が拡大鏡を使って本を読むと、拡大鏡を操ることに疲れちゃってたくさんの量の本が読めない。それって読書の本質じゃないですよね。音で聴くことによって本の内容に集中し、より楽しめるようになったらいいですよね。だから「目で読む本」も「耳で聴ける本」もあっていい。見る、触る、聴く、多くの方が様々なアプローチで楽しめるように、ダイバーシティを体現した書店が増えていくと思います。
 

 
三浦:ダイバーシティということなら、演劇化することで本の内容を見せたいというのがあります。あとは講座でAIと一緒に本を読むことをしています。古典だと紙の本は脚注だらけで読めないんですよ。何を言ってるのかがわからない。それをAIが全部教えてくれます。
 
上田:本を読む時って、特に古典のようなものは背景知識やリテラシーがないと読めませんよね。著者は自分が書く分野について語り尽くしますから、読む方も情報を入れなくてはいけないです。
 
三浦:わからないところはChatGPTに教えてもらえるから、読書人口が増える可能性もありますよね。知識の格差もAIによって是正されますから、AIや音で学ぶことに慣れていくといいかもしれません。今後は学ぶことが多様化するので、多くの人が学びを深められるいい時代になっていくと思います。
 
 
<編集後記>
本は目で読むもの、そんな固定観念があったとしても、ある日突然目で読めない状況になることがないとも限りません。あらゆる人に読書の可能性を諦めないでほしいという、オトバンクの創業の志を天狼院書店で体現することで、多くの方に関心を持っていただけるきっかけとなったイベントでした。
 

【書籍×音の関連講座はこちら】
2023/10/29「音ラーニング」を極める! SPECIAL対談
「音ラーニング」を極める! 天狼院書店店主・三浦✖️オトバンク・上田/Special対談
 
2023/11/3「聴ける本屋さん」特別イベント 書店で朗読ライブ〜速水奨 出演!『#真相をお話しします』

 
 
取材・文:河瀬佳代子
撮影:田岡尚子

□ライターズプロフィール
河瀬佳代子(かわせ かよこ)(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

フォトライター 東京都出身 神奈川県在住。
天狼院書店ライターズ倶楽部「READING LIFE編集部」公認ライター。「Web READING LIFE」にて「魂の生産者に訊く!」http://tenro-in.com/manufacturer_soul 、
「『横浜中華街の中の人』がこっそり通う、とっておきの店めぐり!」 https://tenro-in.com/category/yokohana-chuka/ 連載中。他に企業HP、シンポジウム等実績。2022年からカメラマン・榊智朗氏に師事し料理写真・ポートレート・スナップ撮影を開始。文章と写真の二軸で勝負するライターとして活動中。

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2023-10-30 | Posted in 記事

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