第5回:Evernoteでおかいもの上手になろう!≪クラウド生活のススメ≫
記事:安光伸江(READING LIFE編集部公認ライター)
「Evernoteって何に使ってええんかわからんっちゃ」
両親を2年もたたずに相次いで亡くした時、葬儀やら相続やらの関係で我が家に来るようになった兄はそう言った。ガジェットとクラウドが大好きな妹の私が、Evernoteいいよいいよと騒いでいるのを聞いてのことだ。
Evernoteは「何でも入れておけるデータベース」である。テキストでもいい。画像でもいい。PDFでもWord文書でもいい。ウェブクリッパーという機能を使えば、ブラウザで見ているサイトの記事本文を抽出して保存してくれる。なんでもかんでも入れておいて、後から検索できる。ひとつひとつのデータは「ノート」といい、それを「ノートブック」にまとめておける。ノートブックはさらに「スタック」というのにまとめておくことができる。それぞれ自分で決めたテーマにそってまとめればよい。「すべてのノート」を時系列(逆順が基本)で見るだけでなく、この「ノートブック」や「スタック」にまとめてあるものを時系列に見るのがなかなか便利である。よく使うスタックはショートカットに入れておくとさらに見やすくなる。
保存容量は10万ノートまで。プランによって月々に「アップロードできる量」が決まっている。無料プランだと60MBまでで、それを試して気に入った人が使う有料プランは月に10GB までアップロードできる。そんなに使わないからうちも無料プランでよさそうなものだけど、有料じゃないとできない機能があるから私は有料にしている。兄はたぶん無料で試してEvernoteのよさがよくわからなかったんじゃないかな、と思うけど、個人的には有料プランがおすすめだ。
私が有料プランの機能として重宝しているのは「保存した画像内の文字も検索できる」ということだ。この機能は無料プランにはない。有料プランでも安い方には入ってなくて、最上位のプランだけだ。だからうちのアップロード容量は無料でもいいくらい少ないのに最上位のEvernoteプレミアムに入っている。
この、画像内の文字検索によく使っているのは、日々のおかいものや食事のレシートをスキャンしたものだ。ScanSnap iX100という持ち運び簡単なスキャナでレシートを一枚一枚じゅ~っとスキャンする。そうするとScanSnapクラウドというアプリ経由で自動的にEvernoteに新規ノートとして保存される。タイトルには日付と時間がついてくるので、それをレシートの時刻に書き換えたり使った場所と値段を書いたりして加工する。
20191017 1420 唐十 ¥540
20191018 1127 いきなりステーキ ¥1320
20191019 1129 おむらいす亭 ¥558
といった感じだ。すると日々のおかいものの記録ができて日記代わりになる。一時期流行った「ライフログ」というやつだ。もちろんスマホで撮ったレシートの写真をEvernoteに入れることもできるけど、これだとファイルサイズが何メガにもなるから、ScanSnapでスキャンして数百キロバイトにした方が使い勝手がいい。
それと、私が行く近所のショッピングセンター「ゆめシティ」の専門店ではレシートが何枚にも渡るので、ScanSnap Cloud でまとめて処理しておくのが便利だ。お店のレシート、電子マネーゆめかの使用レシート、ゆめシティのポイントのレシート、と3枚になるお店も多い。3枚続けてスキャンすれば、1つのノートに入るのがいい。だからレシートをマネーフォワードなどの会計ソフトに入れるよりEvernoteに入れた方が私にとっては都合がいい。
保存された画像データは、中の文字が検索できるようになる。簡易OCRという感じだ。だから「あの××はこの間いつ買ったかな」なんて調べたい時には、レシートのノートを入れてあるノートブック内で「××」を検索すればいい。OCRは完全とはいえないけれど、レシートの検索はわりとうまくいっているような気がする。これで同じものを続けて何回も食べなくてもすむ。こないだ食べたばかりだから今日は別のにしよう、なんてね。
もう数年前になるが、ゆめシティの衣料品売り場で、3000円ごとに300円引というクーポンが出たことがあった。その時は6000円ちょっと買ったので300円引が2回使えるはずだったんだけど、1回しか適用されなかった。そのことをお客様の声に投書しておいたら「レシートを持って売り場に来てください」とご連絡をいただいた。あ~、もうレシートは捨てちゃったよ。でも大丈夫。Evernoteに入っているから。該当するレシートを検索して、売り場の担当者さんに見せたら、レシート番号がわかったのでお店の方のデータを出してくれた。そしてちゃんと、300円戻ってきた! だいぶ時間がたってレシート本体は捨ててしまっていたけどEvernoteにあるデータで救われた! 記録としてEvernoteにレシートを保管しておくのは有用だな、と思った。
日々のお金の出入りのデータは表計算ソフト(都合により古いバージョンのNumbers ’09を使っている)に入れて管理しているが、これはパソコンでしか開かないことにしているため、たとえばスタバのプリペイドカードやいきなりステーキの肉マネーの残高がどうなってるかわからなくなることもある。そんな時もEvernoteにレシートを保存してあれば安心だ。レシートにはプリペイドカードの残高がしっかり載っている。ゆめシティやゆめタウンの共通ポイント「ゆめカードポイント」や電子マネー「ゆめか」の残高だってレシートの画像を見ればすぐわかる。
EvernoteはパソコンのほかiPhoneやiPadでも見られるので、データの加工はおうちで、見るのは外のiPhoneで、ということができる。開発担当者がMacユーザーなんじゃないかと思うけど、Windows版よりMac版の方が機能アップが早いようだ。うちの兄はWindows派だからEvernoteのよさがわからないのかもしれないな、と思った。
ほかにもEvernoteのオススメ機能はたくさんあるけど、まずはスキャンしたレシートの保管をしてみませんか? 日々の生活の記録になってとっても便利。画像内の文字検索ができるのが秀逸なので有料版がオススメだけど、スクロールして眺めるだけなら無料版でもなんとかなるかもしれない。いきなり有料版はちょっとな、という人は、無料版から試してみて欲しい。
Evernoteのある生活、いいですよ!
つづく。
❏ライタープロフィール:安光 伸江(READING LIFE編集部公認ライター)
山口県下関市出身・在住。下関西高、東京大学卒業、東京藝術大学大学院修了。
大学卒業後は東京で声楽・器楽の伴奏ピアニストや音大非常勤講師などの音楽活動をしていたが、2008年9月、リーマンショックの1週間前に病気療養のため実家に帰る。iPad Pro・mini+Apple Pencil愛用、4Gガラケー(au、通話のみ)とiPhone 3本と Google Pixel 3(データのみの格安SIM利用)を電話代とWiFiオプション込みで合計月5000円かからずに使うなど大のガジェット好き。パソコンは永年のMS-DOS〜Windows利用を経て、2008年初めからMac使用。日本語入力は平成の初めからずっと親指シフト派。
2019年2月よりWeb READING LIFEで「素人投資家いちねんせい」週刊連載中。天狼院メディアグランプリ 21st season 総合優勝。
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
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