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夫を断捨離したくなったら《週刊READING LIFE Vol.63 2020年に読むべきBOOK LIST》


記事:丸山ゆり(READING LIFE 編集部ライターズ倶楽部)
 
 

「ああ、また正月にダンナの実家に行かないといけないんだ……」
 
結婚していた頃、年末の大掃除が大変だと思う以上に、年始の実家詣でが何より苦痛だった。
 
お務め。
 
そんなふうに思い、感情を押し殺してやっていたように思う。
夫の実家では、年始には独立して暮らしている他の弟妹たちも集まるのだが、
いつの間にか、私だけ一人が浦島太郎状態。
実家での家族たちのどの話題も、知らないことだらけで、私が会話に入るスキなどない。
仕方なく、宴会の後かたづけをするも、古い家屋の台所は寒かった。
きっと、冷えた室内の空気プラス、心が寂しかったからかもしれない。
それでも嫁として帰省することが、当時の私には当然の務めだと思っていたのだ。
夫の実家への帰省を面倒だと思うようになったのは、夫との関係性の変化に比例していたように思う。
 
思えば、夫婦になって時間が経つにつれて、その関係性はどんどん変化していった。
最初は恋愛の末、結婚したのだが、「愛」というものが落ちていくのに、そう時間はかからなかった。
それでも、子どもがいると親として、ともに子育てをする同士としての「情」は残っていた。
新婚時代には、お互いに遠慮もあった。
ところが、一番近いところにいる他者となっていったのだ。
 
「やってもらうのが当然」
 
「言わなくても、わかるでしょ」
 
「なんでこんなことするのよ」
 
そんな言葉をぶつけ合えるうちは、まだマシである。
 
やがては、「どうせ言ったって……」とあきらめの気持ちが濃くなってゆくのだった。
 
それが日々少しずつたまってゆき、心の中の澱となっていった。
それはつまり、ガマンが不満となって蓄積していくのだ。
夫婦というのは、時にやっかいな関係性だとつくづく思う。
 
断捨離トレーナーを仕事としている私の元にやってくるクライアント。
その入り口は、確かにモノの片づけに困っている主婦
ところがその心の内側に抱えている問題は、9割が夫婦の問題を抱えている。
 
「ダンナが家のあちらこちらにモノを置く」
 
「ダンナがしょうもないモノばかりを買ってくる」
 
「ダンナが捨てると怒る」
 
家が片づかないのは、とにかく夫のせいなんだとプレゼンする妻たち。
ところが、いざ、断捨離を始めると、実は妻である自分のモノのほうが多いことに気づくケースがほとんどである。
夫側の行動を見てみると、モノで家の中にマーキングをしているようなものだ。
つまり、自分の存在をモノを通して妻に、家族にアピールをしている。
 
私自身にも覚えがある。
結婚当初は、自分の思いや考えを相手に伝えていた。
ところが、時間の経過とともに、関係性が変わっていった。
それと同時に、なぜか力関係に差も生まれ、相手とのコミュニケーションをとることを回避していった。
同じ空間に自分以外の人間がいて、コミュニケーションをとることを拒否すると、そこには良好な関係性は生まれない。
そこから、冷めた夫婦関係が始まり、愚痴や不平をぶちまけるような人生になってゆくのだ。
 
そこでおススメしたいのが、「夫婦の断捨離」(やましたひでこ著 すばる出版) である。
 
なかなか、ドキッとするタイトルではある。
妻が断捨離を始めると、「自分が断捨離されるのでは?」と心配する夫が世の中に多いのも事実である。
思い当たることが、あるのだろうか。
外側から見ると、ごく普通の幸せそうに見える夫婦。
ところが、その内側に抱える様々な思いや問題点。
そんなところから、この本は紐解いてゆく。
 
そして、断捨離はまずはモノからやってゆく。
そうすると、モノの片づけを通して、自分に向き合うことになるので、今の自分の本当の思いが見えてくるのだ。
不満のその奥にある本来の気持ちに寄り添うのだ。
そうして、今の自分がどうしたいのか?
そんなアプローチができる。
そして、モノを通して自分に何度も向き合い、問い直すことで、やりたいこと、なりたい自分が浮かび上がってくる。
そこから、そのモノを不要と思うならば捨て、必要ならばとっておく。
そんな選択、決断のトレーニングをモノでたくさんするのが断捨離だ。
片づけられないほどのモノがあるのだから、練習材料は豊富にあるはずだ。
そうして、トレーニングを続けてゆくうちに、本当はどうしたいのか?
そんな思いに出会えるはずだ。
 
モノの断捨離からスタートしても、やがてはヒトの断捨離も可能になってくる。
私自身も、大量のモノをため込んでいたので、断捨離のトレーニングは十二分にできた。
そして、ある時、夫を断捨離することができたのだ。
 
離婚した身として、決して離婚をおススメすることはない。
ましてや子どもがいるならば、両親がそろっていた方がいいに決まっている。
この本にも、断捨離をして離婚を決意した夫婦もあれば、関係性を取り戻した夫婦の例も紹介されている。
それでも、自分の思いに寄り添って、コミュニケーションをとることにも嫌悪感を抱くならば、離婚という道もありだと思う。
そんな人生における大きな問題にも、答えを出す力を断捨離の実践では身に着けられるのだ。
 
「夫婦の断捨離」を読んで、今、自分がどのような思いを抱いているのかがわかるはずだ。
そこから、ひたすらモノの断捨離をやってゆくこと。
そうすることで、その先の行動を選択決断できるようになってゆく。
 
年末年始、特に家族との距離が近くなる時期なので、年始の早い時期に是非、「夫婦の断捨離」を読んで、今の夫婦の関係を考えるきっかけづくりにしてはいかがだろうか。

 
 
 
 

◽︎丸山ゆり(READING LIFE 編集部ライターズ倶楽部)
関西初のやましたひでこ<公認>断捨離トレーナー。
カルチャーセンター10か所以上、延べ100回以上断捨離講座で講師を務める。
地元の公共団体での断捨離講座、国内外の企業の研修でセミナーを行う。
1963年兵庫県西宮市生まれ。短大卒業後、商社に勤務した後、結婚。ごく普通の主婦として家事に専念している時に、断捨離に出会う。自分とモノとの今の関係性を問う発想に感銘を受けて、断捨離を通して、身近な人から笑顔にしていくことを開始。片づけの苦手な人を片づけ好きにさせるレッスンに定評あり。部屋を片づけるだけでなく、心地よく暮らせて、機能的な収納術を提案している。モットーは、断捨離で「エレガントな女性に」。
2013年1月断捨離提唱者やましたひでこより第1期公認トレーナーと認定される。
整理・収納アドバイザー1級。

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