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メディアグランプリ

地味でアナログ。でも最先端《週刊READING LIFE Vol.66 買ってよかった! 2020年おすすめツール》


記事:井村ゆうこ(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 

最初に断っておきたい。
私がこれからおすすめするツールは、地味でアナログだ。
 
「10時からは覚せい剤取締法違反、10時50分からは道路交通法違反、午後は……詐欺か窃盗かな」
 
地方裁判所の入り口を抜け、持ち物検査を終えた私は、かばんからノートを取り出して列に並んだ。列の先には、その日の裁判の予定が書かれた表が置かれている。スーツ姿の男性、ひそひそ話す中年女性の2人組、重そうなリュックを背負った学生風の男の子が、順々に予定表を確認してその場を離れていく。続いて私も、これから傍聴する裁判の開廷時間と法廷番号、罪状をチェックし素早くノートにメモした。
 
覚せい剤取締法違反の裁判が行われる法廷に入り、傍聴席の中ほどに陣取った私は、再びノートを取り出し開廷のときを待った。検察官と弁護人、被告人が席に着くと、最後に裁判官が入廷する。私たち傍聴人も含め、全員が起立し礼を終えると裁判が始まった。検察官からの罪状認否を聞きながら、私はノートにメモをとり、感じたことを思うままノートに書きこんでいく……。
 
裁判所に足を踏み入れたことがある方ならご存じだろうが、裁判所では録音、録画が禁止されている。だから、入り口で予定を確認するときも、法廷内でメモをとるときも、スマホやタブレットといったデジタルツールは一切使用できない。頼りになるのは、ペンとノートだけ。
 
ということで、私が2020年におすすめしたいツールとして選んだのは、この地味でアナログな「ノート」である。
 
世の中にあまた存在するノートの中から、私が一押しするのは「Thinking Power Notebook」だ。大学ノートの専門メーカー、ツバメノート株式会社によって「大学ノートの良さを継承しつつ、如何に大学ノートの既成概念から脱却するか」をテーマに、作られている。
どことなく星の王子さまをイメージさせる、やさしいイラストの入った表紙と、淡いブルーグレーのインクでひかれた升目をもつ方眼ノート。何と言ってもこのノートの最大の特徴は、一枚一枚きれいにカットできるミシン目が入っていることだ。
たかがミシン目、されどミシン目。これがあるとないとでは、使い勝手に大きな差がでてくる。
 
例えば私の場合、傍聴記録は各裁判ごとにページをかえてメモしている。メモし終わった紙は都度切り離し、「窃盗」「薬物」「詐欺」と言った具合に、罪状別に分けてまとめておく。こうしておけば、後から見返すときに、最初のページから繰って目的の裁判を探す手間が省けるし、後からいくらでも記録や感想を付け足していくことができる。
また、ノートは裁判傍聴記録以外にも活躍してくれる。私は1年半ほど前から短歌を詠んでいるのだが、素人歌人にも突然歌が「降って」くることがある。空を流れる雲を目にして、遠くから聞こえてくるサイレンの音を耳にして、隣の家から漂う夕げの匂いを鼻から吸い込んで「降って」きた歌は、すぐにメモしないと煙のように瞬く間に消えてしまう。スマホのメモ機能に手入力したり音声入力したりすることもあるが、ノートにメモした時の方が断然いい歌が生まれる気がするから不思議だ。手書きして乱れた文字の連なりには、スマホの画面には映らない、感情やら季節感やらが映っているように思えてならない。
それこそ、裁判を傍聴し終えた帰り道で、頭の中に突然言葉がわき出てくることがある。そんな時も「Thinking Power Notebook」1冊あれば問題ない。道路交通法違反の裁判記録ページを切り離して生まれた新しいページの上に、浮かんだ歌の世界に鍵をかけるように、わき出た言葉を書き記していく。
 
ここまで読み進めていただいた上で、裁判の傍聴も短歌も興味ないよ! という方が圧倒的に多いことは承知している。しかしそのような方々にも、胸に手をあてて少しだけ考えていただきたい。
スマホやタブレットを取り出すことができない場面に遭遇したことが、なかっただろうか。
手書きすることで、考えが整理され、新たな発想が生まれたといった経験が、なかっただろうか。
 
私が新卒で就職したとき、先輩から口を酸っぱくして言われたのは「とにかくメモをとれ」ということだった。教えてもらったことはもちろんのこと、疑問点や改善点なども、すぐにメモするよう指示された。当時はスマホもタブレットもない時代だったので、当然ノートにメモしていたわけだが、ひとつだけ困ったことがあった。1冊のノートに全てを記していたので、後から見返した時にカテゴライズされておらず、どこに何を書いたか探すのに非常に手間取ったのだ。
もしあの頃「Thinking Power Notebook」があったなら、業務ごとや指導してくれる先輩別にメモをとり保存しておくができたのに。もしこれからもう一度新入社員をやるとしたら、絶対に「Thinking Power Notebook」を鞄にいれて出社するだろう。
 
また、「Thinking Power Notebook」の表紙の裏側には、このノートを企画し商品化したプロジェクトチームからのメッセージが、英語で7つ書かれている。その中のひとつ、2009年9月からブランドスローガンとして印字されているのが『Think Before Search』(検索する前に自分で考えてみよう)だ。
確かに、今はインターネットで検索すれば瞬時に大概のことは調べることができる。検索して答えをみつけ「わかった」つもりになることができる。でも、自分が受験生だったころのことを思い出してみると、英語の単語も歴史の年号も書いて覚えていた。文系の私にとって難敵だった数式も、紙に書いては消し書いては消して、なんとか答えにたどりつこうとしていた。ネットで例文なんかを調べることもできないしメールもないから、誰かに「好き」と伝えたいときは、何時間も頭を悩ませて、何枚も紙を無駄にして手紙を書いていた。書くことによって、考える力、ものごとを多面的に捉える力、コミュニケーション能力養ったのだと、今は思う。体も脳も、何度も何度も失敗を繰り返し、反復練習することによって鍛えられるに違いない。
 
「Thinking Power Notebook」の便利さも、手書きするメリットもなんとなくわかったけど、他のノートでも代用できるのでは? と感じた方もまだまだ多いことだろう。
確かに、ミシン目のない普通のノートでも、ページを切り離すことは可能だ。器用で手間を惜しまないひとなら、切り口をカッターできれいに切りそろえることも朝飯前かもしれない。
しかし、「Thinking Power Notebook」には、他のノートにはない強い味方がいることを、ここで声を大にしてお伝えしたい。
 
その強力な助っ人の名は「Note Me(ノートミー)」
ノートとペンに最短でアクセスすることを目的として作られた、ペンホルダー付きのノートケースで、「Thinking Power Notebook」専用の代物だ。ケースと言ってもふたがついているわけではなく、形状はどちらかと言うとバインダーに近い。天然の牛皮製でしっかりとした固さを持っているので、座ったひざの上でも、立ったままでも非常に文字が書きやすいのが特徴だ。書いているときにノートがずれないような工夫も施されている。また、ケースの背面には書き終わって切り離した紙を収納することができるスリットがついているので、切り離した紙を保管するためのクリアファイルを携帯する必要もない。加えて名刺を保管することができるポケットもついているので、会議や取材現場などのビジネスシーンでも力を発揮してくれそうだ。
私の場合は裁判傍聴中、ひざの上でメモをとるときにちょうどよく、歩行中、立ったままで短歌の材料を書きとめるのに役立っている。他にも、6歳の娘と出かけた先で、急にお絵描きしたくなった娘のキャンバスとしても活躍してくれる。書き終わった絵は、もちろん切り離すことができるので、お絵描きのせいでノートを一冊だめにするようなこともない。
 
それでも、ノートもケースもいらんわ! という方には、だまされたと思って一度のぞいてもらいたいサイトがある。それは、「Note Me(ノートミー)」を販売しているストア、SUPER CLASSICのサイトだ。
『プロダクトを通じて、快適なライフスタイルを提案するストア』がコンセプトだけあって、斬新かつ使い勝手を考え抜かれた商品が並んでいる。
 
例えば、二等辺三角形のカタチで自立する「ペン立て」みたいなバッグ。
ノートPCも、タブレットも、モバイルバッテリーも、デジカメも入ってしまう収納力を備えたうえで、倒れにくい構造になっている。題して、ふたを開いたらすぐオフィス。ノマド族には一見の価値ありのバッグだ。
 
例えば、薄い財布。
厚さ約7mmなのに紙幣、コイン、カード、鍵が収納できる。財布もカードケースも鍵もスーツのポケットにつっこんでいる男性は多いだろうが、こんなに薄い財布ならポケットが無様にふくらんでしまうなんてこともなく、実にスタイリッシュではないか。しかも、「Note Me(ノートミー)」と同じく天然の牛皮を使って職人さんがひとつひとつ手作りしている。使いこめば使いこむほど、渋いおじさんのように味がでてくること間違いなしだ。
 
他にも、まだまだある。
荷物が多くていつも何かを探しているような私の、救世主になってくれそうなバッグ。この春小学校に上がる娘のしつけに一役買ってくれそうなグッズ。いちいちセンスのうるさい夫も納得しそうなあれやこれ。文房具には一家言もつ友だちもうなりそうな、あんなものこんなもの。
SUPER CLASSICには、自分で使いたいと思わせるものだけでなく、大切なひとに贈りたくなるものがそろっている。私は自分と夫、娘の誕生日プレゼントはもう決めた。
 
最後に訂正しておきたい。
私がおすすめするツールは、地味でアナログだけど、味があって時代の最先端だ。
 
『ゼロベースで考えたアイデアを、熟練職人の技でカタチに。10年後のスタンダードを目指して』
このフレーズが、SUPER CLASSICのパンフレットをひらくと、まず目に飛び込んでくる。
 
自分の頭で考え、自分の手を動かし、自分で選び、自分で判断する。
そんな2020年を過ごしたい私を助けてくれるツールと巡り合えたことに、感謝したい。

 
 
 
 

◽︎井村ゆう子(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
転勤族の夫と共に、全国を渡り歩くこと、13年目。現在2回目の大阪生活満喫中。
育児と両立できる仕事を模索する中で、天狼院書店のライティングゼミを受講。
「書くこと」で人生を変えたいと、ライターズ俱楽部に挑戦中。
天狼院メディアグランプリ30th season総合優勝。
趣味は、未練たっぷりの短歌を詠むことと、甘さたっぷりのお菓子を作ること。

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