コスパの悪い人生だけど、「生きてるだけで丸儲け」かもしれない
*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
2025/10/16 公開
記事 : 升井 さくら(ライティング・ゼミ7月コース)
「生きてるだけで丸儲け」
これは、かの有名なおもしろ怪獣、明石家さんま氏の座右の銘らしい。正直言って「ほんまかいな」と思っている。生きていれば、良いこともあれば、当然、悪いこともあるし、私の人生を査定したら、価格はマイナスなんじゃないかって、思うことすらある。今のところ、貯金だってあまり無いし、これといって「人生最高!」と思うことも無いし、やっぱり儲けなんて無さそうだ。
それどころか我が人生、なんともまあ、非常にコスパが悪くて損している気がする。
まずストレス発散のコスパが悪い。これを読んでいる皆さんの中にも、ストレスを発散するのにお金がかかって、その割には短時間で開放タイムが終わっちゃうんだよなあ、ってことが多少なりともあるんじゃないだろうか。例えば、ストレス発散の方法はお酒だったり、お肉だったり、タバコだったり、ギャンブルだったり、推し活だったりするのだと思う。
私は大食いで、食べることが好きだ。しかもわがままな舌を持っているから、時間の経ったご飯は食べられない。冷凍ご飯も食べられない。そのくせして、ストレス発散方法は「おいしいものを食べること」。大食いかつグルメ、そして早食い、しかも脂肪と糖質にBIG LOVE。特に好きなのはチョコレートだ。だからストレスが溜まりまくると、大好きなお高いチョコレートをついつい食べちゃう。あのビターでとろける食感は、幸福以外の何物でもないのだ。でもお高いチョコって大体お上品な量しかないから、ほんの一瞬で消えちゃうのだ。私のストレスはお値段の割に、ものの数分しか軽減されない。
チョコレートじゃなくても、ストレスが溜まるとガツガツ早くたくさん美味しいものを食べるので、当然のように結果、太った自分を見ては、さらにストレスの悪循環。どう考えてもストレスを感じている時間よりも、解放の時間の方が短い。解放されても、すぐに新たなストレスがすぐに生まれる。ふとした時に、心の中で誰かの「あんたバカァ?」なんて声が聞こえてくる。でも身の回りに美味しいものが、これでもかというほどに溢れてるし、ストレス社会を生き抜くには、いや、そうでなくとも、生きるには食べざるを得ない。つまりストレスの循環の中に私は生きている。
さらに私の場合は、労働のコスパも非常に悪い。
自分で言うのもなんだが、なかなか真面目に仕事をしていて、一生懸命働いている。多分、誰もがみんな、それなりに一生懸命働いていて、そうやって世界はできている。私は懸命に働く一方で、ついおふざけしたくなる性分でもあるので、職場に人がいると笑わせようとしたり、ツッコミを入れたりしてしまう。職場のトークで爪痕残そうとしてどうするんだ、という話なのだけれども。
だから私、集中できずに仕事が早く終えられない。でもやりきろうとか、もっと良くしようとして、そこそこ頑張るので、終電を無くしてしまうことがしばしばある。するとタクシーで帰る他なくなってしまうのだ。そんな遅い時間だから、深夜料金と迎車料金まで追加される。一生懸命働いているのに、そのお金は決して、会社からは出ない。なんならバレたら怒られるレベル。
でも私だけじゃなくて、世の中で働く人たちって仕事が好きだったり、真面目な人だったりすればするほど、頑張っちゃって、サービス残業とかしているんじゃないだろうか。私のような愚かなことは無いまでも、貰っているお給料以上に頑張ってる人たちがいっぱいいて、その人たちに社会は支えられて、どうにか形を保ってるんだと思う。素敵なアナウンスをしてくれる車掌さんやバスの運転士さんに遭遇したことがあるけれど、きっとそれでボーナスがもらえるわけじゃないと思う。ただ私は癒されたし、嬉しかった。チップ制度があれば出している。私だけじゃなくて、頑張っている人たち、みんながそれなりにコスパ悪く生きているんじゃないだろうか。こんなに頑張っているんだから、もっとお給料だって、お休みだって無いと割に合わないよ、って皆さん、そうは思いませんかね。
でもやっぱり私は、仕事で褒められたり、認められたりすると嬉しいし、微々たるものでもボーナスが貰えると嬉しい。稼いだ少しのお金で、推しに会いに行くのも幸せ。高いチョコで気休めにもなる。何よりへとへとで帰って、白目を剥きながら作った夕食を、夫に「おいしい」と言われると、どうしようもなく幸せなのだ。だからつい、どんなことも頑張っちゃう。
今はコスパの悪い人生かもしれないけれど、日々の小さな幸せを合算したら、もしかしたら人生最後の時には、多少なりとも儲けが出ているのかもしれない。もう少し人生の価格変動を見守ってみようと思う。
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