コーヒーは奇跡の結晶だと知ってしまった。いつもの一杯が120円でも、私には3000円? いやもっと高いぞ! と思えた話。
*この記事は、「ハイパフォーマンス・ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
2025/10/23公開
記事 :前田 さやか(ハイパフォーマンスライティング記事 インフィニティ∞リーディング体験記)
不思議に思えたんです。
いつもと同じコーヒーなのに、美味しいだけじゃない。私には奇跡が見え始めました。120円のマックのコーヒーなのに。価値が無限大に広がるのです。
私は天狼院書店のインフィニティ∞リーディングを受けてきました。結果、自分に変化が生まれたんです。
「知ることで行動が変わる」体験です。
読書は人間を変えます。知識を増やすだけではなかったのです。
三浦店主がよく言われる言葉があります。
「本を読んで考えることが、AI時代を生きるには不可欠」と。
しかし私は、何を読むといいか思い浮かびませんでした。
ふとコーヒーを飲みながら思いました。
「……そうか。コレなら読んでても楽しいかも」
大好きなコーヒーを読書したら、どんな変化が起きるのか?
自分なりのインフィニティ∞リーディングを実践してみました。
そしてわかったことがあります。
目の前の一杯の値段がいくらでも、奇跡の結晶なんです。
今回3冊の本を読み解いて、見えてきた世界をお伝えします。
歴史:コーヒーが飲めなかったから、今がある。
コーヒーは長い歴史の中で何度も危機に直面してきました。例えば19世紀のフランスでは、皇帝ナポレオンの戦争政策で海外からの物資が入らなくなり、コーヒー豆が手に入らない時代がありました。コーヒーがとても高価になってしまったため、人々は代わりにチコリという植物の根を炒(い)って粉にし、コーヒーの代用品として飲んでいました。コーヒーが飲めない苦しい時代でも、みんな工夫を凝らして乗り越えたのです。
19世紀の終わりには、コーヒーの木が病気(さび病)におかされ、多くの地域でコーヒーが育たなくなる大事件も起きました。この危機から人々は学び、さび病に強いロブスタ種という新しい種類のコーヒー豆を広めました。こうして私たちはコーヒーを絶やさずに済んだのです。
日本でもコーヒーの歴史はドラマチックです。第二次世界大戦中は物資不足でコーヒーが飲めず、どんぐりや大豆で作った代用コーヒーでしのぎました。戦後になると、愛好家たちが本物のコーヒーを学び始めます。先人たちのおかげで、日本でアイスコーヒーやコーヒーゼリーが生まれたのは驚きです。
また日本にカフェ文化が根付いたきっかけは、ブラジルにありました。1911年に「カフェーパウリスタ」という喫茶店が銀座に登場したのです。実は今も現存するカフェです。(カフェパウリスタ公式サイト:https://www.paulista.co.jp)
このカフェが生まれて、日本では安くて美味しいブラジルコーヒーを、庶民が飲めるようになりました。
この店を作るために、実は多くの日本人が移民となってブラジルへ渡っていたのです。それはブラジルの奴隷が解放されて、コーヒー農園で働く人がいなくなったからでした。カフェのオーナーは、ブラジルからお礼でコーヒー豆を受け取って安くコーヒーを提供できたわけです。
当時、銀座でブラジルコーヒーを飲んでぶらぶら散歩することを「銀ブラ」と呼ぶ流行も生まれました。
経済:カフェの最強のビジネスモデルはスナックのママ
コーヒーは世界中で愛される飲み物で、その取引量は石油に次ぐほどと言われます。昔、ヨーロッパの国々はコーヒーをたくさん作るために植民地を開拓し、大規模な農園で栽培しました。その歴史から、コーヒーは多くの人の労働に支えられて発展してきた商品でもあります。
現代でも、コーヒー豆は生産する国の経済に大きな影響を与えます。一方で近年は、生産者を守り品質の高い豆を適正な価格で取引するフェアトレードや、特に品質にこだわったスペシャルティコーヒーと呼ばれる高級志向の豆も注目されています。
私たちの身近でも、コンビニやファストフード店で100円程度のコーヒーが飲める一方で、豆や淹(い)れ方にこだわった一杯数千円のコーヒーも存在します。コーヒーの世界は安価な大量消費と、高品質な嗜好品(しこうひん)の二極化が進んでいるのです。
では、おいしいコーヒーさえ出せばお店は繁盛するのでしょうか? 実はそれだけではありません。バリスタ(コーヒーを淹れる専門の人)の世界チャンピオン井崎英典(いざき ひでのり)さんは、「カフェの最強のビジネスモデルはスナックのママ」だと言っています。スナックとは小さなバーのことで、そこでは飲み物より「ママ」と呼ばれる店主とのおしゃべりが目的になります。同じようにカフェでも、「お気に入りのバリスタに会いに行く」「落ち着ける空間で過ごす」ことが大事だという意味です。
その代表がスターバックスコーヒーです。スタバは、世界中のどの店舗でも「期待を裏切らない体験」ができるよう設計されているようです。
落ち着いた音楽、焙煎された香り、丁寧な説明をしてくれるバリスタたち。
私たちはスタバで飲むだけじゃないのです。「感じる・学ぶ・楽しむ」ことを体験していました。
科学:コーヒーは科学の塊
コーヒーの味わいは、科学と技術の積み重ねでできています。
コーヒー豆は飲めるようになるまでに、色々な工程があります。発酵や乾燥のやり方が違うと味に大きな影響を与えます。
また、焙煎技術も大きく進化しました。かつては鍋で炒っていた豆が、ドラム式焙煎機の登場により大量かつ均一に仕上げられるようになりました。
今では、家庭用の焙煎機も登場し、自宅で自分好みの煎り加減に挑戦することも可能です。熱風式や直火式、手回しドラムなど、焙煎方式の違いも奥深く、焙煎の科学を知ることで、さらに一杯の感動が増します。
医学:コーヒーは健康食品!?
「コーヒーって体にいいの?悪いの?」と疑問に思う人もいるでしょう。医学の研究によると、適度にコーヒーを飲む習慣は私たちの健康にうれしい効果をもたらす可能性があります。
ハーバード大学の公衆衛生研究では、1日に3〜5杯のコーヒーを飲む人は、全く飲まない人に比べて死亡リスクや心臓病のリスクが少し低いという結果が報告されています。また、他の研究でもコーヒーを日常的に飲む人は糖尿病になる可能性が低いというデータもあります。コーヒー豆に含まれるポリフェノールなどの抗酸化物質が体に良い影響を与えているのではないかと考えられています。
もちろん、コーヒーの飲みすぎには注意が必要です。カフェインを一度にとりすぎるとドキドキしたり眠れなくなったりすることがありますし、体質によってカフェインに強い人と弱い人がいます。また、妊娠中の方は控えた方がいいなどの注意点もあります。
でも、普通にコーヒーを楽しむ分には過度に心配はいりません。毎朝のコーヒーが私たちの眠気を覚まして元気づけてくれるだけでなく、長い目で見ても体を守ってくれる「頼もしい相棒」になるかもしれない
2050年問題:コーヒーが飲めなくなるかもしれない!?
私たちが当たり前に飲んでいるコーヒーですが、実は将来「飲めなくなる日」が来るかもしれないと言われているのです。
その理由は地球温暖化です。
温暖化が進むと、今コーヒーが育っている場所がどんどん暑くなってしまうのです。すると虫が増えたり、雨が降らなくなったりして、栽培に適した土地が半分以下になると言われています。
実際、「2050年には良質なコーヒーがとても手に入りにくくなる」という予測があります。
でも、ここであきらめないのが人間です。
すでに世界中の農家や研究者たちは、温暖化に強い新しいコーヒーの品種を作ろうと努力しています。標高が低くても育つコーヒー、病気に強いコーヒー、乾燥に強いコーヒーなど、未来の一杯を守るために知恵を絞っているのです。
だからきっと、これからも乗り越えられるはずです。
そして私たちにできることは、一杯のコーヒーを「当たり前」ではなく「ありがたいもの」として味わうこと。それが、コーヒーの未来を支える最初の一歩かもしれません。
おわりに:一杯のコーヒーに広がる奇跡
コーヒーについて「歴史・経済・科学・医学」の視点から見てきました。
知れば知るほど、たった一杯のコーヒーが奇跡の結晶に思えてきませんか?
世界中の人々の努力や物語が詰まったコーヒーを、私たちは日常でわずか120円ほどで手にすることができます。そう考えると、いつもの一杯も特別に感じられてくるでしょう。湯気の向こうに広がるドラマに思いを馳せながら飲むコーヒーは、きっといつもより美味しく感じられるはずです。
最後に、今回参考にした3冊の本を紹介します。どれもコーヒーの奥深い世界をわかりやすく教えてくれる本です。興味を持ったら、ぜひ手に取ってみてください。
- 『教養としてのコーヒー』(井崎英典 著) – コーヒーの歴史や経済、文化について、世界チャンピオン・バリスタがやさしく教えてくれる本です。
- 『コーヒーの科学』(旦部幸博 著) – コーヒーの香りや味、淹れ方など、おいしさの秘密を科学的に解き明かした一冊です。
- 『コーヒーの医学』(野田光彦 著) – 医学的なエビデンスにもとづき、コーヒーが健康に与える影響をやさしく解説した一冊です。
コーヒーを「読む」と、私たちの身近な世界の見え方が少し変わります。知れば知るほど、明日のコーヒーが楽しみになりますね。ぜひ皆さんも、コーヒーの物語に触れてみてください。
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《終わり》
インフィニティ∞リーディングのリンクはこちらから
https://tenro-in.com/category/infinity_reading/
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