メディアグランプリ

 メイク上達道中膝栗毛


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事:ムー子(25年11月開講コース)

 

「おかしい、なんか違う」

 

 

鏡を見ながら思った。

先日生活雑貨を取り扱う店で口紅を買った。

私のパーソナルカラーに合わせた色を選んだはずだった。

 

 

自分に合ったカラーを使えばもっと明るくなって、その姿を見て「素敵!」となるはずだった。

実際つけて鏡を見ると、なぜかテンションが上がらない。

 

 

2千円以下のメイクアイテムなので、百貨店で買うような値段が高い化粧品に比べれば安いものだ。

しかし思ったよりもウキウキした気持ちにならず、せっかく買ったのにどうしようかという気持ちも出てきて気分が沈んだ。

 

 

10代20代の頃からテクニックはともかく、美容雑誌は定期的に買うほどにコスメは好きだった。

複数の雑誌を参考に、コスメを買っていた。

 

 

ところが2年ほど前、ピンクの口紅をつけて恐ろしいほど顔がくすんだ時があった。

仕事するときにも使いやすい色を選んでいたのだが、たまに「体調大丈夫?」と心配されたこともあった。

 

 

もしかしてこれが原因?

その時初めて気づいたのである。

 

 

そこで早速私はパーソナルカラーをネットで調べてみた。

パーソナルカラーは大きく分けて2つに分けられる。

黄味を含んだ肌ならイエローベース、青みを含んだ肌ならブルーベース。

女性のなかではイエベ、ブルべと略されることも多い。

 

 

さらに、その人の肌や髪色、唇、瞳の色などを総合的に判断し、細かく分けていくとイエべは春・秋、ブルべは夏・冬といった特徴に分けられる。

 

 

判断すると、私は「イエベ・春」だった。

調べてみると私が当時使っていたそのピンクの口紅は、ブルベの人が似合うといわれる色だった。

 

 

なるほど、合うわけがない。

 

 

ここで納得がいき、私は今度コスメを買うときは絶対パーソナルカラーで選ぶのだ、と決意した。

そして選んだ結果が冒頭の「肌の色に合わせて買ったはずなのに、なんか違う」事件である。

 

 

「パーソナルカラーをベースに選んだ口紅をつけたけど、なんだか違和感があって。

どう思う?」

問題のリップをつけていき、母に会った時に聞いてみた。

 

 

母は若いころからコスメ情報に詳しい。

百貨店でコスメを買う時も、商品をよく調べてから行き、店員の方と熱心に相談しながら購入するので、知識はその度に更新される。

 

 

また、自身でもよく研究しているため、色の選び方やテクニックも詳しい。

以前母が働いていたところでは、別の売り場の人や友達からも「それどこで買ったの? 何つけてるの? どうやって使うの?」と質問されることが多かったらしい。

そんな母になら原因が分かるのではないかと思ったのだ。

 

 

「……それ、馴染みすぎかも? もっと挑戦してもいいんじゃない?」

唇を見て顔を見つめ、私にそう言った。

 

 

え?! 選んだ色が馴染みすぎる!?

 

 

リップはベージュの色味が強いピンクだった。

私は丸顔もあってか子どもっぽくみられること多く、大人っぽいベージュを加えることでバランスが取れるのではないかと思っていた。

 

特にこの色が好きだからというわけでもなく、なりたい雰囲気に自分が合わせ、その上で「イエベにおすすめ!」と書かれていたのでこの色を選んだのである。

 

 

しかしそのベージュの色は私の顔の色に同化しすぎて、華やかさがなくなってしまったのだ。馴染みすぎると元の顔とさほど差異がないため、そのように見えるのだろう。

 

 

では、どうすればいいのか。

 

 

「結局は自分の好きなものをつければいいのよ、あとは冒険」と言い、母は自身の経験談を2つ教えてくれた。

 

 

一つ目は、以前母がチャートの診断でおすすめされたイエベ系のアイシャドウを使った時。

この時は馴染みすぎていまいちピンとこなかったらしい。

 

 

結局パール感のあるピンクやライラック系の自分が好きなカラーに戻したところ、やっぱりこの色だな、と思ったのだという。

ちなみにその色はパーソナルカラー診断で言うとブルべ系の色なので、本来ならば対極にある。

 

 

しかし、なぜかしっくりくる。他人にも褒められる。

そして、何より自分が好きで使っていて納得のいく色。

 

 

パーソナルカラーに該当しなくても合う色はあるし、自分が好きなら使えばいい、と思ったようだ。

 

 

2つ目は季節限定のメイクコフレを母が買った時のことだ。

 

 

何色かあるリップグロスのなかで、使うのが難しそうなゴールドベージュの色があり、その色だけが使われずにいた。

 

 

とうとうその色で最後の1本となった時、モノは試しだと使用した。すると他のアイテムとの相性がよく、華やかさがあって一番のお気に入りになったという。

 

 

イエベかブルべか、こだわりすぎると本当に自分に合う色に出会えない可能性もある。

そして、つけた時に気分が上がらないのは、やはりどこかで自身がその色に納得できていないのだ。

あくまで参考や選ぶ目安として診断結果を利用するのがいいのかもしれない。

 

 

自分のパーソナルカラーに合うか合わないか、だけではなく「自身が好きか、納得できるか」でアイテムを選んでみる。

メイクで得られる華やかさというのは、アイテムによる色だけではない。

 

 

自分が使っていて楽しいか。

 

 

これもまた彩りを添える一つのエッセンスなのだ。

 

 

そして先入観なしで、まさかと思う色を試してみる冒険心も大事だ。

「自分の好きな色ではないから」と先入観で色を決めてしまうと、これも似合う色を発見出来る機会をなくしてしまう原因にもなる。

 

 

試して色々挑戦して、自分に合ったものを探していき、ときめきのある、自分だけのお気に入りを探していくのだ。

 

 

母から聞いた話をきっかけに、自身に似合うメイク探訪の旅がその時から始まった。

今私はXやインスタで色々な方のメイク動画を楽しみながら見ている。

 

 

お金を掛けて検証し、自分に似合うメイクを完成させていく過程は素晴らしい。

時には「購入失敗しました!」というものでも、それをどう使うかまで研究している。

皆研究熱心だ。

 

使い道に迷ったあの口紅をどう生かすか、動画を見ながら考えている。

 

 

自分だけのメイクを完成させることは、ときめきを探す旅でもあり、修行である。

その道中はすごく長い。だからこそ、楽しみながら進んでいく。

 

 

≪終わり≫

 

 

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