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 2026年の目標達成率を爆上げする、未来にピントを合わせる方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事:中村はるみ(ライティング・ゼミ11月コース)

 

 

「来年の目標は何にしようかな?」

 

12月にしては暖かい午後、真新しい手帳の1ページ目を開く。
未来をデザインする、ワクワクする季節が今年もやってきた。

 

でもじつは、このワクワクだけで目標を決めると、その多くは達成されない。

まだ未来にピントが合っていないからである。

 

去年決めた目標を、今年いくつ達成できただろう?

半分? いや、そのまた半分……?

 

そういえば、今年はけっこう達成できていた。

去年は目標を決める前にオススメ行動をしたからだ。

「10分でできるから」と、コーチングの師匠に教わったオススメ行動だ。

 

そのオススメ行動こそ「振り返り」である。

 

 

目標を決める前に振り返りをする。

今年繰り返しやってきたおかげで、今は断言できる。

 

「振り返りは、未来にピントを合わせる作業だ」と。

 

未来を考える時、多くの人は「まだ起きていないこと」を必死に想像する。

分からないことを想像しても、輪郭のぼやけたイメージしか浮かばない。

知らないこと、分からないことなのだから仕方がない。

 

希望と不安が混ざり合い、結局「なるようになるだろう」という曖昧な結論に落ち着いてしまう。

未来がぼやけて見えるのは、ピントの合わせ方が分からないだけなのだ。

 

例えばダイエットが来年の目標だとする。

12月独特のやる気だけで、“10㎏やせる”という目標を設定するのは危険だ。

 

振り返りのコツは、目標を達成する期間と同じ時間分を見直すことである。

1年で10㎏やせたいと思うなら、この1年間でどれだけの努力と成果があったのかを見つめ直すといい。

 

スイーツを味見しまくり、ヨガも3か月で退会してしまい、一年で1㎏しかやせなかったとする。

そんな人が翌年10㎏やせるという目標を達成するのは、かなり難しい。

 

だが同じ人がダイエットプログラムに参加して、食事改善も運動習慣も努力して身につけ、半年で16㎏やせたとする。

ならば、その翌年は自信を持って10㎏やせると目標を決められるし、達成の可能性も高い。

 

振り返りは、過去を通して未来をぼかさないためのピント合わせだ。

 

私たちは、つい前だけを見ようとする。

「前を向かなければ成長できない」とか、「過去を振り返るのは後ろ向きだ」とか、そんな言葉を信じてきた。

 

カメラを想像してほしい。

被写体にピントを合わせる時、レンズを適当に回すことはない。

手前に寄せたり、奥に引いたりしながら、微調整を繰り返す。

 

その基準になるのは、すでに目の前にある「現実」だ。

レンズを通して何を写真の主役にもってくるのか、どう表現したいかでピントの合わせ方を変えている。

 

人生も同じだ。

望む未来にピントを合わせたいなら、過去というレンズを通して、現在を切り取るのが効果的である。

言い換えると、振り返りは目標にピントを合わせ直す作業と言える。

 

 

だが振り返りが苦手だと感じる人も多い。

 

「何を書けばいいかわからない」

「忙しくて振り返る時間がない」

「振り返ると、できなかったことばかり目について落ち込む」

 

頭の中だけで振り返ろうとすると、記憶は都合よく歪む。

同じ過ちを繰り返したくないという感情が先に立ってしまうからだ。

 

結果として振り返りは自分を責める反省会になり、次第に避けるようになる。

だからこそ、書いて記録するという行為が重要になる。

 

 

書いて記録することは、現像した写真でアルバムを作るのと同じだ。

日々の出来事は、撮ったばかりの写真のようなもの。

 

スマホの中に入ったまま、見返されることもなく埋もれていく。

撮った瞬間は意味があるように思えても、時間が経てば忘れてしまう。

 

しかし写真を現像し、アルバムに並べると、どうだろうか。

一枚一枚は何気ない写真でも、順番に並べて眺めることで、そこに物語が浮かび上がる。

 

楽しかった時期、踏ん張っていた時期、少し疲れていた時期。

撮った時には気づかなかった変化が後から見えてくる。

 

手帳に書く振り返りも、それと同じだ。

出来事や感じたことを、一言でいいから書いておく。

それだけで、経験は「使える素材」になる。

 

さらに重要なのは、全体を客観的に見返すことだ。

 

1日分の記録を見ても、気づけることは少ないかもしれない。

けれど1週間、1か月、半年と並べて眺めてみると、不思議なことが起きる。

 

・自分はどんなときに前に進めているのか

・どんな場面で足が止まりやすいのか

・何に時間を使った時、充実感を覚えているのか

 

これらは頭の中で思い出しながら考えても見えてこない。

自然と浮かび上がってくる、自分の思考と感情の輪郭だ。

 

アルバム全体を眺めた時に初めて分かる感覚に近い。

部分ではなく、全体を見ることでピントが合い始める。

 

こうして振り返りを重ねていくと、未来の見え方が変わる。

未来は根拠のない願望ではなくなる。

過去に達成してきことの延長線上にある、実感を伴った写真のようなイメージになる。

 

「自分は、こういう場面では力を発揮できる」

「このやり方だと続かない」

「ここさえ上手くいけば、物事が進みやすい」

 

これらはすべて過去を丁寧に見た人だけが手にできる視点だ。

そしてこの視点こそが、未来にピントを合わせるための調整リングになる。

 

 

来年2026年を思い浮かべてみてほしい。

もし2026年の自分の姿がぼんやりしているなら、それは想像力が足りないからではない。

まだ過去に十分ピントを合わせていないだけだ。

 

そんな時は2025年の手帳を開き、これまでの記録を眺めてみよう。

手帳がない人は、思い出せる限り行動や感情を書き出してみてほしい。

 

どんな一年だったのか。

何に悩み、何に喜び、何を大切にしてきたのか。

そうやって過去というレンズを通したとき、2026年という自分は突然、輪郭を持ち始める。

 

振り返りを続けている人は、未来を占いのように当てにいかない。

未来を「撮りにいく」。

シャッターを切る前に、光の向きも、構図も、もう分かっているからだ。

 

しかも根拠のない自信でピントを合わせた、暗くて不安な写真ではない。

現実を見ながら、望む未来を切り取った写真だ。

 

2026年の自分が、どんな場所に立っているのか。

どんな表情で、どんな景色を見ているのか。

過去を通して、自信を持ってピントを合わせた未来の一枚なのだ。

 

振り返りは後ろを向く行為ではない。
未来を明るく、ハッキリと写すための準備である。

 

ここまでの話をシンプルにまとめるとこうだ。

・未来にピントを合わせたいなら、まず過去を見る
・頭の中ではなく、手帳に書いて可視化する
・一日ではなく、一定期間をまとめて俯瞰する

たったこれだけで、目標は「願望」から「実行可能な写真」に変わる。

 

 

大好きなスタバのコーヒーを飲みながら、2025年の手帳を見返す。

今年1年の出来事を振り返りながら考える。

「私、本当は何がしたいんだっけ?」

 

古い手帳を閉じて、しばらく考え込む。

そして来年の手帳の1ページ目に、自信を持って大きな字で目標を書く。

 

目標を書いている時、私の頭の中には一枚の写真がある。

大きな笑顔で、少しだけ成長したVサインをしている2026年の私の写真だ。

 

 

<<終わり>>


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