人生はイス取りゲーム
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:金 紘周(25年・年末集中コース)
人生は、イス取りゲームに少し似ているところがあります。音楽が止まった瞬間、空いているイスに座れた人が残る。そんなイメージです。たとえば、会社を思い浮かべてみてください。役職の数は、あらかじめ決まっていますよね。だからこそ、どこか「早く座った者勝ち」のような空気が生まれます。会社を例にしてみましたが、このイス取りゲームは、就職してから始まるわけではありません。実は、生まれた瞬間から、もう始まっているんです。
たぶん多くの人には「こうなりたい」「こんな人生を送りたい」という想いがあると思います。それがはっきり言葉になっていなくても、心のどこかには必ずあるものです。もし、座りたいイスが決まっているなら、次に考えるべきなのは「どうやってそこに近づくか」。これは才能よりも、行動の早さや量が大切になってきます。早く気づいて、行動できる人ほど、遠回りも含めて経験を積めるからです。
ただ、このイス取りゲームが苦手な人も多いと思います。そもそも「自分がどのイスに座りたいのか分からない」まま、時間だけが過ぎていく人もいるでしょう。私たちはこれまで、「みんなと同じであること」を大切にする環境で育ってきました。決められた道を進めば、ある程度のところまでは誰でも行ける。会社員や公務員になるための道は、きれいに整備されています。いわば人生には、安心して乗れる“ベルトコンベア”が用意されているような状態です。そこに乗っていれば、自動で前に進んでくれる。ある程度のことができていれば、生活に困らない人も多いでしょう。正直、楽な選択肢です。
でも、ここで一度だけ考えてみてほしいんです。「このベルトコンベアは、本当に自分が座りたいイスまで連れて行ってくれるのか?」と。何も考えずに乗り続けていると、気づいたときには年齢を重ねています。生活はできている。大きな不満があるわけでもない。それでも、ふとした瞬間にこんな気持ちが顔を出します。
「本当にこのままでいいのかな?」
「もし違う選択をしていたら、どうなっていたんだろう?」
失敗したわけじゃない。でも、どこか納得しきれない。そんな違和感を抱えたまま、大人になっていく人は少なくありません。同じベルトコンベアには、たくさんの人が乗っています。その先で待っているのは、激しい競争です。しかも、ベルトコンベアの先にあるイスが本当に座りたいものかどうかも分からないままです。どうせ競争をするなら、自分が「ここに座りたい」と思えるイスを目指した方が、納得できる人生になると思いませんか。
ここで見落とされがちなのは、早く座ることよりも、自分が座りたいイスを見つけることの方が、実はずっと大切だということです。最初からイスが見つかっている人は、ほとんどいません。まだ分からなくて当然です。大切なのは、探そうとすること。ベルトコンベアに乗ったままでは、景色はほとんど変わりません。一度降りて、自分の足で歩いてみる必要があります。すぐにイスは見つからないかもしれません。遠回りしてしまうこともあるでしょう。でも、自分で歩いた経験は、すべて力になります。イスを見つけたときに「座れる自分」をつくってくれます。音楽を楽しんでいるように、成長の道のりも楽しんでみてください。
そして、そのときの道しるべになるのが“感情”です。
「これをしているとなんだか気楽な気がする」
「これはなんだか息苦しいな」
そんな小さな感覚で十分です。この小さな感情に気づけるようになってくると、なんとなく傾向が見えてきます。その傾向がわかれば、自分のイスがある方向が徐々に定まってくるのです。中には、感情が分からなくなっている人もいるかもしれません。それは周りに合わせすぎて、自分の気持ちを後回しにしてきた結果です。でも、それはおかしなことではありません。自分のことを後回しにしてきたことに気づけたことが大切なんです。あとは自分の心に耳を傾けるだけです。最初は心の声は聞こえづらいかもしれません。でも聞き続けているうちに、感情は少しずつ取り戻せるものなのです。
すぐに完璧な答えを出す必要はありません。感じた方向に、とりあえず一歩踏み出してみる。それだけでいいんです。これを積み重ねていくことができれば、気づいたときには、あなたはもう自分のイスに座るための力をちゃんと身につけています。人生は、誰かに選ばされるものではありません。自分で選び、近づいていくものです。あなた自身の足で、「ここがいい」と思えるイスを目指して行ってください。そこにはきっと、納得できるイスが空いた状態で待っているはずです。
≪終わり≫
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