ホロスコープで見つけた「本当の自分」と、その先の歩き方
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:みちこ(25年・年末集中コース)
自分の強みが何か、とにかく知りたかった時期がある。
当時は仕事でスキルが足りない自分に悩むことも多く、どこか現状から逃げ出したいような居心地の悪さを感じていた。
「自分の強みさえわかれば、活かす術も見えてくるはずだ」
そんな切実な思いを抱えていたのだ。
自己分析として、MBTIや転職サイトの適性診断など、思いつくものは手当たりしだい試してみた。どれも納得感がないわけではない。しかし、心の奥底にまで響くような、確かな手応えを得ることはできずにいた。
そんなときにYouTube広告で目に飛び込んできたのが「西洋占星術で自分を知る」という言葉だった。動画の中で語られていたのは、ホロスコープは人生の設計図であるということ。そこには個人の強みも役割も、すべてが書き込まれているのだという。
「本当に?」
3月下旬生まれだから、牡羊座。この程度の知識しかなかった私は、疑い半分で自分のホロスコープを読み解き始めた。
そこで知ったのは、一般的に知られている誕生日の星座は「太陽星座」と呼ばれ、自分を構成する要素のほんの一部に過ぎないという事実だ。私たちは太陽だけでなく、月、水星、金星、火星……と、一人ひとりが10個もの天体の配置を持って生まれてくるのである。
たとえば、太陽は「人生の方向性や本質」を、月は「無意識の内面」を、火星は「情熱や行動のスイッチ」を表すという。これらをバラバラのピースとしてではなく、ひとつの構造として組み合わせて考えてみたとき、目の前の霧が晴れるような感覚があった。自分という人間の中に、これほどまでに豊かな多面性があるのかと、深く腑に落ちたのである。
私は好奇心が旺盛で、突発的に行動することが多い。それは太陽星座である牡羊座の特徴そのものだが、一方で、自信がなく、細部が気になって立ち止まってしまう自分もいた。そして、猪突猛進するよりは、一つの物事を深く掘り下げる方を好む一面もある。こうした牡羊座のイメージに当てはまらない自分を、ずっと不思議に思っていたのだ。
しかし、紐解いていけば納得のいく理由があった。細部が気になるのは月星座が魚座であることに起因し、深掘りを好むのは火星・土星・冥王星が蠍座に位置していたからではないか。そんな仮説を立てられるようになった。天体が滞在する「ハウス」を読むことで、どんな場面で力を発揮しやすいかという指針も見えてきた。読み進めるほどに、「本当だ、私のことが書いてある」と、疑惑は確信に変わっていった。
だが、ある程度読み解けるようになったとき、もう一つの疑問が湧いてきた。
「それで、どうすれば?」
自分の強みとなる要素を知ることができても、どう使いこなせばいいかがわからない。私は、立ち止まってしまった。強み探しの“ふりだし”に戻ってしまったようだった。
自分という「車のスペック」も、動かすための「燃料の種類」もだいたい理解した。出発の準備は整っているはずなのに、肝心の操作方法がわからなかったのだ。
そこで、私は改めて自分の中の星たちを眺めてみた。
私の「月」は、とにかく準備をすることが大好きという特徴を持っていた。石橋を叩いて渡るような入念な準備をしている時間にこそ、何よりの安心を覚えるタイプなのだ。対して、人生の目指す方向を示す「太陽」は、牡羊座らしく「もう準備万端だから、どんどん行動して!」と、ガンガンにアクセルを踏み込んでくる。つまり、私は自分という車の中で、無意識にアクセルとブレーキを同時に踏み続けていたのだ。その矛盾こそが、私を立ち止まらせていた正体だったのだと、ようやく腑に落ちたのである。
以来、私は停滞を感じるたびに、自分自身へこう声をかけるようになった。
「準備はもう、十分に整っているんじゃない?」
そう問いかけることで、安心を求めるあまり「準備」という名のブレーキをかけすぎ、肝心の行動ができなくなっている自分に気づけるようになっていったのだ。
ホロスコープを読み解くことは、ゴールではない。それは自分という素材の扱い方を知り、納得感を持ってハンドルを握るための知恵である。どれほど精緻な図面があっても、実際に手を動かして家を建てなければ、雨風をしのぐことはできない。車について詳しくなっても、路上に出なければ目的地にたどり着くことはできないのと同じだ。
結局のところ、最後は自分自身の足で一歩を踏み出し、泥臭く「行動」し続けることでしか人生は形作られない。これからも、星を頼りに私の旅は続いていく。
≪終わり≫
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