高校野球を観に行こう！
＊この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事：金 紘周（25年・年末集中コース）
「スポーツ観戦をしてみたいんだけど、オススメってある？」
もしそう聞かれたら、私は迷わず高校野球をオススメします。なぜなら、高校野球には人の心を自然と引き込む魅力があるからです。とはいえ、正直に言うと、スポーツ観戦にあまり興味がない人にとっては、「ちゃんと楽しめなかったらどうしよう」「盛り上がれない自分って変なのかな」そんな不安を感じることもあると思います。では、みなさんは「高校野球」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか？ 坊主頭、根性論、青春、暑そう……。きっと、さまざまなイメージが浮かぶでしょう。もちろん、どれも間違いではありません。そのうえで、なぜ私が高校野球をオススメしたいのか、その理由をお伝えします。
そもそも、スポーツ観戦をするうえでハードルになるものはいくつかあります。特に大きいのは、次の2つではないでしょうか。
① ルールや知識が必要そう
② 時間が長そう
まず「①ルールや知識が必要そう」という不安についてです。「今のは何がすごかったの？」「点数が入ったタイミングがわからない」そんなふうにわからないまま見ていると、本当に楽しめているのか不安になりますよね。でも、大丈夫です。高校野球を楽しむのに、細かいルールや知識は必要ありません。「なんだか盛り上がっているな」「よくわからないけど、一生懸命なのは伝わる」それくらいの感覚で、充分です。高校野球では、一つひとつのプレーに対して球場全体から歓声や拍手が起こります。それは、選手たちが全力でプレーしているからです。たとえば、不器用だけれど一生懸命頑張っている人と、手を抜きながら器用にこなしている人がいたら、あなたはどちらを応援したくなるでしょうか。恐らく前者だという人が多いのではないでしょうか。仕事や日常生活でも、必死に向き合っている人を見ると、思わず心を動かされることがありますよね。高校野球の会場には、そんな「頑張っている人を純粋に応援したい」という気持ちを持った人が集まっています。だからこそ、会場全体に一体感が生まれるのです。まずは、その雰囲気を感じるだけで大丈夫です。
次に「②時間が長そう」という不安についてです。野球は終了時間が決まっていないため、特にハードルを感じやすいかもしれません。ですが、実は高校野球の平均試合時間は2時間前後と言われています。映画1本を見るのと、だいたい同じくらいの時間です。プロ野球と比べても試合の展開が早く、個人的には「気づいたら終盤だった」と感じることも少なくありません。
高校野球に多くの人が惹きつけられる理由として、よく「ドラマがある」ということが挙げられます。高校野球は、負けたら終わりの一発勝負です。たった一球が、試合の結果を大きく左右することも珍しくありません。だからこそ、選手たちは一球一球に全力で向き合います。エラーをしてしまい、うつむく選手。そこに、そっと声をかけに行く仲間。そんなワンシーンに、胸を掴まれることがあります。私たちが心を動かされるのは、過去の自分と重ね合わせてしまうからかもしれません。みなさんも、何かを一生懸命頑張った経験はありませんか？うまくいったこともあれば、悔しい思いをしたこともあるでしょう。表に立っていた人もいれば、裏方として支えていた人もいると思います。高校野球でも、選手一人ひとりに役割があります。その姿に、かつての自分を重ねているからこそ、気づけば感情移入してしまう。これが高校野球の魅力の一つです。
とはいえ、せっかく見るなら、少しでも楽しみたいですよね。そこで、高校野球を楽しむための注目ポイントを2つだけお伝えします。1つ目は、お気に入りの選手を一人決めてみることです。名前が気になった、なんとなく雰囲気が好きだな、こんな感じで構いません。その選手の表情や振る舞いに注目してみてください。「喜びを大きく表現する人だな」「淡々と切り替えるタイプなんだな」そんな気づきが、自然と楽しさにつながります。
2つ目は、客席の雰囲気に注目することです。ブラスバンドの音、応援の声、そしてスタンド全体の空気。プレーごとに歓声が湧き起こる球場全体の一体感は、テレビ越しでも充分に伝わってきます。
ここまで書いてきましたが、高校野球を見るときに必要なものは、たった一つです。それは「楽しもうとする気持ち」です。感じ方は人それぞれで構いません。心に残る場面も、人によって違うでしょう。もし少しでも興味が湧いたら、開催されているときに、ぜひテレビをつけてみてください。本気で見る必要はありません。流し見でも大丈夫です。もしかしたら、観ているうちに、あなたの心に残る何かを見つけられるかもしれません。
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