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郵便局にまつわるエトセトラ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事:西村友成(25年・年末集中コース)

 

最近、郵便局へ行きましたか? 私の場合、普段ポストかATMにしか用事がないんですが、今日は窓口へ行きました。1月5日と遅まきながら年賀状を買うためです。

 建物の中に足を踏み入れるや否や、何だか賑わってるんです。人じゃないですよ、売り物で。レトルトカレーやら防災スリッパなんか陳列してあって。壁を見ると特選グルメのパンフレットがドンと並べてある。ちょっぴりカオスな雰囲気を感じます。

「どうゆう基準でセレクトしたのだろう?」「どんな人が買ってくんだろう?」「どのタイミングで購入に至るのだろう?」と次々に疑問が湧いてきます。

「切手買いに来たらなんだか小腹が空いてきたな。よし、カレーも貰っとこ」とか、

「簡易保険見直してたら防災対策も見直さないといけない気がしてきた。あ、ちょうどいいところにスリッパが!」とか、「親戚に毎年取れたミカン送るだけじゃ芸がないから、今年は特選グルメでも喰らわしてやれ」なんて人いてたら興奮しますね。職員さんは鼻血出して喜ぶでしょう。ただ、「本当に買う人いるだろうか」と心配になってくるのです。

目下、郵便局は大改革が進められているようで。目指すのは「町の便利屋さん」といったあたりかと推測します。

ドラッグストアが成功例ですよね。いまや薬を買うより食品や日用品目当てで行く機会が多くなりました。郵便局もそのうち育毛剤やらペットの臭い消し、第3のビールなんてもので埋め尽くされる日が来るかもしれません。

 郵便局、大変ですもんね。経営が。この数年、「年賀状じまい」の波が止まりませんもの。新年のご挨拶、ラインで済ませちゃう人が結構いて。リアルな年賀状、私は今年2枚しか受け取ってません。

事前に「年賀状じまいしました」って連絡くれる人もいれば、しれっと止めちゃう人もいますね。ちなみに私は後者でして……。そりゃこないだろ、って話です。

 いつも年賀状困ってたんですよ。年に1回のこととはいえ、改めて言うこと特にないんです。でもなんか一言書かないと、あまりにそっけないじゃないですか。その一言を考えるのにどれだけ時間を割いたことか。でもどうです。やめたらなんと楽なこと! 書くのはもちろんですけど、貰ったやつも手間だったんです。

「お年玉くじ」って言うのかな。まあ当たらない。せいぜい切手シート。でもチェックしないと損した気になる。ハズれてるとわかってて番号確認するの、やるせなかったんです。さらに問題はそのあと。とくに家族写真がのってるやつ。捨てるには忍びないし、とっておいても見返すことない。輪ゴムでまとめて引き出しに突っ込んでおくのが通例でした。

 会ったことない子どもだけがクローズアップされて、成長を見届けないといけないパターンも結構あって。「子どもの意見は特に聞いてないんだろうな」と思ってました。私なら「やめてくれ」って、絶対言います。知らない人に自分の写真送りつけるの。知っててもヤだけど。

 受け取った年賀状、さすがに2枚だと寂しい気もします。でも楽さが勝っちゃいますね。今後は友人から直接届く郵便物は喪中の知らせくらいのもんでしょう……。やはり寂しい。

 

そんなこんなを思いつつ、2枚のお返しをすぐに書いて、投函すべく再び郵便局へ向かいました。すると60前後のおっちゃんが、ポストに手を入れ首をかしげてるんです。おっちゃんは私の存在に気づくや「これ、どうやって入れるんや?」と尋ねてきました。私が「押し込んだらいいですよ」と言うと、ハガキを突っ込みました。つづけて私も投函すると、おっちゃんは何だか気まずそうに会釈して去っていきました。

 私は声にこそ出していませんが、思ったことがつい顔に出るクセがあり、

――この歳なるまでポストつかったこと、なかったのか。

と、いう心の声を読み取られてしまったのかも知れません。ならばちょっぴり申し訳ないことしたな、と思うのです。あまりに短絡的な発想だっと反省します。冷静になるとおっちゃんにはいろんな可能性が考えられます。

たとえば雨よけカバーみたいなのが口に付いたポストに出くわしたのが初めてだっただけかもしれないし。

これまでの人生は奥さんや部下がいつも投函してくれていて、任せきりにしており、芸能人のように「電車乗らないから切符の買い方わからない」みたいな事態に陥ったのかも知れないし。

思いを込めた恋文を投函しに来たはいいが、いざ出そうとすると勇気が出ずためらっているところに私がやってきたので、背中を押してもらうきっかけとして「どうやって入れるんや?」とたずねた、のかも知れないし。

いずれにせよおっちゃんの背景を考えると、投函の仕方を尋ねることは、至極真っ当な行為だと思い直したのでした。

おっちゃんに私の今の気持ちを伝えるなら、「なんらかの事情があったのだろうとお察しします。でも次からはひとりで大丈夫。自信をもって投函してください」と、エールを送りたいと思います。そして恋文のパターンであることを切に願っています。

 

≪終わり≫

 

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