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「ありがとう」よりも伝えたかったコトバ〜1183キロ離れた母へ〜


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事: 加藤瞳 (ライティング・ゼミ25年11月開講コース)

 

あなたは、お母さんが近くにいますか? それとも遠く離れていますか?

お母さんに素直な気持ちを伝えていますか?

素直な気持ちを体で表していますか?

 

私には、自宅から1183キロ離れた北海道の実家に89歳の父と84歳の母がいます。私が17年前に実家を離れてから父と母は二人で暮らしています。私は今回の年末年始で実家に帰省した際、ずっと心に思っていたけれど言えなかったコトバを、勇気を出して母に伝えてきました。

 

この記事では、私がなぜ母に伝えようと思ったのか、伝えた時のこと、伝えてからの自分の変化についてお伝えします。

 

記事を読むことで、あなたがあなたのお母さんや大切な人に、「思いを伝えよう!」と、一歩を踏み出せるはず。

 

ぜひ、最後まで読んでみてくださいね!

 

いつもは夫と4人の子ども達を連れて行く北海道帰省ですが、今回は、夫も私も「自分の親と一緒に過ごす年末年始」を選択。愛知に実家のある夫は愛知で、4人の子ども達は私の実家のある北海道で過ごすことにしました。

 

今回の帰省で、私は絶対に言おうと決めていたあるコトバがありました。なぜ、そのコトバを言おうと思ったのか。それは、半年前の夏の帰省時に遡ります。

 

夏に帰省した時、私は中学生時代の部活の仲間と会いました。集まった仲間のうち、1人の子AさんとAさんのお母さんとのエピソードを聞いた時に、「私も母に伝えよう!」と思ったのです。20年以上ぶりに再会したAさんは、中学生時代のクールなイメージとは違い、心が穏やかで幸せそうな感じがしました。今を楽しく生きているのが、キラキラした目や発言からとてもよく伝わったのです。

 

Aさんは精神的に不安定な時期もあったようですが、心の学びと実践を深めていったことで、自分の気持ちを素直に伝えられるようになったり、嫌なことを我慢して続けずに楽しいことを選んで生きられるようになったりしたということでした。

 

私を含めAさん以外の仲間たちは、みんな日常に不満がありました。みんなが口を揃えて「Aさんが羨ましい。私もAさんみたいに楽しく生きたい」というほど、彼女の考え方や暮らし方は参考になるものばかりだったのです。

 

話が盛り上がる中、それぞれの親の話になりました。私たちの親は、60代後半から80代。親の病気や将来の介護の話などが気になる世代です。お互いの親の近況を順番に話していきました。

 

Aさんの話す番が来た時、彼女はこういったのです。

「私の親は心が病んで病院にいるんだ」

私は、次にどんな話になるのか、ドキドキしました。でも、彼女からは意外な言葉が続いたのです。

 

「お母さん、子どもに還ったみたいでめっちゃかわいいよ」

「私、お母さんに会いに行くたびに『お母さん、大好きだよ』って言って、抱きしめてあげるんだ。お母さん、とっても嬉しい顔をするんだ。かわいいよ」

 

と。

 

え?

私、お母さんに「大好き」っていつ言ったっけ?

いや、いつから「大好き」って言わなくなったんだろう?

抱きしめるって? 大きくなってから親にするの?

私、Aさんみたくできる?

 

頭の中がぐるぐるしました。

 

Aさんは続けます。

「明日だって、親がどうなるかだってわからないんだよ。もちろん、私たちだって、明日元気かなんてわからないんだよ」

「もし、親に言わないでお別れしたら、後悔するよ、みんな」

「私からの宿題。親に『大好きだよ』って言って、ハグしておいで」

 

Aさんからの宿題を、私は夏の帰省で思うようにできませんでした。

愛知に帰る時は、実家を掃除したり子ども達の荷物の整理をしたりでバタバタしており、気づいたら出発時間に。タクシーを呼んで待っている間に伝えようと思っても、子ども達が見ていると気恥ずかしくてできなかったんです。

 

「ありがとう」と言って、軽く母をギュッとすることしかできませんでした。

 

本当はもっとゆっくりギューっとしたかった。

何より「大好き」って言いたかったんです。

 

母はなかなか私の気持ちをわかってくれる人ではありません。だから、「大好き」と思えない日々が長かったのだと思います。でも、自分が母と同じ4人の子のママになり母の気持ちがわかることが増えると、母との会話で「心が通じ合えている」ということが増え、母の見えない愛情がわかるようになりました。

 

80歳を過ぎた頃から、身体の動きが悪くなってきた母。綺麗好きだったのに、掃除が行き届かなくなっていました。そのことに気づいた私は、帰省の時にできる範囲で母の代わりに汚れの溜まっている箇所を掃除していました。その度に「ありがとう」と言う母。「ありがとう」の回数は、年々増えていっていました。

 

「母はこんなにも素直に『ありがとう』と言ってくれるのに、子どもの私はなぜ素直に気持ちを伝えられないんだろう。そんなんじゃダメだ! 後悔する!」

 

そう思った私は、今回の帰省こそはと、意を決します。

前回と同じように家の掃除に荷造りにバタバタしましたし、タクシーが来るまでの10分くらいの時間しかチャンスはありませんでしたが……。

 

伝えました。

 

「お母さん、ありがとう」

「大好きなお母さん。またね」

「元気でね」

 

ギュッと、抱きしめました。

 

泣いちゃいそうだったから、自分が思うほど長くはギューっとできなかったけれど、

「大好き」って言いました。

 

母に聞こえていたかはわからないけど、言えました。

子ども達がいつも私にしてくれていた時のように、私が母に「大好き」って。

 

100点満点ではないけど、口で言えて本当によかったです。

ライターの私は、つい「後から文章にして送る」という逃げ道を選んでしまいがちです。

 

もちろん文章にして伝えることも大切です。

でも、短くてもいいから「音に乗せて伝える」ことは、とてもとても大切なのです。

 

言葉を発することのできない幼い子が、一生懸命音にして伝え、全身でギューっとしてくれる時、親はこの上なく幸せになります。

 

それは、親がどんなに歳をとっても、です。

 

もし、あなたがお母さん(もちろんお父さんでも、他の大切な人でも)に、伝えたい気持ちを伝えられていないのなら。

 

どうか、私のように勇気を出して言ってほしいです。

自分も相手も最高にハッピーになれます。保証します。

 

あなたの幼い頃にぽっかりあいていた穴が、幸せの土で埋められることでしょう。

 

ぜひ、やってみてくださいね。

 

1183キロ離れた母へ。

 

「大好きだよ。ありがとう。またね」

 

《終わり》

 

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