仕事を辞めたら自由時間がなくなった
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:中村はるみ (ライティング・ゼミ25年11月開講コース)
仕事を辞めたら自由時間がなくなった
記事:中村はるみ(ライティング・ゼミ11月コース)
「仕事さえなければ参加できるのに……」
今まで何度ため息をついて諦めてきただろうか。
仕事さえなければ、子どもさえ成長すれば、住宅ローンさえなければ、“自由”を手に入れられる。
やりたいことを、いつでも自由にできる人生が待っている。
そう信じてきました。
ところが去年の夏に仕事を辞めたら、逆に自由時間がなくなってしまったのです。
振り返ってみると、ソムリエ試験を受けるために巨大なワインセラーを購入したようなものでした。
いつでも数千本のワインを飲み放題という自由な状態は、じつは初心者には非常に厳しい勉強環境です。
自由とは世界で一番厳しいルールであることを痛感しました。
時間だけでなく、選択肢も膨大にある状態です。
何時間かけてもいい、どれを選んでもいいと言われると、逆に何も選べなくなってしまったのです。
自由度が高いほど、的確に選ぶ力が必要でした。
昔読んだ、バイクレーサーを目指す少年のマンガを思い出しました。
主人公のタカは才能を認められ、フランスの名門レーサー養成校へ留学します。
全寮制の学校なのですが、寮には規則がまったくありません。
「タカ、門限も規則もないなんて楽勝な学校だな!」
「本当にそう思うかい? これほど厳しい規則があるなんて、さすが一流校だ」
訳が分からないという顔をしている同級生に、タカは続けて説明します。
「最難関の課題をこなすためには、遊びの誘惑を断ち切らないといけない。自由という罠にはまって脱落していく一人にならないように気を引き締めないと」
自由を満喫するには、自分をコントロールする力が必要です。
いつでも、何でもしていい状況の中でこそ自分を律する力が必要でした。
今まで何年も働いてきたことを言い訳に、退職後は毎日ダラダラ過ごしていました。
やりたかったことをいつでも出来るという安心感から、すべてのことを先延ばしにしてしまったのです。
「明日でいいや」が心の口癖になっていました。
気づけばスマホを手に取って特に用事もないのにSNSを眺め、いつの間にか夕方になっている。
忙しかった頃なら「もったいない」と思っていた時間を、自由だからという理由で平気で浪費していました。
ダラダラ過ごしていたある日、近所の高校生を見た時に自分を変えようと思いました。
彼らは県内でもトップを争う高い偏差値の学校に通っています。
さぞかし厳しい校則で管理されているのかと思ったら逆でした。
制服はなくて私服、髪の色も制限はなく、通学カバンなどの持ち物も私物でOKです。
聞けばバイトも自由にしていいそうです。
高校生なんて羽目を外す年頃と思い込んでいました。
でも50代の私から見ても礼儀正しく、見た目も普通の子が多い。
しかも東大合格率も毎年だんとつに高くて驚きます。
自律している子が多いからでしょう。
自由を満喫するヒントは2つあると気づきました。
一つ目は選ぶ力をつけることです。
ソムリエ試験ならテキストを勉強して、代表的な味のワインから試飲していきます。
知識をつけることが選ぶ力になります。
私も本当にやりたいことを見つける知識や、優先順位をつける方法を身につけて選ぶ力を養いました。
1日は24時間しかないし、1年は365日しかない。
無限にあるように感じていた自由な時間は、意外と短いものです。
大切に使っていかなければ。
二つ目は自分を律する力を発揮することです。
この力を使うコツは、「行動のきっかけ」作りでした。
目標の一つがTOEICで800点以上を取ることです。
自分でやると決めたことですが、どうにも勉強を楽しめません。
手帳に書いた勉強開始時間が近くなると、やらなくてもいいはずの部屋の掃除がしたくなります。
そこで行動のきっかけとして、コーヒーを淹れることにしました。
大好きなスタバのカプセルをコーヒーマシンにセットします。
お気に入りのイラストレーターのマグカップに淹れたコーヒーを持って2階の勉強部屋へ向かうと、すんなり勉強を開始できるようになりました。
時間も選択肢も無限にある状況こそ、自分で基準や順序を決めなければ何一つ選べない。
だから“自由”は一番厳しいルールとなります。
退職して、24時間×365日もの自由な時間を手に入れました。
でも同時に、「その自由な時間をどう使うか」という厳しい選択と判断も付いてきました。
そして誘惑に打ち勝って行動し続ける強い意志も必要だと分かりました。
それが自由を自由のまま楽しむための条件なのだと思います。
自由とは何でもできることではなく、自分で選び続けなければならない状態です。
だからこそ私は今日も自由を言い訳にしない練習をしています。
そろそろコーヒーを淹れる時間になりました。
自由を楽しむために、自分で自分に小さなルールを課しながら。
<終わり>
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