第4回 《週間READING LIFE「けっこん、します」》 記事:藤原 宏輝(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
2025/12/1/公開
記事:藤原 宏輝(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
結婚で得られるものと、失うもの。
第3回では、年代別で40代までをお伝えしました。
今回は50代、60代、それ以上の世代についてです。
前回もお伝えしたように、
・時代や年齢で、この配分がガラッと変わるという事が大前提である事をご理解下さい。
・結婚で「得る・失う」ものは 愛そのものではなく、選択肢と自由の配分 という事を念頭に置いて下さい。
・個人差は、ございます。
これらをよくご理解頂いた上で、読み進めて頂きたいと思います。
ブライダルの現場を25年以上見てきた私が、今、伝えたい事は……。
昭和や平成とは大きく違うのが、令和。
‘プロトタイプ’という言葉を聞いた事があるでしょうか?
それは、何か?
完成品ではない試作品のこと。
プロダクト開発やIT関連では、
まず作る → 使ってみる → ズレを見つける → 修正する
この繰り返しを何度もして初めて完成し使えるものになっていく。
最初から、完璧な設計図は存在しない。という事です。
【令和の結婚とは】
春の桜の下で結婚を決めた、お2人。
ご新郎様62歳、ご新婦様59歳。
ある程度の年齢になり、その理由は劇的ではなかった。
「好きだから、ずっと一緒にいたいから……。
だから、結婚する」
というより、
「2人で一緒にいると、自分が普通でいられるから」
ごく自然に気付いたら、
一緒に過ごす時間が長くなっていった。
お2人とも初婚。
結婚式は挙げず、海が美しい宮古島での‘フォト婚’を選んだ。
「せっかくだから写真だけは、記念に残そう」
特に周りに派手な報告もせず、必要な人にだけ伝えた。
新婚生活も特別ではない。
朝のコーヒーを、彼が2人分入れる。
テレビのチャンネルで、少し揉めたりはする、
食事の味付けに「あら?」と首を傾げるような事があっても、
文句なんて、決して言わない。
そして、夜になると……。
お互いにそれぞれの時間を過ごす。
そんな隣の部屋には、人の気配がある。
彼がぽつりと言った。
「結婚って、もっと色んな事があったり、大変なものだと思ってた」
彼女は笑いながら、
「そうねー。意外と普通なのね」
若い頃に思い描いた、大恋愛の結婚ではない。
夢や未来を語る、そんな結婚でもない。
でも、確かにそこにある。
50代・60代の初婚は、人生をやり直すためではなく、
これまで仕事に邁進し、1人で踏ん張って頑張ってきた。
誰かが、そばにいるなんて、考えもしなかった。
でも今は、隣にいる。
お2人の結婚。
それは人生の残りの時間を、今より少し豊かにするための選択。
決して、遅かったわけではない。
お2人にとって、
ちょうどよいタイミングが、今だっただけ。
お互いを尊重し、お互いを大事に思う。
今だからこその幸せ。
こうして静かな夜に、同じ家に2つの灯りがともる。
1日の終わりに必ず、きちんと向き合う2人の時間を何よりも大切に過ごす。
「全部を背負うことはできないけど、隣にはいるよ」
その距離が、2人にはちょうどいい。
それは、大人の結婚ならでは、なのかもしれない。
① 年代別に見る‘結婚で得るもの/失うもの’とは?
50代の結婚は、共同体より共存。
得られるものは、孤独の緩和、感情の居場所、孤独が少し薄まる、本音を置ける居場所、人生を覚えてくれている人
失うものは、完全な自立感、自分だけのリズム、身軽さ、自由。
恋愛の延長ではなく、結婚観の変遷を“身体で知っている世代”だ。
結婚は、若さの代替でも老後の保険でもない。
60代の結婚は、人生の再設計(Second Design)です。
まだまだ動けるし判断力もある。
しかし、時間の有限性を肌で理解し始める年代。
ここを軽視すると、感情はあっても破綻します。
得られるものは、健康と生活の相互ケア、感情の安定(孤独のノイズが減る)、人生を語り合える知的パートナー、老後に向けた現実的な協力関係(住まい・お金・介護の準備)
失うものは、完全な自己裁量、長年築いた生活習慣、「一人で決める」という快感
70代の結婚は、共存と尊厳(Dignity Partnership)
将来設計というより、今の質をどう守るか? のフェーズ。
得られるものは、日常の安心感、身体的・精神的な見守りや人生の証人がそばにいるという安心感。そして、「最期まで一人ではない」という事実。
失うものは、身軽さや完全な自由時間と、これまでの一人で完結する生活スタイル
結婚生活を置き換えると、
家事分担やお金の管理、2人の距離感、将来設計など、定期的に確認してアップデートする。
つまり、結婚は契約ではなく、更新される利用規約。
まして、結婚して20年、30年、40年、50年と、同じ仕様で走れる結婚生活なんて、現実的じゃないから、話し合って調整することが大切。
条件より対話、理想よりも現実。
そして、調整能力を持つご夫婦ほど、静かに、長く、ちゃんとうまくいっている。
今の時代は、結婚=入籍 ということでもなく、個人個人が結婚の形を選択する。
そんな令和の結婚は“静か”だからこそ、強い。
だから、相手に過度な期待をしないし、自分が過剰な我慢もしない。
それでも必ず、毎日同じ場所に戻る。
「最初に決めたから」に、縛られないし、変わることを失敗と捉えない、変化を楽しむ。
継続可能性の設計し、その愛が永遠に続くために、設計を変え続ける。
結婚はゴールではなく、一緒に改良していく途中のモデル。
感情より構造を、お互いに見るからこそ、壊れにくい。
これは、どの世代にもどの時代にも共通するだろう。
特徴は……。
恋愛のドキドキがある方もいるが、ほとんどのご夫婦が、会話の心地よさや、ただ一緒にいるのが、幸せ。と感じている。
そして、再婚の場合などは、子ども・相続・姓・住居の問題が一気に表面化しやすい。
情熱より信頼、一緒にいて疲れないかが最も重要であり、さらに結婚(入籍)という形にこだわらない選択(事実婚・別居婚)が合理的であると考えている。
結婚とは‘幸せの最大化ではなく、不安の最小化’となるのだろう。
②時代別に見る「結婚の意味の変化」について
昭和・平成・令和と3つの時代を通過した人だけが選べる、最終形態。
・昭和の結婚は、結婚=役割。
世間体と家制度が重要で、我慢と責任で“家庭”を守った。
再婚や子どもがいる場合は、子供の意向が最優先、
相続の問題等では、親族の意向が最優先。
どちらかというと、本人の感情は後回しになりがち。
・平成の結婚は、結婚=すり合わせ。
「愛を証明するための結婚」
価値観の違いに悩み、熟年離婚や再婚、再再婚のブーム。
恋愛感情の復活……。
隣の芝生は青く見える。らしい……。
しかし、制度設計が甘いと、また揉めるので対話を学んだ。
・令和の大人婚は、結婚=共存。
「自分の人生を壊さないための結婚」
無理に混ざらず、違いを尊重し、恋でもなく、依存でもない。
「この人となら、静かに老いていけるか?」を選ぶ決断。
だからこそ必要なのは、会話・尊重・現実設計。
さらに、個人最優先であり、結婚しない自由も含めた選択をする。
入籍する事よりも、契約内容や距離感を重視する。
こうして、年代が上がるほど、
得るものは“安心”から“納得”
失うものは“自由”から“気楽さ”
つまり結婚とは、
何を得たいか? ではなく、
何を手放せるか? の選択。
では令和のシニア婚は、なぜ増えているか?
今の世の中、寿命が長い。
働き方が変わってきた。
価値観が揺れ、世の中に正解が複数ある。
最後に“うまくいっている結婚”の共通項は何か?
昭和・平成の結婚は、完成品が大前提。結婚したら、安定。
夫婦になったら、役割確定。
令和の結婚は、未完成が大前提。
相手の人生を、無理に変えようとはしない。
ただ、壊さないように並ぶ。
次回は、‘恋愛と結婚の違い’について、お話していきます。
❒ライタープロフィール
藤原宏輝(ふじわら こうき)『READING LIFE 編集部 ライターズ俱楽部』
愛知県名古屋市在住、岐阜県出身。ブライダル・プロデュース業に25年携わり、2200組以上の花婿花嫁さんの人生のスタートに関わりました。さらに、大好きな旅行を業務として20年。思い立ったら、世界中どこまでも行く。知らない事は、どんどん知ってみたい。 と、好奇心旺盛で即行動をする。とにかく何があっても、切り替えが早い。
ブライダル業務の経験を活かして、次の世代に何を繋げていけるのか? をいつも模索しています。2024年より天狼院で学び、日々の出来事から書く事に真摯に向き合い、楽しみながら精進しております。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
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