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偏食息子の成長は突然に


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事: 加藤 瞳 (ライティング・ゼミ 11月開講コース)

 

 

 

 

「あーあ、今日も食べなかったな」

「いつになったら好き嫌いがなくなるんだろう」

「1口でも挑戦する気持ちがあればいいのに」

 

これらの言葉は、つい最近まで私が末っ子である小学3年生の息子に抱く気持ちでした。

ゲームが私の味方になってくれるまでは。

 

我が家には4人の子どもがいます。2番目と3番目の子は、あまり好き嫌いがなくいろいろな食材を満遍なく食べる方ですが、長男と末っ子は偏食さんです。

 

偏食さん2人のうち、長男はまだいい方です。保育園と小学校時代は、家では野菜をほとんど食べませんでしたが、学校では絶対に残さなかったそう。人前では頑張るタイプですね。はじめての子だったから、なんとか私の力で野菜を食べられるようにと力を入れたこともありました。

 

ですが、力むほど食べない長男に腹が立つので、ある時から「学校で食べているなら、まぁいっか」と諦めることに。私が手のかかる下の子たちのお世話をしているうちに、気づいたら長男は中学生になり、身体の大きさに比例して、野菜を食べる量も増えてきました。

 

高校生になってからは、良きお友達が栄養の大切さを語ってくれているようで、苦手な味噌汁も意識して飲めるようになったほど。大きな病気もせずに元気に過ごしている長男を見てきて、偏食が減ることに対して長い目で見られるようになっていました。

 

しかし! 神さまは、私の子育てのハードルを上げてくるわけですよ。

4番目の末っ子の偏食度は半端なく高いんです。

 

保育園に通っていた時は、生活態度に厳しい担任の先生にドキドキしながら声をかけ、苦手なおかずを半量にしてもらいなんとか食べ切っていたようです。子育てをするときに、他の兄弟と比較をしないようにしていても、「長男より食べないとは……」と思わずにはいられませんでした。

 

それでも、まだ保育園時代は良かったんです。食べていたから。

 

末っ子は小学校1年生の時から学校に行っていません。つまり、給食を食べる機会がないわけです。そうなると、彼の健康の重要な鍵を握るのは私の料理になりますよね……。保育園に栄養を任せっぱなしで、家では「食べなさい」と言わないできた私が、急にスパルタ食育ママになんてなれませんよぅ。

 

「食べなさい」と言って、毎日怒るのは嫌でした。遠い昔の、辛い記憶が蘇るからです。

 

甥っ子(兄の子)が6歳くらいの頃だったでしょうか。兄家族と回転寿司を食べに行きました。甥っ子が急に食べたものを戻してしまったことがあるんです。

 

当時、兄ははじめての子である甥っ子を厳しく育てていました。食べ物を残すことは許されません。時間がかかっても、最後まで食べさせていたように思います。あの日、甥っ子が何を食べていたのか思い出せませんが、おそらく苦手なものを口にしたのでしょう。でも、「残しちゃいけない。残したら親に思い切り怒られる。怖い。でも、辛い」。身体は正直でした。

 

「やってしまった」

 

両親(甥っ子にとっての祖父母)は彼を庇ってくれましたが、兄は怒っていました。兄は一生懸命彼を育てていたのでしょう。けれど、一連の様子を目の前で見た私は「自分の子には、無理やり食べさせるのはやめよう」と思ったのでした。

 

しかし、我が末っ子の偏食がひどい。

いろいろ声をかけても、食べられるのはハンバーグに入った玉ねぎ、タコライスに入っている時の人参、カレーに入っているじゃがいも、メンチカツに入っているキャベツくらいです。食べられる野菜も、形が大きくなる野菜炒めは食べません。

 

毎日学校へ行かず家にいると、さすがの私も寛大でいられません。昔の兄を見て、厳しすぎない教育を目指していても、無理やり食べさせようとしたことがあります。そうすると、息子は甥っ子と同じように戻すんです。私に怒られないように、こっそり口から出したものをティッシュで包んで捨てていたこともありました。バレてますけどね(笑)。

 

小学1年生が終わり、2年生、3年生と学年が進むたびに、本当にちょっとずつ食べられるものが増えました。とはいえ、2歳児レベルくらいの量の野菜ですが……。

 

末っ子の偏食が改善することに、できるだけ大きな期待をしない。「もう少し、自分から進んで食べてくれる日が来たらいいな」くらいに抑えて。そんな日々を過ごしていました。

 

石の上にも3年。本当に3年でした。

「成長は突然に」です。

 

息子が急に私のスマートフォンを貸してほしいと言ってきました。聞くと、ライブ実況に合わせてゲームを進めたいから、すぐに貸してほしいと。テーブルには、末っ子用に作ってあったホイル焼きが残ったままでした。

 

「ただスマホを貸すだけなのは、なんか嫌だなぁ」

 

そう思った私は、何気にこう口にしていたのです。

「このホイル焼き、全部食べたらいいよ」

 

過去に、このように何かを条件におかずを食べさせたことがありました。私はあまりこの戦法は好きではないので、滅多に使いません。ですが、この時は「なんかいける」って思ったのでしょう。

 

「えー、わかったよ」と、息子。

 

あれ? いままでと反応が違う?

 

ホイル焼きには、末っ子にとって強敵のえのきだけも入っていました。でも、頑張って食べているんです。今までだったら、そのえのきだけは「もういいよ、ティッシュに出して捨てたら」と私に言われ、「ごめんなさい」とゴミ箱行きでした。でも、「口の中からなくならない」と言いながら、ずっともぐもぐしているんです。

 

末っ子は、「残したいけど、残したくない」と言いながら、頑張っていました。

 

そして、数分後……。末っ子が突然言いました。

「あれ? なくなってる」

 

口の中のえのきだけが、知らないうちにお腹に到達したというのです。ゲーム実況の配信を眺めていたら、知らないうちになくなっていたと。

 

彼は、ゲームという自分の相棒に助けられて、自分で苦手を克服することができました!

 

末っ子が自分の力で苦手を克服できた。私はそんな彼の成長を目の前で見られて、本当に嬉しかったです。

 

きっと、彼はこのことをきっかけに、いろいろな困難を自分の力で乗り越えられるはず。

私は、その姿を目の前で見られる日まで、今日もコツコツ彼と向き合います!

 

 

 

 

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