週刊READING LIFE vol.262

「終活」とは、今をより良く生きるためにすること《週刊READING LIFE Vol.262 今こそ読むべき一冊》


*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライティングX」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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2024/5/20/公開
記事丸山ゆり(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部:
 
 
「もう、いい歳になったので、いよいよ家の片づけをしないと、子どもたちに迷惑をかけてしまうと思うので、終活のために来ました」
 
私は、やましたひでこ公認断捨離トレーナーという仕事をしている。
この仕事をするようになって、今年で12年目を迎える。
断捨離トレーナーの仕事は、自宅に伺ってクライアントさんに寄り添って、断捨離をサポートしたり、断捨離の概念を講師となってお伝えしたり、様々な活動がある。
 
そんな中で、なぜ、断捨離に来られたのかを質問すると、かなりの確率でそのような「終活」のために来た、と言われるケースが多い。
クライアントさんが、なかなか片づけられず、ある日突然亡くなってしまったら、子どもたちに後片づけの面倒をかけてしまうというのだ。
そう、多くの方の認識は、「子どもや後に残った人に迷惑をかけないためにするのが終活」となっているようだ。
 
私は、断捨離トレーナーなので、今と未来を変えてゆくお手伝いをしている。
今が整うと、自然と未来も整っていると想像に容易いはずだ。
だから、今の自分のために、どうぞお家の片づけをしてください、そう伝えるのだ。
お家は1分1秒でも早く片づいた方が、そのスッキリとした清々しい空間を長く味わう人生となるのだから。
そんな日常があれば、ある日突然、その人生に幕を閉じなければいけない時がやって来たとしても、後片づけを頼む人にも迷惑なんてかからないはずだ。
なので、終活はまずは自分のために始めることだと思うのだ。
 
それから、親世代の人たちは、子どもたちに何かしらの資産を残してやりたいと思うことが多いようだ。
土地や金銭、それ以外にも何かしら価値のあるモノを少しでも子どもに残したいと思う気持ちが強い。
ただ、私が思うのは、「資産」を残すことよりも、「負債」を残さないことの方が大事だ。
資産を受け取ることは、もちろん有難く、感謝の気持ちでいっぱいになるだろう。
ところが、それと同時に亡くなった親たちが暮らしていた、住居の片づけが必ず残るのだ。
そんな時、家中にモノがいっぱいで、途方に暮れるような状態だったとしたら……。
今では、遺品の片づけをやってくれる業者も増えて来たが、それでも最初の段階でひと通りは貴重品や残したいモノを選び取る必要がある。
そうなると、大量に滞積したモノを一つずつ見てゆくことは至難の作業となる。
しかも、「こんなモノをまだ取ってあったのか」「なんで、こんなにたくさん持っていたんだよ」「えっ、コレって何?」
そんな言葉が思わず漏れてしまうような状況になることも想像に容易い。
すると、その作業の大変さや、情けなく思う気持ちにどんどん疲弊してしまうのだ。
亡くなってしまった人に、もう文句は言えないけれど、思わず口をついて出てしまうようなことになるのだ。
その切なさたるや、相手からの返答がないとさらに情けなさも倍増してゆくのだ。
そんな体力的にも、精神的にも大変な現場であることは間違いないのだ。
 
親が亡くなって、それ相応の「資産」を例え受け取っていたとしても、残された「負債」の量と質を目の当たりにすると、なぜか怒りの方が勝ってしまうようだ。
それが、親が亡くなった後の自分自身の感想となって、後世にまで持ち続けてゆくことになるから辛いものなのだ。
「終わりよければ……」というのは、わかるような気もする。
 
断捨離では、「良い事をする前に、今ある悪い事を取り除きなさい」とお伝えしている。
つまり、「資産」をどれだけ残すかに意識を向ける前に、今ある「負債」を早く片づけることが大事なのだ。
 
そんな時、私がおススメしたいのが、「よりよく生きるための断捨離式エンディングノート」(主婦と生活社 やましたひでこ)だ。
本と言っても、ノート形式で、途中で書き込むことが出来るようになっている。
断捨離の基本の概念も書かれているので、断捨離する際の意識の持ちようだったり、何からやってゆくと良いかだったりが、わかるようになっている。
さらには、なかなか断捨離しにくいアイテムについては、どのように捉え、向き合ってゆけばよいか、視点が変わるようにあらゆる角度からの言葉を綴られている。
人は気づきがなければ、行動には移さない。
さらには、自分に向き合わない限り、自分を変えてゆくことは出来ない。
この「よりよく生きるための断捨離式エンディングノート」は、何歳でも、誰でも、すぐに始められる内容になっている。
 
例えば、先に書いた「終活」というものも、自分が亡くなった後に子どもや残る人たちに迷惑をかけないためにやることから、今をより良く生きるためにすること、という考えを転換したとしたら、今すぐに始めてもいいことになる。
そうなると、「終活」という言葉も、もう少しセンスの良い言葉に書き換えられるかもしれない。
 
不思議なことに、この「よりよく生きるための断捨離式エンディングノート」を読み進めてゆくと、お金に対する考え方や、人間関係に対する気持ちの持ち方までも、変えてゆくことが出来るのだ。
これまで、ずっと自分なりに思い込んで生きたことまでも、ひっくり返してくれるような、住まいだけでなく、気持ちまでも軽くなってゆくようなそんな学びもこの本の中にあるのだ。
 
それらと共に、自分の大切な友人たちの記録、自分が持っている財産の内容、お知らせしなくてはいけないクレジットカード、預金のデータに加えて、今ではパソコンやスマホの暗証番号を記載するところもある。
以前、デジタル遺産の片づけの先生が、テレビで語られていたのを見たことがあるが、昨今、デジタルの遺産というモノもその扱いをしっかりしなくてはいけないと言われていた。
何よりも一番大切なのは、そのパソコンやスマホを開けるための暗証番号だということだった。
それがなければ、中身のチェックも出来ないからだ。
で、それは最終的にはアナログで、紙に書いて伝えましょう、というとてもシンプルなものだった。
なので、この「よりよく生きるための断捨離式エンディングノート」では、それらについても記載するページがあるので何よりも助かる。
 
そして、これも大切なことだが、葬儀はするのかどうか。
するとしたら、どんな形式なのか。
その時、誰に来てもらいたいのか。
最後の最後まで、全部が自分の人生だから、それらに至っても自分で決めてゆこうというものだ。
ここまでも、意図意思を持って生きられると素晴らしいと思うのだ。
それが、このノート形式の本一冊を読んで、手を動かしてゆくとその方向へと進んでゆけるのだから有難いものだ。
 
そして、クライマックス、墓碑銘までも自分で考えるページがある。
墓碑銘とは、すなわちその人自身の生き様や人生を表わす言葉になるはずだ。
それを、生きている今、はっきりと言えるかどうか。
そこは、私も身が引き締まる思いでいっぱいになるだろう。
 
エンディングノートとは、終活の一環で書き、自分が亡くなった後に残る家族のために書くものではなくて、今をいかに生きてゆくか、自分に向き合い、問い直し、そして決めてゆくノートだと思う。
そして、このノートを書き進めながら、断捨離の概念のもと、今の自分を確認し、入れ替えて、さらにより良い人生にしてゆくことが出来るのだ。
 
この「よりよく生きるための断捨離式エンディングノート」を書くことが、もしかしたら、これまでになかったくらい、自分の足で自分の人生を歩みだすスタートとなるようなそんな気がする。
 
 
少しでも早い時期に、「よりよく生きるための断捨離式エンディングノート」を手に入れて、さらに幸せな人生へと入れ替えてゆく人が増えることを願う。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
丸山ゆり(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

関西初のやましたひでこ<公認>断捨離トレーナー。
カルチャーセンター10か所以上、延べ100回以上断捨離講座で講師を務める。
地元の公共団体での断捨離講座、国内外の企業の研修でセミナーを行う。
1963年兵庫県西宮市生まれ。短大卒業後、商社に勤務した後、結婚。ごく普通の主婦として家事に専念している時に、断捨離に出会う。自分とモノとの今の関係性を問う発想に感銘を受けて、断捨離を通して、身近な人から笑顔にしていくことを開始。片づけの苦手な人を片づけ好きにさせるレッスンに定評あり。部屋を片づけるだけでなく、心地よく暮らせて、機能的な収納術を提案している。モットーは、断捨離で「エレガントな女性に」。
2013年1月断捨離提唱者やましたひでこより第1期公認トレーナーと認定される。
整理・収納アドバイザー1級。

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2024-05-15 | Posted in 週刊READING LIFE vol.262

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