人を幸せにする仕事 《週刊READING LIFE Vol.292 新しい働き方》
*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライティングX」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
2025/1/6/公開
記事:丸山ゆり(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
「えっ、自分で仕事を取ってくるの?」
2012年9月、私はとんでもない世界に飛び込んだことを知ることになった。
初めて募集された、断捨離トレーナーの講習会に参加した時のことだった。
断捨離に出会ったのは、それよりも2年ほど前のこと。
これまでの人生で、お片づけに困ったことはなかった。
むしろ、お片づけが出来ることだけが、いつも私が褒められるところだった。
なので、苦手意識がある人が多い中、私はこれだけは自信を持っていたのだ。
ただ、誰からも褒められる、片づいているわが家だったのだが、私自身はそんなお家が好きではなかった。
人を招きたいと思うこともなく、それどころか私自身も日々、外へ出かけることばかりを考えていたのだ。
今思うと、片づいたお家なのに、なぜかそこにいても落ち着かず、その場が好きになれなかったのだ。
私は心のどこかで、この両面のギャップにモヤモヤしていた。
外側の、人からは褒められるのに、内面の、私の気持ちはお家は好きではないと思っていたのだ。
そんな時、偶然出会ったのが断捨離だった。
お片づけに問題のない私が、「新片づけ術」と書かれた本を書店で手にしたことから、私の人生は動き始めた。
断捨離は、ただモノを捨てる系の片づけと思われがちだが、モノを通して自分に向き合う行動だと私は思っている。
人は、自分に向き合うということは、どこか避けたいと思うところがある。
自分を見たくないとも思っていることが多い。
ただ、何もない状態で、心に向き合うという行動はかなり難しいことにもなる。
だから、上手く出来ないから、人は苦手と思っているのかもしれない。
断捨離は、モノを通して、そのモノに貼り付けている自分の思いに向き合うからとてもやりやすいし、わかりやすいのだ。
実際、身の周りにあった大量のモノ、一つひとつを手に取って自分の気持ちに問いかけてゆくと、本来の私の思いが見えてきたのだ。
それと同時に、これまでの人生、自分がどのような想いで、どう歩んできたかが詳らかになっていった。
私は常に他者を優先し、自分の想いは押し殺して、人に合わせてばかりの人生だった。
でも、それが人と上手く付き合うことであって、人を大事にしていることだと思い込んでいたのだ。
ところが、そんなことを長年していると、自己肯定感は落ち込むし、他人の顔色ばかりを窺っていきていると、疲弊していっていた。
生きるって何て大変なんだと思っていたのだった。
ところが、断捨離は自分の思いを軸にモノを選び取ることで、自分の人生の主役が自分であることを再認識させてくれた。
私の思いを活かしていいんだと胸を張って思えるようになったのだ。
さらには、要る、要らないとモノで何度も練習をすることで、選択決断の力もついていった。
人生とは、選択決断の結果であると学び、確かにそうだと思ったのだ。
自分の人生は、自分で決めて歩んでゆくことでしか成し遂げられないのだl。
50歳を境にして、私の人生は大きく好転したのだ。
断捨離のおかげで、私は50歳からの人生を生き直すことが出来たのだ。
そのような経験を活かして、この断捨離を周りの人に伝えたいと思い、断捨離トレーナーの道を選んだ。
その講習が始まって、愕然としたのは、断捨離トレーナーとは、個人の起業家だったのだ。
私は、企業や団体に所属して、言われたことを卒なくこなすのは得意だった。
かつて、バブルの時代に大阪の商社に勤めていた頃、私がやっているこの貿易事務の仕事は、一体どこに繋がっているんだろうかと思いながらも、与えられる仕事をこなすことはやりがいがあった。
同期の中には、もっとやりがいのある仕事、やってみたい分野があると言って転職してゆく人もいた。
でも、私はルーティングワークや当時、女子社員の仕事であった、お茶くみやコピー取りも仕事の一つ、誰かの役に立つことだと思えたので率先してやっていた。
それが、その断捨離トレーナー講習を受けるまでの私が考えていた「仕事」というスタイルだった。
上から言われたことはしっかりと出来る私も、1から自分で企画し、宣伝、営業もこなし、実際に動くという個人の起業というものは未知の世界だった。
それでも、やると決めたからには苦手だとか言ってはいられなかった。
まず、ブログやFacebookをやってくださいと言われ、それらにも果敢に取り組んだ。
そもそも、ブログなんてあり得なかった。
元々、文章を書くことが苦手で、小学生の頃の読書感想文や短大の卒論などに苦戦してきたのだ。
まさか、私の人生において文章を書くという課題がまたやってくるなんて、と非常に驚いたものだった。
それでも、仕事としてやってゆくと覚悟を決めたのだから、日々取り組んでゆくしかなかったのだ。
さらには、自分で仕事を作り、それを宣伝し、売ってゆくということも大変なことだった。
自分がやって良かった断捨離。
みんなも良いと思うはず。
だから、すぐにみんなが注目してくれて、たくさんお申込みも来るだろうと、軽く考えていたのだ。
ところが、現実はそんなには甘くはなかった。
人に良さを伝える、そして、やろうと思ってもらうことはとてつもなく難しいことであったのだ。
そんな思いでスタートした、断捨離トレーナーの仕事。
今年で12年目を迎えることとなった。
ありがたいことに、この仕事が私のライフワーク、一生の誇れる仕事となっている。
断捨離の良さをブログで伝えることが出来なかった私も、多くの経験を積んでゆくことで、ようやくたくさんのクライアントさんに断捨離を伝えることが出来るようになった。
「断捨離によって人生が変わりました、ありがとうございます」
と、私が経験した時と同じような感想を言ってもらうことが多くなっていった。
私は、仕事とはお金を稼ぐこととしか捉えていない時があった。
これまで、会社員として働くことしかなかったから、毎月決まったお給料をもらう仕事という認識が強かったからだ。
大きな企業ほど、お客様の顔を想像することは難しく、20代の私はそんなところまでも想いが及んでいなかったのだ。
この断捨離トレーナーの仕事では、クライアントさんは目の前にいる。
その人の住まい、心の変化はすぐさまわかるのだ。
そう思うと、私がやっている仕事はお金をもうけるということよりも、人を幸せにしてゆくことだと思えるようになっていった。
人の人生に関わり、その人が幸せになるために断捨離を伝え、サポートをすることが私の仕事なのだ。
個人の起業家としてスタートした時、とんでもない所に飛びこんだと思った私だったが、個人の起業家とは、目の前にいるクライアントさんを幸せにしてゆく、とてもやりがいのある仕事だと今では思えるようになった。
そう思う今、仕事とは、人を幸せにすること、と答えることが出来る。
これほどやりがいのあることは他にはないのではないかと私は思うのだ。
断捨離トレーナーの仕事には定年がない。
この仕事で私は一人でも多くのクライアントさんを幸せにしてゆこうと心に決めている。
□ライターズプロフィール
丸山ゆり(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
関西初のやましたひでこ<公認>断捨離トレーナー。
カルチャーセンター10か所以上、延べ100回以上断捨離講座で講師を務める。
地元の公共団体での断捨離講座、国内外の企業の研修でセミナーを行う。
1963年兵庫県西宮市生まれ。短大卒業後、商社に勤務した後、結婚。ごく普通の主婦として家事に専念している時に、断捨離に出会う。自分とモノとの今の関係性を問う発想に感銘を受けて、断捨離を通して、身近な人から笑顔にしていくことを開始。片づけの苦手な人を片づけ好きにさせるレッスンに定評あり。部屋を片づけるだけでなく、心地よく暮らせて、機能的な収納術を提案している。モットーは、断捨離で「エレガントな女性に」。
2013年1月断捨離提唱者やましたひでこより第1期公認トレーナーと認定される。
整理・収納アドバイザー1級。
終活アドバイザー。
お問い合わせ
■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム
■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
■天狼院カフェSHIBUYA
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6丁目20番10号
MIYASHITA PARK South 3階 30000
TEL:03-6450-6261/FAX:03-6450-6262
営業時間:11:00〜21:00
■天狼院書店「湘南天狼院」
〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸二丁目18-17
ENOTOKI 2F
TEL:04-6652-7387
営業時間:平日10:00~18:00(LO17:30)/土日祝10:00~19:00(LO18:30)
■天狼院書店「京都天狼院」
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00
■天狼院書店「名古屋天狼院」
〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内3-5-14先
Hisaya-odori Park ZONE1
TEL:052-211-9791
営業時間:10:00〜20:00
■天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00