週刊READING LIFE vol.303

9kgのおもり《週刊READING LIFE Vol.303 面白い反省文》

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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2025/4/7/公開
記事:岩瀬憲一(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
 私は9kgのおもりを背負って生活するという、拷問の刑に処されました。2024年4月の健康診断という裁判により、刑が確定しました。
 上告審議のため、私の努力により、一時期6kgにまでおもりを減らし、情状酌量の余地を与えてもらうように取り計らいました。努力の甲斐があって、上告が認められ、医療機関で上告審議しました。その場で何とかより重い処刑は免れました。
 ただ、おもりを取り外すためには最高裁まで告訴し、手術という処置をしない限りはできないことがわかっていますので、おもり背負って生活するという拷問刑は相変わらず執行されたままです。これは自業自得なので仕方がないですね。
 その後油断していて、さぼっていたおかげで、3kg追加されてしまいました。おいしいものを食べて運動をしなくなったことが影響してなのか、現在は2024年4月の初審のときより重い9kgのおもりを背負うという刑になりました。一時のストイックな自分を忘れ、欲望のままに生きたおかげで、今年は体重が増えてしまいました。このままでは2025年4月に控えている健康診断という裁判には勝てない可能性が出てきました。食べすぎと運動不足の生活習慣を身に着けてしまった自分に反省をしております。今からでもできるだけ善処したいと考えております。
 
 2025年3月現在、体重は××kg(個人情報のため控えさせて頂きます)で、体脂肪率は25~26%をうろうろしています。肥満の部類に入っており、このままではまずい状態になっております。一方、目標としている体重は〇〇kg(個人情報のため控えさせて頂きます)で、体脂肪率は15%を目指しております。その値をもとに計算した結果、理想の体型に近づけるためには9kgおもりを減らす必要があります。その9kgが拷問刑に処された値となっております。おもりを1kg燃焼させるためには7,200kcal必要と言われています。拷問刑から釈放されるためには60,000kcal燃焼させる必要があります。これはごはん200杯分相当で、おもり分を摂取しないで80日毎日運動することでようやく釈放させてもらうことができる分量です。改めて計算してみるとそれなりに(体重ではなく心理的に)重い刑だということがわかりました。改めて罪状の重要性を認識しました。
 
 このままの状態では肝臓さんや膵臓さん、腎臓さんなどに申し訳が立ちません。これからもおいしいものを食べて健康に生き、長生きしたいと考えている私としては、これからも元気でいてもらいたいと思っています。このままの状態では確かにまずいと思い、ずいぶん反省しております。また、それ以前に、健康診断という裁判に勝つ必要もあります。そのため、早急に手立てを考える必要があるように思いました。
 
 まずは、食事の量を減らすことにしました。「食べ過ぎることは拷問である」という言葉を胸に刻みながら日々おもりを減らすべく努力しています。
 ただ、毎日少ない食事ではエネルギーが出なくなってしまいます。最近はエネルギーを使う仕事が増えてきており、ストレスの多い中を切り抜けるにはエネルギーが必要になります。
 2020年に体重が大幅に増加したため、このときもダイエットを実践しました。この時は食事の量を減らすことにしました。毎日弁当を持参し、弁当を食べるようにしました。弁当や野菜中心で組み立て、カロリーの高い牛肉は使用せず、豆腐ハンバーグでたんぱく質を摂るようにしていました。そのおかげで体重は1週間で1kg減らすことができました。ただし、その分エネルギーが出なくなり、毎日なぜかカリカリしたような心理状態になりました。そして、それが度を過ぎで神経過敏になり、お盆に救急車で運ばれてしまうという事態になりました。何とか6時間で退院できたものの、その日は無気力状態になりました。飢餓状態になりました。それ以来、食事によるダイエットにも限度があることを悟りました。その時も関係者に迷惑をかけました。そのとき反省して、今後は食事制限によるダイエットは程度問題にしようと決めました。
 そのような反省もあり、食事制限は必要最低限にしたいと思っています。倒れてまで体重を減らすことに価値があるのか。あるとは思うけれど、程度問題のところがあるので、食事制限というやり方は慎重に考えたい、と思っています。おもりを背負っている奴が偉そうなことを言うな、と怒られるのは覚悟のうえで、食事制限によるダイエットは腹八分目でとどめる程度の水準にしたいと考えています。
 
 食事制限は難しいとなると、今度は運動の量を増やすことを考えることになります。歩かないでいることは拷問である、ということを心に刻みながら、毎日スマートウォッチやスマートフォンの歩数機能をにらめっこしています。実際は3時間に1回確認しており、歩数が少ないときはできるだけ遠回りして帰ることや、ウォーキングのための時間を設けるように毎日の生活をアレンジしています。そのようにすることで、毎日目標歩数である一万歩以上を歩くようにしています。
 天候やイベントによる影響もなくすようにしています。雨が降っている日は傘を差しながら歩いています。暑い日も寒い日も歩いています。元日もクリスマスも歩いています。台風の時はさすがに外出できないので、家の中を歩くようにしています。
 毎日歩くようになったことで運動習慣は身に付いてきました。それにより、おもりを増やすことに歯止めをかけることができました。ただ、それだけでは威力が弱く、おもりを取り除くというところに至っていないのが実情です。歩くことで心と体はスッキリするのですが、おもりを取り除くにはインパクトが弱い、ということがわかってきました。このままでは拷問刑から逃れられないので、何とかしないといけない、と反省しています。
 ウォーキングでも速度を大きくすればするほど消費カロリーが増えることがわかっています。ウォーキングよりはジョギング、ジョギングよりはランニング。ランニングをすれば消費カロリーが増え、有酸素運動にもつながります。ただ、いきなりランニングすると膝に負担がかかってしまいますので、まずは歩いて、徐々に速く歩くことを続けています。これで少しでも拷問刑から逃れられればよい、と思っております。
 
 最近の研究で、座り続けることは拷問である、という結果が出ているとのことでした。リモートによる勤務や会議、セミナーが増え、それにより身体に悪影響が出ているとのことでした。座り続けるということが拷問刑にあたる、ということは私もいくつか実感しています。
 すっと座っていると肩や背中、腰が疲れてきます。それにより体がなまってしまい、次の日以降もそれが残ってきます。それが蓄積されていくとおもりという拷問が付加され、刑が重くなっていきます。2020年以降、その影響が出ていました。毎日動いていないと不安になるので、できるだけ在宅勤務は行わず、会社や現地に行くように努めています。家の中に引きこもっていると体がなまってしまい、心もなまってしまうので、とにかくずっと座っていることがないように心がけています。
 最近はスマートウォッチで50分以上座った状態が続くと通知が届くようになりました。そのため、50分経過したら椅子から立ち上がって強制的に息抜きするようにしています。そのようにすることで、気分転換につなげることができます。
 
健康診断という裁判を勝ち取り、9kgのおもりという拷問刑から逃れたい。
今はその一心で反省し、毎日の生活を悔い改めています。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
岩瀬憲一(ライターズ倶楽部)
愛知県在住の自動車部品メーカーのエンジニア。平日はソフトウェア開発に従事。最近はデータサイエンスを研究している。生成AIを活用しながらウェルビーイングを高めている活動を進めている。

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2025-03-31 | Posted in 週刊READING LIFE vol.303

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